「ジャーマンカモミール」と「ローマンカモミール」の違いを、植物と精油で比べる

アロマメディエーターうえむらです。

カモミール精油の香りを嗅いだこと、ありますか?

カモミール精油には、ジャーマンとローマンの2種類があります。ということは、元になる植物も2種類。それぞれ香りも作用も異なります。

今回は、2種類のカモミールの植物と精油の違いを比べるという、おせっかい記事です。

ジャーマンカモミールvsローマンカモミール、植物編

カモミールの和名は「カミツレ(加密列)」。オランダ語の「kamille」に由来するそうです。

まず、2種類のカモミールの学名を見てみましょう。

・ジャーマンカモミール Matricaria chamomilla L.
・ローマンカモミール    Anthemis nobilis L.

全然違いますね。

では、植物としての特徴を比べてみます。

下の写真のカモミールは、ジャーマン、ローマン、それぞれどっちのカモミールでしょう。

ジャーマンカモミールとローマンカモミールの違い
ジャーマンカモミールとローマンカモミールの違い

似ていますが、よく見ると違いがありますよね。

下の表を見比べると、写真がどっちのカモミールかがわかりますよ。(一時、下の表が違うものと入れ替わってしまっていました。申し訳ありません。修正済みです)

ジャーマンカモミールとローマンカモミールの違い

答えは、上がジャーマン、下がローマンです。

外見的な見分け方は、中央の黄色い部分の盛り上がり方。

実物に触れる機会があれば、香りを嗅いで、茎や葉の部分も香るか否かで判断することもできます。

花が咲いている時期から想像することもできますね。

では、一般にカモミールティーとして飲んでいるのは、ジャーマンカモミール、ローマンカモミールどちらだと思いますか?

カモミールティーはジャーマンカモミールがおいしい

答えはジャーマン。

なぜなら、ジャーマンのほうがおいしいから(#^^#)

ローマンは苦みがあるので、苦みやクセのないジャーマンカモミールを飲むのが一般的なのです。

自分で栽培してカモミールティーを飲みたい!という方は、ジャーマンのほうを育ててくださいね。

ジャーマンカモミールvsローマンカモミール、精油編

では次に、精油としての特徴を比べてみます。

下の表をご覧ください。

ジャーマンカモミールとローマンカモミールの違い

植物編の表の「分類」の項目を見ていただくとわかる通り、この2つの精油の元になるカモミールは同じキク科ですが、「属」が違います。

そんなこともあって、2種類のカモミール精油は、成分も全然違います。

含有率の高い順に6つずつピックアップしたので、ご覧ください。( )内の数字は含有率の参考数字です(フレグランスジャーナル社『カラーグラフで読む精油の機能と効用』より)。

ジャーマンカモミール▼
①ビサボロールオキサイドA(57.68%)
②カマズレン(23.35%)
③Cis-t-ディサイクロエーテル(11.5%)
④ビサボロールオキサイド(4.35%)
⑤ビサボレンオキサド(4.1%)
⑥t-β-ファネッセン(3%)

ローマンカモミール▼
①アンジェリカ酸イソブチル(35%)
②アンジェリカ酸イソアミル(17%)
③アンジェリカ酸メチル(8%)
④アンジェリカ酸-2-メチルブチル(5%)
⑤イソブチル酸イソアミル(4%)
⑥イソアミル酸イソブチル(4%)

ややこしい名前ばかりですね💧

覚える必要はありません。

全然違う、ということがわかればOKです。

成分が違うということは、香りや作用も違って当然ということです。

生の花では、どちらもリンゴっぽい香りがしますが、精油になるとジャーマンカモミールは、ちょっと薬草っぽい感じに。リンゴっぽさはどこへやら(*´з`)

ジャーマンカモミール精油の成分のうち、①④⑤は、「セスキテルペンオキサイド」というグループに属する成分で、全体の約2/3を占めています。

そして、ローマンカモミール精油の成分のうち、①~⑥は、すべて「エステル」というグループに属する成分で、全体の大半を占めています。

したがって、ジャーマンカモミール精油は、「セスキテルペンオキサイド」の作用、ローマンカモミール精油は「エステル」の作用が、精油の主な作用となっています。

精油の採油率(全体の植物に対し採れる精油の量)は、ジャーマンカモミールで0.05%程度、ローマンカモミール精油で0.15%程度。

これは、数ある精油の中でも少ないほう。

つまり、精油を得るために、たくさんのカモミールを必要とするということ。ゆえに、高価です。

他の精油と比較してみると、よくわかりますね。

ジャーマンカモミール 7,200円
ローマンカモミール  5,900円
真正ラベンダー    2,000円
ペパーミント     1,700円
参考:生活の木(10ml、税抜)

高価な精油は、1ml、3mlといったサイズがあることも多いので、香りを嗅いでみたい、使ってみたいという方は、少量サイズで購入するのがおススメです!

