青、緑、茶。どの色の遮光瓶を選ぶのが正解?~アロマ講師が知っておきたいこと~

アロマメディエーターうえむらです。

アメブロ(現在、更新は休止中)に投稿した中で、断トツのアクセス数を誇る2017年の記事。アクセス数が多い=需要が高いのだと思うのですが、5年も前に日記感覚で書いたものなので、手直しして、こちらへ再アップします。

精油が入った瓶は、もれなく色付きの瓶に入って販売されています。

アロマの講師であれば、色付きの瓶に入っている理由は、ご存じだと思いますが。色の違いによる機能の違いもご存じですか?

おしゃれだし、高級感とか爽やかさとかも感じるしっていう理由だけで、青いボトルを選んでる方、いませんか?

講師なら、正しい知識を持ったうえで、自分なりの考えに基づいて選択・アドバイス・使用できるのがベストですよね。ということで、アロマテラピーとは切っても切れない遮光瓶についてのおせっかい記事を書いてみます。

アロマ愛好家の皆さんも、ぜひ知っておいてくださいね。

瓶に色をつける理由は?

瓶といって真っ先に思い浮かべるのは、透明なものだと思いますが、よく見ると、私たちの身の回りには、青、緑、茶など、いろんな色の瓶があります。

精油瓶はもちろんのこと、化粧品や薬品の瓶、お酒や食用油、調味料の瓶などにも使われていますよね。この色付き瓶が「遮光瓶」です。

青、緑、茶の遮光瓶の色の違い
アロマテラピーで使う精油は遮光瓶入り

光は、物や人体にさまざまな影響を与えます。好ましい影響もあれば、そうでないものもあります。

遮光瓶は、瓶に色をつけて光を遮ることで、容器の中に入れるものの質を一定に保つ役割を果たしているのです。

じゃ、なんでいろんな色の瓶があるんでしょう?

青、緑、茶。遮光瓶の色の違いは何の違い?

いろんな色の瓶があるのは、おしゃれとかイメージアップのため?そういう視点で作られるものも、選ばれるものもありますが、本来の理由は、色によって遮ることができる光の種類が違うから、です。

ここからは、色による違いをご説明しましょう。まずは、光の波長についての予備知識から。

◆光の波長 ※nmはナノメートル(光の波長の単位)
赤外線・・・800nm以上
可視光線・・・400~800nm
紫外線UV-A・・・315~400nm 
紫外線UV-B・・・280~315nm
紫外線UV-c・・・100~280nm

もっと波長の長いものも、短いものもありますが、ここでは必要ありませんので、考えなくてOKです。では、次に色ごとの遮光できる波長の長さを見ていきましょう。

◆遮光できる波長の長さ
茶色の瓶・・・400nmまでの波長を99%遮光、400~800nmまでの波長を約60%遮光
緑色の瓶・・・350nmまでの波長を90%遮光
青色の瓶・・・300nmまでの波長を99%遮光
※(株)サンテックさんのサイト掲載情報を参考にしています

上記2つの情報を照らし合わせてみると、それぞれの色の瓶が、どの種類の光を遮っているのかが見えてきます。

・茶色の瓶は、UV-A、UV-B、UV-C を概ね遮る、可視光線もそこそこ遮る
・緑色の瓶は、UV-A の一部、UV-B、UV-Cを概ね遮る
・青色の瓶は、UV-B、UV-Cを概ね遮る

ちなみに、可視光線は人の目で見える光のこと。太陽、照明などから発せられる光で、波長の短い方から、紫→藍→青 → 緑 → 黄緑 → 黄 → 橙 → 赤として認識されます。

紫外線は人の目には見えません。殺菌やビタミンDの合成、皮膚へのダメージなどに関与します。波長が短いほど、皮膚への影響は強くなります。

具体的な皮膚への作用を挙げると、紫外線のUV-Aはしわやたるみ、UV-Bはシミや乾燥肌、皮膚がんの要因になります。UV-Cは地表には到達しないので影響はありませんが、万が一オゾン層が破壊されると、とても大きなダメージをもたらす存在です。

まぁ、結局のところ・・・。

UV-Cは地球上には届かないので、数値上は遮光できることになっているものの、どの色の瓶にとっても、関係がありませんね。

遮光瓶は“紫外線UV-AとUV-Bを遮るための瓶”という感じですね。

遮光性が高いのは茶色の瓶!アロマで青い遮光瓶はNG?

これでもう、おわかりですね。青、緑、茶の瓶で一番遮光性が高いのは、茶。そして、緑、青の順になります。

遮光にこだわるなら、瓶は茶色を選ぶべし!

ということです。

青の瓶は波長が300nmを超えると、著しく遮光性が低下するそうなので、アロマで使うのにはちょっとだけ心配ですよね。

実際、精油瓶の色としては、茶が一番多いように思いますが、緑や青のものも、けっこうあります。

もし、緑や青の瓶に入った精油を持っていて、遮光レベルが気になる場合は…。

使う時以外は、透過性でないもの(紙製、木製、金属製などのもの)にしまって、さらに光が当たらない棚の中などに保