ちなみに、1mlは20滴ほどです。

高価な精油は往々にして香りも作用も強いので、使う量(濃度)は控えめに。

ジャーマン&ローマンカモミール精油、どう使う

まずは、ジャーマンカモミール精油から。

表にも記載の通り、ジャーマンカモミール精油には、抗炎症作用や抗ヒスタミン作用、抗アレルギー作用があります。

傷ついたり、荒れたり、痒みがあるなどの肌への有効性が高く、アトピー性皮膚炎や床ずれなどのケアにもおススメです。

用途や症状に応じて、ジェルやクリームなどの基材に希釈して使うと、辛さがやわらぐと思いますよ。

そうそう、ジャーマンカモミール精油に特徴的な青い色は、②のカマズレンという成分によるものです。

カマズレンは、うがい薬の有効成分として知られるアズレンと、名前も作用も似ています。

そのカラクリは、以前、アメブロの記事でご紹介しているので、興味のある方は、ご覧くださいね。

〈カモミール関連記事〉☟
「カモミールとうがい薬の関係」

そして、ローマンカモミール精油について。

こちらも、皮膚の炎症に有効で、とくに痒みを抑えるのにおススメですが、ローマンカモミールは、心のケアに使われることが多い精油です。

①~⑥の成分がすべて「エステル」というグループに属すると先述しましたが、「エステル」は、中枢神経に対する強い鎮静作用があります。

不安や緊張、恐怖の気持ちをやわらげてくれるので、芳香浴、トリートメントなどの方法で使うとよいでしょう。不眠や躁状態などのケアにも、ぜひ!

ローマンカモミール精油には鎮痛作用もあり、肩こりや神経痛などの痛みにも有効です。痛みケアの場合は、ジェルに希釈して塗布するのがおススメです。

鎮痛作用のある精油は、他に安価で有効なものがいろいろありますが、ローマンカモミール精油は刺激が少ないので、小さいお子さんや高齢の方には使いやすくてよいですよ。

MoaMoa Mommy
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ラベンダーアングスティフォリア、ラバンディン、スパイクラベンダー、ラベンダーストエカス。4つのラベンダー精油の違い

アロマメディエーターうえむらです。

ラベンダーといえば、リラックスに効果的な精油の代表といった印象ですが。

じつはラベンダー精油には、いくつか種類があって、リラックス効果なんて得られない精油も存在するってご存知ですか?

今回は、えっ、そんなこと知らないよ~!というあなたや、ラバンディンってラベンダーなの?というあなたのためのおせっかい記事です。

4種のラベンダー精油

ラベンダーに限らず、植物って同じ名前で呼ばれていても、じつは品種が異なるものがたくさんあったりします。

元の植物の品種が違うと、精油の特徴、つまり成分も香りも作用も違ってきます。少し違うもの~かなり違うものまでさまざまです。

ラベンダー精油として一般に販売されているものは、次の4種類。

①真正ラベンダー(ラベンダーアングスティフォリア)
②ラバンディン
③スパイクラベンダー(ラベンダースピカ)
④ラベンダーストエカス

②のラバンディンは、①の真正ラベンダーと、③のスパイクラベンダーの交配・交雑種。

ハーフなので、成分や香りなど、両方の要素を持ち合わせています。 主な成分を表組で見てみると、そのことがよくわかります☟

4種類のラベンダー精油の成分

精油は天然のものなので、原料となる植物の生育地、時期などによって、成分組成は違ってきます。

上記の表の数字はあくまでもサンプルで、実際はメーカーやロットごとに少しずつ(場合によってはかなり)異なるのですが、ここでは、理解しやすいよう、この数字を参考に説明をしていきますね。

真正ラベンダー精油とラバンディン精油、違いと共通点

一般に知られているラベンダーの鎮静作用は、主に「リナロール」「酢酸リナリル」という成分に由来します。このうち、とくに鎮静作用が高いのは「酢酸リナリル」。

「リナロール」はフローラルな印象、「酢酸リナリル」はフローラル+フルーティーな印象、どちらも甘さを感じる香りです。

この2つの成分は、真正ラベンダー、ラバンディンともに多く含まれていて、“ラベンダーらしい香り”の正体にもなっています。

真正ラベンダー ラベンダーアングスティフォリア
真正ラベンダー(ラベンダーアングスティフォリア)
ラバンディン ラベンダーグロッソ
ラバンディンの中の“グロッソ”と呼ばれるタイプ

なので、真正ラベンダー、ラバンディン、どちらの精油の香りを嗅いでも、多くの人はラベンダーと認識しますが、テレビや本などでラベンダーと呼ばれて紹介されているのは、真正ラベンダーです。

真正ラベンダーとラバンディンは、違う点より共通点のほうが多いといってもいいかもしれません。でも、両方の精油を嗅ぎ比べると、確かな違いがあります。

真正ラベンダーの香りはフローラルな印象が強いのに対し、ラバンディンは、それに加えて少しスーッというかツンというか、爽やかな印象があるのです。

これは「カンファー」という成分が、ラバンディンに7%含まれていることで感じる香り。真正ラベンダーには、ほとんど(もしくは全く)含まれていません。

ラバンディンに含まれる「カンファー」は、スパイクラベンダーから受け継いだ成分で、神経を覚醒させる作用をもっています。

つまり、どちらの精油にも鎮静作用はあるものの、ラバンディンは覚醒作用のある「カンファー」を7%含んでいるため、リラックス効果の高さは、真正ラベンダーに軍配があがるということになります。

どちらの精油も「リナロール」を多く含むので、鎮静作用のほかに、鎮痛作用や肌の抗炎症作用などもあります。

真正ラベンダーとラバンディンでは、ラバンディンのほうが暑さへの耐性もあり、丈夫で生育が早い、採油量が多いなどの理由から、同じブランドでも、精油はラバンディンのほうが安価なことが多いです。

今回、詳細の説明は省きますが、ラバンディンは、成分が真正ラベンダー寄りのものと、スパイクラベンダー寄りのものがあり、その成分の偏り方によって、それぞれ別の精油名で販売されることもあります。

スパイクラベンダーは、どんな精油?

スパイクラベンダーは、上記の成分の表を見てわかる通り、とくに強い鎮静作用を持つと言われる「酢酸リナリル」が含まれていません(メーカーによっては含む)。

一方、覚醒作用のある「カンファー」を14%含んでいます。これは瘢痕形成作用をもつため、小さな傷や、やけどの手当に、とくに有効とされています。

そのほかに多く含まれる「1.8シネオール」は、呼吸器系に有効に作用する成分で、神経への働きとしては覚醒。

鎮静作用のある「リナロール」は、それなりの量が含まれているものの、総合的にみると、真正ラベンダー、ラバンディンのような鎮静効果は期待できないといっていいでしょう。

ブランドによる成分の差も大きいようなので、成分分析表でしっかり確認して使うのがおススメです。

成分分析表の見方がわからないアロマ初心者さんは、専門家(アロマ講師など)に相談してから使うのがよいでしょう。

ラベンダーストエカスは、どんな精油?

ラベンダーストエカスは、もはや私たちがラベンダーと認識している香りとは似て非なるもの。作用も別モノです。見た目にも、けっこうな違いがあります。

ラベンダーストエカス(フレンチラベンダー)
ラベンダーストエカス

「フェンコン」、「カンファー」を多く含むラベンダーストエカスの主な作用は、粘膜溶解、脂肪溶解、皮膚の瘢痕形成、覚醒など。

精油を販売している、とあるサイトで「成分はフェンコン、カンファー等で、他のラベンダーとは少し異なるが効能は似ている」と説明されているのを見かけましたが。

スパイクラベンダーには多少、似ている部分もなきにしもあらずですが、真正ラベンダーときた日には、作用、香り、何もかもまったくといっていいほど似ていません(^^;

「フェンコン」、「カンファー」はケトン類というグループに属す成分で、高濃度で使ったりすると神経毒性があると言われています。

ケトン類を65%も含むストエカスは、使用にあたって注意が必要です。

ちなみに、ラベンダーフランスという名称で販売されているラベンダーがありますが、これはフレンチラベンダーの意味ではなく、フランス産(原料の生産地)のイングリッシュラベンダーのこと。

紛らわしいですが、一番、リラックス効果が高く、安全性も高いタイプなので、安心してお使いください。

成分分析表の見方を知っていれば、このような精油の名称に惑わされることなく正しく扱えるのですが、アロマ初心者さんには無理なことなので、ラベンダーストエカスも、専門家に相談してから使うのがおススメです。

リラックス効果が一番高いラベンダーは?

ここまで読んで、もうおわかりかと思いますが、リラックス効果が一番高いのは①の真正ラベンダーで、以下②③④の順となります。

私たちが、ふだんラベンダーと言っているのは、真正ラベンダーのことですが、安価なラバンディンを真正ラベンダーであるかのように思わせて販売する、真正ラベンダーに一部混ぜ込む、といったこともあると、よく耳にします。

また、使用に最も注意が必要なのは④のラベンダーストエカスで、以下③②①の順となります。

香りの印象の違いや、成分分析表で成分を確認できる知識を身に着けると、より安全に、より効果的にアロマテラピーを楽しめますよ(#^.^#)

ラベンダー以外にも、まぎらわしい精油については、カテゴリー分類して“違い”シリーズとして記事を書いています。たとえば☟

ペパーミント精油とハッカ精油の違い、
わかりますか?

違い、わからないよ~という方は、ご覧ください。

悩んだときに、どっちを買えばいいか、どう使えばいいかのヒントになると思います。

知っておいて損はありませんよ(^_-)-☆

MoaMoa Mommy
アロマテラピーの化学の基礎を短時間で学びたい方は「メディカルアロマセルフケア講座」がおすすめ!HPの連絡フォームより承ります。

“飲める精油”、“精油を飲む”は、なぜブームになった?

アロマメディエーターうえむらです。

“飲める精油”とか“精油を飲む”といったキーワードが、ここ数年、アロマ市場?業界?を賑わしていますね。

最近は少し落ち着いた感がありますが、一時、私も何人もの方から、意見を求められたり、相談されたりしました。

以前、発行していたメルマガ「秘密の香庭」で触れたテーマで、当時、反響もあったことを受け、何度かに分けて、おせっかいブログを書いてみようと思います。

「精油は飲まない」が、お約束だよね?

アロマを少しでも勉強したり、使ったりしたことのある方は、何かしらで情報を得て「精油は飲まない」と、インプットされていると思います。

精油を飲む方法は、確かに存在します。

でもそれは、セラピストや講師、販売する人たちが積極的に勧めて飲ませるとか、自己責任で飲むから大丈夫~と、アロマ初心者が安易に飲むべきものではありません。

なぜなら、精油は非常に高濃度。

その濃さは、元の植物の状態の100倍とも200倍とも言われています。

この数字の明確な根拠はよくわかりませんが、採油率(原料となる植物の量と抽出できる精油の量の比率)から考えても、かなり濃縮されたものであることは容易に想像できます。

主な精油の採油率
・ラベンダーアングスティフォリア 0.6-0.7%
・スイートオレンジ 0.6%
・カモミールジャーマン 0.05%
・ゼラニウム 0.15%
・ローズオットー 0.02%

採油率が少ないほど濃いとか、作用が強いとかいう単純なものではありませんが、かなりの高濃度であることは理解できますよね。

だからこそ、薬理効果も期待できる。

だからこそ、使い方次第で副作用の心配もでてくる。

だから……。

吸入する、塗る、飲むという使い方の中で、

・副作用を引き起こす可能性が高い
・副作用が起きたときのリスクが大きい
・未知の部分が多い

飲む方法は、やめておきましょうよ。

まずは、安全性の高い他の方法でアロマテラピーのよさを享受しましょうよ。

ということです。

精油を飲む 飲む精油

他にも、安易に飲まないほうがよい理由は、いろいろあるんですけどね。 それにしても、なぜ、こんなにも“精油を飲む”が流行ってしまったのでしょうか。

“飲む精油”、“精油を飲む”が、ブームになった背景を考えてみる

もともと、アロマテラピーを学んだり、取り入れたりするのは、圧倒的に女性が多いのですが、“飲む精油”、“精油を飲む”に傾倒するのは、なおさら女性が多いように思います。

目新しいもの好き、おすすめ好き、すすめられ好き、自然志向、共感好き。

そんな“女性あるある”に、“飲む精油、“精油を飲む”は、ヒットしやすかったのでしょうね。

じつは、 “飲む精油、“精油を飲む”を積極的に推奨しているのは、おおむねネットワークビジネスの手法で精油を販売する方たち。

すごいものに出会ってしまった!という高揚感。商品のすばらしさを伝えなくてはという使命感。ビジネスとして成功できるかもという期待感。

商品とビジネスの仕組みに魅了され、ファンや仲間作りのため、次々と知人に声をかけていくわけです。

SNSやブログなどの媒体の普及とも相まって、“飲む精油、“精油を飲む”情報が、あっという間に広がる事態になったのでしょう。

ネットワークビジネス自体は、ルールを守って行っていれば、法的にはなんら問題はありません。

ただ、私が知る限り(聞いた限り)、精油を販売するにあたっての商品の紹介の仕方や勧め方に疑問を感じる点が多々あり。

精油を飲む・飲まないの論点、是非も、ズレているように思えてならないのです。

どんな人が、精油を飲むことを勧めているの?

業界のほとんどの団体では、精油を飲むことを推奨しない、もしくは、安全性の高いレシピを資格取得講座などで少し紹介する程度だと思います。

アロマをよく知らない人に、何かあったときの対処法も教えられないまま、積極的に飲む方法を勧めるのは無責任です。

にもかかわらず、飲むことを推奨するのって、どんな方たちなんでしょう。

私が思うに、その大多数は。

純粋で、人の助けになりたい、喜んでもらいたいという気持ちをもった心優しい人。

別の言い方をすると、十分な勉強もしないまま、他人(知り合い)の言うことを鵜のみにし、安易に他人に勧めてしまう人。

飲む云々はともかくとしても。

いずれかのアロマの団体の資格取得を目指し、人に教えるために“必要最低限のアロマの知識”を学ぶだけでも……。

独学も併せて、数十時間~数百時間、期間にして半年~1年は要します。

「知り合いから話を聞いた」、「数時間の講座に出席した」というレベルでは、そもそも何が正しい情報かを判断する力が身に着いているとも思えません。

私は自分で飲んでいるだけ。誰にも勧めない(売らない)という方もいらっしゃいますが、では、あなたに勧めた(売った)方はどうですか?

その方は、あなたに勧めるのに、どれだけの勉強をしてきたのでしょう。

さらに、その方に教えた方は?

聞けば聞くほど、矛盾を感じてしまう

飲むことを勧める方々には、なぜ飲めるのか、なぜ飲むのかという理由(言い分)があるのですが……。

「食品添加物だから」「最高品質だから」「独自の基準で品質管理しているから」「メディカルグレードだから」「おいしいから」「ビタミンCが摂れるから」「100%ピュアだから」etc.

よそのブランドはダメだけど、私たちのものはOK。

アロマをしっかり学んだ人にとっては、どれもこれも納得しにくいものばかりではないでしょうか。

飲むことのメリット、飲んでOKな理由は、そこではないはずです。

でも、アロマをよく知らない人は、「へえ、そうなの⁉すごい」ということになるわけです。

そして、そのアロマをよく知らない人が勧める側になって、アロマをよく知らない人に伝える、のスパイラル。

最後は「自己責任」だから……。心配なのです。

・どの種類の精油をどう飲めば、どんな効果がでるのか
・どんな飲み方が危険なのか
・何かあったときの対処法
・自分が飲んで得た経験

私自身は、このような知識、経験に乏しいので、飲むことはお勧めしていません。

精油を飲むこと自体を意味がないとか、完全否定しているのではなく、必要性のない人や正しい飲み方のわからない人が、勧めたり、飲んだりすることを懸念しているのです。

精油は、スーパーフードのように、ブームで飲むようなものではありません。

“精油を飲む”ことについて皆様に一歩立ち止まって考えていただけることを願って、今後は、安易に飲むことの問題等を、具体的な話でお伝えしていきたいと思います。

このテーマにご興味のある方は、引き続きお付き合いください。

MoaMoa Mommy
精油選びに関してのご相談や「アロマの基本のキ」講座の受講のご希望は、HPの連絡フォームより承ります。

アロマオイル、エッセンシャルオイル、精油は、違うもの?「アロマオイル」の落とし穴

アロマメディエーターうえむらです。

アロマをよく知らない多くの方々にとって、アロマテラピーで使う香りのオイルは「アロマオイル」。

いえ、最近ではアロマを仕事にしている方でさえ、普通に「アロマオイル」と口にするほどに浸透しているこの呼び方。

一方で、エッセンシャルオイル、精油と言う人もいて、アロマオイルとの違いが、いまひとつわからない。

今回は、そんな方々のためのおせっかい記事です。

“精油”が、いつのまにやら“アロマオイル”

1980年代、アロマテラピー(芳香療法)という言葉が日本に紹介され、1995年にロバート・ティスランドの『芳香療法の理論と実際』が翻訳・発行されてから、かれこれ25年。

アロマテラピーという言葉は、いまや多くの人に知られるものとなっています。

とはいえ、いまだ「香りを使った癒し」程度の認識が一般的で、アロマテラピーの実態は勉強をした人以外は、あまりよくわかっていないというところでしょうか。

私がアロマを学び始めたのは、たぶん今から23年前。その頃、アロマテラピー市場に「アロマオイル」という呼び方はなかったように思います。

アロマテラピーで使うのは、植物から採れる100%天然の香りのオイルで、それは「エッセンシャルオイル」「精油」と呼ぶと教わりました。

「アロマオイル」と「エッセンシャルオイル」と「精油」の違い

厳密にいうと、抽出の仕方などによる呼び方の違いがあるのですが。

植物から採れる100%天然の香りのオイルと、そうでないものを区別するための呼び名として、英語の「エッセンシャルオイル」、日本語の「精油」、どちらでも好きなほうを使えばOK!

だったのです。ところが……。

いつのまにやら「アロマオイル」がアロマテラピーで使うオイルの名称のように広まっていきました。

本当に、いつのまにやら……。

「アロマオイル」は通称

「アロマテラピー用のオイル」が省略されて「アロマオイル」ということなのかもしれませんが、この言葉には、落とし穴があります。

まず、アロマというのは、フランス語で「香り」を意味する言葉。ここに「植物」とか「100%天然」の概念はありません。

一方、「エッセンシャルオイル/精油」という言葉には「植物から採れる100%天然の」という意味が含まれています。

ここで「アロマオイル」、「エッセンシャルオイル/精油」の意味を整理すると、こういうことです↓

・アロマオイル=香りのオイル
・エッセンシャルオイル/精油=植物から採る100%天然のオイル

そして「アロマオイル」という言葉の解釈を整理すると、こういうことです↓

A.アロマテラピー用の100%天然のオイルの“通称”
B.香りがするオイルの“総称”

2通りの解釈があります。これこそが、落とし穴。

Aさんが合成香料の「アロマオイル(B.総称)」を売り、Bさんはそれを100%天然の「アロマオイル(A.通称)」だと思って買う。

100%天然でも、100%合成でも、天然と合成のミックスでも、香りがするオイルならどれも「アロマオイル」と言って間違いではありません。

だから当然、Aさんが合成香料に「アロマオイル」と表記して売ることに、なんら問題はないのです。

自分は天然のものだと思って買った・使ったものが合成香料だったとしても、あなたが勝手にそう思っただけでしょ、と言われれば、その通り。

不親切だ!と不平不満を言ったところで、誰にも、なんの保障も責任も問えないのです。

「天然アロマオイル」はOK?もう1つの落とし穴

最近は、ヘアケアやコスメ、洗浄剤など、多くの市販品に「天然アロマオイル配合」とか「天然アロマの香り」という宣伝文句が使われています。

アロマとか、アロマオイルという言葉に「天然」という枕詞がついていれば、「エッセンシャルオイル/精油」を指していると解釈するのが妥当です。

ただし、ここにも落とし穴が。

「天然アロマオイル配合」は、天然の香りのみとは限らないということです。

1%が天然で、99%が合成でも、天然の香りを配合しているのは事実。100%天然だと思ったのに……は、やっぱり、あなたが勝手にそう思っただけでしょ、ということに。

不親切だ!と不平不満を言ったところで、誰にも、なんの保障も責任も問えないのです。

「天然アロマの香り」は、言わんとしていることはわかりますが、日本語的にツッコミどころが。

先程も触れたように、アロマの意味は香り。普通に日本語にすると「天然の香りの香り」。

「頭痛が痛い」「馬から落馬する」的な(笑)

また仮に、アロマを「エッセンシャルオイル」と読み替えたとすると、今度は「天然のエッセンシャルオイルの香り」となります。

いいんじゃない?という気もしますが。

エッセンシャルオイルには、天然の意味が含まれています。なので、重箱の隅をつつくようで恐縮ですが、普通に日本語にすると。

「天然の100%天然のオイルの香り」という感じになるわけです(^^;

アロマテラピーは“自己責任”だから気を付けて!

アロマテラピーで使うのは「エッセンシャルオイル/精油」と教わり、編集者・ライターとして、日本語表現に気を使ってきた私としては、「天然アロマの香り」なんて、どうにも気持ちが悪い(笑)

シンプルに「エッセンシャルオイル(の香り)」か「100%天然(の香り)」でいいのに、と思うのですが。

いまはもう「アロマオイル」がアロマテラピーで使う香りのオイルで、それは100%天然なんだ!

というイメージが、多くの人に刷り込まれてしまっているから。

正しくなくても、変でも「アロマオイル」と表現するのが、最も伝わりやすいんでしょうね。

だから、通称としてはこれでOK!と思っているんです。

なのに、こんなメンドクサイおせっかい記事を書いた理由、言葉の意味を正しく知ってほしい一番の理由は……。

「アロマオイル」=100%天然の香りとは限らない。合成香料だらけの安物を掴まされても、健康被害などが起きても、すべて自己責任だから気を付けてね!

ということ。

みなさんが、気持ちよく、安全に植物の恵を享受できることを心より願っています!

MoaMoa Mommy
精油選びに関してのご相談や「アロマの基本のキ」講座の受講のご希望は、HPの連絡フォームより承ります。

 

「ハッカ精油」と「ハッカ油」は、違う?同じ?カギになるのは「ハッカ脳」

アロマメディエーターうえむらです。

前回の記事では、ペパーミント精油とスペアミント精油の違いについてのお話を書きました。

今回は、ハッカ精油とハッカ油がテーマです。

ハッカ油は、薬局などで売られているのを見かけますが、量のわりに値段も安いですよね。

ハッカ油ってハッカ精油と同じなの?違うの?とギモンに思われる方のためのおせっかい記事を書きます。

ハッカ精油とは?

ハッカ精油は、シソ科ハッカ属のうち、日本の在来種や帰化種のものを原料とし、水蒸気で蒸留して採れるオイルです。

乾燥させた原料植物を水蒸気蒸留し、取卸油と呼ばれるオイルを得るのですが、これがいわゆるハッカ精油です。

ハッカ精油とハッカ油の違い
清涼感抜群!ハッカ精油

ス―っと清涼感のある成分、ℓ-メントールをたくさん(65~85%ほど)含むのが特徴です。

精油には、「和ハッカ」「コーンミント」「アルベンシスミント」などの名前がついています。

ハッカ油とは?

ハッカ油は、ハッカ精油(取卸油)をゆっくりと冷却し「ハッカ脳」と呼ばれる、ℓ-メントールの結晶成分を取り出したものを、再度、精製したオイル。

ハッカ精油から「ハッカ脳」が取り出され、ℓ-メントールが精油のときの約半分になったものが、ハッカ油なのです。

ちなみに、日本薬局方に適合する規格として、ハッカ油のℓ-メントールの含有量は30%以上と決められています。

ハッカ精油とハッカ油の違い ハッカ脳
ℓ-メントール99%以上のハッカ脳(別名:メントールクリスタル)。透明感があってキレイです

他の成分の量は、精油のときと大きくは変わりませんが、ℓ-メントールの量が少なくなることで、全体の比率が変わるので、香りの印象も、ハッカ精油のときと少し異なります。

ハッカ精油とハッカ油は、違う。でも……?

ハッカ精油とハッカ油の関係を整理すると。

・ハッカ精油=ハッカ脳+ハッカ油
・ハッカ油=ハッカ精油-ハッカ脳

「ハッカ脳」はけっこういい値段、ハッカ油がお手頃な値段、というところから判断するに、「ハッカ脳」を採った後の残りがハッカ油、という感じでしょうか。

それぞれの力関係?はともかくとしまして。

“ハッカ精油とハッカ油は違う”ということ、おわかりいただけたと思います。

で、違うには違うのですが。

ベルガモット精油からベルガプテンという成分を取り除いたものは、「ベルガプテンフリーのベルガモット精油」として販売されています。

それに倣えば、ハッカ油も「メントールリデュースのハッカ精油」なんて言えなくもないですよね。

まあ、呼び方はともかく、中身が違うのは確かです。

自分が使いたいもの、あるいは、いま自分の目の前にあるのは、どちらなのか。それさえ、わかっていればよろしいかと思います。

加工はしていても、ハッカ油は100%天然由来のもの。

どうしてもℓ-メントールがたくさん必要、というわけでなれば、お手頃な値段で買えるハッカ油を使うのもおすすめです。

ℓ-メントールは刺激もあるので、肌に使う場合など、むしろ控えめなほうがいい、ということもあるかもしれません。

ハッカ油の使い方と注意

ハッカ油は、ℓ-メントールの一部を取り除いただけのものなので、基本的に精油と同様の使い方でよいでしょう。

入浴剤として、ボディスプレーとして、芳香剤や消臭剤など、いろいろな用途に使えます。

ただ、ℓ-メントールが少なくなっているとはいえ、濃縮されたオイルであることに変わりはありません。禁忌も、ペパーミントやハッカの精油と同様とお考えください。肌につけるものは、十分な希釈が必要です。

このとき、水だけで希釈しても、ハッカ油(オイル)と水は混じり合わず、よく振って使っても、原液のごく小さな粒が肌につくことになってしまいます。

乳化できる基材を使用するなどして、できるだけ刺激を抑えてクラフト製作することをおすすめします!

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「ペパーミント精油」と「スペアミント精油」の違いを知りたい!答えはメントールの〇〇

アロマメディエーターうえむらです。

ペパーミントもスペアミントも、「名前はどっちも知ってるよ!」という方が大半ですよね。

でも、それらの違いをご存知の方は、少ないかもしれません。

ハッカ精油とペパーミント精油の違いについては、先日のおせっかい記事でお伝えしました。

ペパーミント精油とハッカ精油の違い、
わかりますか?

こちらの記事に書いた内容と一部重複しますが。

今回は、ペパーミント精油とスペアミント精油の違いについて、おせっかい記事を書いてみます。

ペパーミントとスペアミントは、親子の関係

ペパーミントは、スペアミントとウォーターミントが交雑して生まれた品種と言われています。

つまり、ペパーミントとスペアミントは、親子の関係にあり、品種の違う植物であるということ。

片方の親のウォーターミントは、別名「ミズハッカ」「ヌマハッカ」。その名前からも想像できる通り、沼地や湿地で育つ湿性植物です。

もう片方の親のスペアミントは、葉の先が槍(Spear)のようにとがった形状をしていることがその名の由来。「オランダハッカ」「ミドリハッカ」などの別名があります。

・ウォーターミント(ミズハッカ) Mentha aquatica
・スペアミント(オランダハッカ) Mentha spicata L.
・ペパーミント(セイヨウハッカ) Mentha × piperita

ペパーミントもスペアミントも、ハーブとしても精油としても一般的ですが、ウォーターミントの精油には、私は出会ったことはありません。

ペパーミントとスペアミントは、香りが違う

まずは、香りの違いを比べてみましょう。

ペパーミントは、強い清涼感と甘さが特徴。

スペアミントは、マイルドな清涼感に加え、ペパーミント以上の甘さが感じられます。

スイーツやアイスティーに添えたり、ミントティーやモヒートに使われたりするのは、スペアミントが多いようです。

ペパーミントとスペアミントの違い
スペアミントはスイーツのデコレーションの定番!

この香りの違いは、成分の違いによるもの。

精油の成分を比べてみると……。

ペパーミントやハッカには、強い清涼感の素ℓ-メントールという成分が含まれていますが、スペアミントには、ℓ-メントールは含まれていません。

つまり両者の違い、答えは「ℓ-メントールの有無」。

スペアミントの清涼感は、ℓ-メントールではなく、ℓ-カルボンという成分によるもの。

香りはℓ-メントールとも少し似ているのですが、清涼感はマイルドです。

精油を嗅ぎ比べても、けっこう違いがあります。

成分を比較すると、両者の違いがよくわかりますよ。—以下、フレグランスジャーナル社『カラーグラフで読む精油の機能と効用』より

ペパーミント/スペアミント精油の成分トップ5

ペパーミント
1.ℓ-メントール     38%
2.ℓ-メントン    17.3%
3.メントフラン    7.4%
4.1.8シネオール     7%
5.酢酸メンチル    3.8%

スペアミント
1.ℓ-カルボン     67%
2.リモネン     9.3%
3.1.8シネオール    2.6%
4.ミルセン     2.5%
5.酢酸カルベニル   2%

トップ5の成分で共通しているのは、1.8シネオールのみですよね。

6位以下の成分にも、共通する成分はあまりなく、強いて言えば、ペパーミントにも少しだけリモネンが入っている、くらいでしょうか。

ペパーミントとスペアミントの精油は、作用も違う

成分がこれだけ違うということは、作用にもそれなりの違いがあるということです。

ペパーミント精油は、主要成分ℓ-メントールのもつ抗菌作用や抗ヒスタミン作用、筋肉弛緩作用・鎮静・覚醒作用などが、特徴的な作用として挙げられます。

一方、スペアミント精油は、主要成分ℓ-カルボンのもつ粘膜溶解作用、脂肪分解作用などが主な作用です。

このℓ-カルボンは、ケトン類に分類されますが、一般に注意が必要とされるケトン類の神経毒性はないとされています。

つまり、ケトン類の成分だけど、安全性が高いということ。

ペパーミント精油に2番目に多く含まれるℓ-メントンという成分もケトン類ですが、こちらは少しだけ注意が必要です。

1%程度に希釈して、部分的に塗るといったレベルであれば、通常、なんら問題はありませんが、妊婦さんや授乳中の方、子ども、てんかんの持病がある方などは、ご注意ください。

ℓ-メントンならではのプラス作用もあるので、一般の大人であれば、多量、広範囲、高濃度などには気を付けて使う、という程度でOKです。

ペパーミント精油とスペアミント精油、それぞれの香りの特徴や作用の違いに合わせて、上手に活用してくださいね!

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「ペパーミント精油」と「ハッカ精油」の違い、わかりますか?答えはメントールの〇〇〇

アロマメディエーターうえむらです。

ペパーミントもハッカも知っている。

味も香りも、だいたい同じような気がするけど…。

この2つって、ホントは違うの?同じなの?

違うなら、何が違うの?

というあなたのためのおせっかい記事です。

ペパーミントとハッカは違う植物?同じ植物?

ペパーミントは、別名「セイヨウハッカ」。原産はヨーロッパ南部で、スペアミントとウォーターミントの交雑種と言われています。

一方のハッカは「ニホンハッカ」の通称。「和ハッカ」「和種ハッカ」とも呼ばれる日本の在来種(=古くからその地域に存在する生物種)です。

ペパーミントとハッカ、それぞれの植物の学名を比べてみましょう。比較のため、クールミントも明記します。

・ペパーミント(セイヨウハッカ)Mentha x piperita L.
・ハッカ(ニホンハッカ)Mentha canadensis var. piperascens
・クールミント(ヨウシュハッカ)Mentha arvensis L.

読めなくても、一部が同じ、一部が違うことはわかりますよね。

どちらも、シソ科ハッカ属の植物ですが、品種が違うということです。

ちなみに、ペパーミントには、ブラックペパーミントとホワイトペパーミントがありますが(どちらも同じ品種)、葉の形状などを見る限り、ブラックタイプがウォーターミントに近く、ホワイトタイプがスペアミントに近い印象があります。

人間と同じ、父親似だったり、母親似だったり、という感じでしょうか。

ペパーミントとハッカの香り、どう違う?

ペパーミントとハッカは種は違うのですが、どちらもシソ科ハッカ属の植物で、同じ成分もたくさん含んでいるので、そこから採れる精油の香りも似ているのです。

でも、嗅ぎ比べるとやっぱり、はっきりと違いがあります。

薄荷とペパーミントのエッセンシャルオイルの違い
同じ仲間だけど、違う精油

どちらも、スーッとした清涼感が特徴ですが、ペパーミントはしっかりとした甘さを感じます。ハッカのほうはよりくっきりシャープな清涼感が感じられます。

このスーッとした清涼感の正体は、ℓ-メントールという成分。それぞれの精油への含有比率は……。

・ペパーミント精油  35~50%
・ハッカ精油     65~85%

ハッカに軍配があがります。清涼感の強さは、このℓ-メントールの含有量の多さなのです。

つまり両者の違い、答えは、ℓ-メントールの含有量。

そして、ペパーミントにはメントフランという、ハッカ精油にはない成分が含まれています。これがハッカ精油にはない甘さをミント精油にもたらしているのです。

もちろん、他にも違いはありますが、この2点を知っておけば、成分分析表を見たとき、すぐに見分けがつくはずです。

クールミントは、ペパーミントかハッカか?

ここでちょっと脱線して。

学名のところで、比較のために明記したクールミントについて説明を加えます。

クールミントと言えばアレ!

某有名お菓子メーカーのガムの名前で有名ですよね。

学名からすると、ペパーミントともハッカとも別の品種⁉という感じなのですが。

ハッカ属の植物は種類がとても多いうえに交雑しやすく、品種改良も盛んです。そして、学名の分類方法が時代とともに変化したりもするので。

いろいろと、ややこしくなっているようです。

クールミントは「ヨウシュハッカ」「コーンミント」「アルベンシスミント」などとも呼ばれるヨーロッパ原産の帰化種(=外来の植物のうち、野生で定着している生物種)のニホンハッカ。

そう、考えていただいてよいかと思います。

精油成分的には、ℓ-メントールの含有量が多いタイプなので、「コーンミント」「アルベンシスミント」という名前の精油に出会ったら、ハッカ精油とご理解ください(クールミントという名称の精油は、私の知る限り見当たりません)。

精油については、成分分析表を見れば、ℓ-メントールの含有量でペパーミントかハッカ、どちらのタイプかがわかりますよ!

ℓ-メントールの冷感作用に注目!

ℓ-メントールには、抗菌、抗炎症、抗ヒスタミン、筋肉弛緩、鎮静・覚醒、冷感、知覚麻痺など、いろいろな作用があります。

それゆえ、使い勝手もよいのです。

ドラッグストアに行ったら、市販の医薬品、医薬部外品の箱の裏を見てみてください。かなりの商品にℓ-メントールが使われていることがわかりますよ。

ここで、ℓ-メントールの冷感作用について少し掘り下げてみましょう。

ℓ-メントールという成分そのものが、冷たい物質というわけではありません。

食品の香料として入っているものを食べたり、医薬品などに入っているものを塗ったりしたときに、実際に体温が下がったりするわけでもありません。

これは、皮膚に触れたときに、皮膚の温度センサーが冷たさを感じるという作用で、実際の皮膚や身体の温度とは無関係なのです。

おもしろいことに。

資生堂製品開発センター香料開発室が行った、「ペパーミントの香りを嗅ぎながら水に手をつける」という実験では、香りなしの場合に比べて体感温度が4℃下がるという結果が得られたそうです。

嗅いだだけでも!

冷たくもないし、冷えてもいないのに、嗅いでも、触れても冷たい、涼しいと感じるというユニークな成分。 クールダウンしたいときに、ぴったりですね。

メントールが効く!クールボディミストのススメ

この夏は、ハンディ扇風機が大活躍でしたが、体温より高い温度下で風を当て続けると、熱中症のリスクを高めてしまうとか。

そんなときは、スプレーなどでミストを吹きかけながら風を当てると、体温も下がってよいそうです。

ペパーミントやハッカの精油入りのミストなら、さらに涼しさを味わえますね。手作りのクールボディミスト、おススメですよ!

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ミント・ハッカ精油の嗅ぎ比べ、クールボディミスト作りは「パーソナルクラフト製作」がおすすめ!HPの連絡フォームより承ります。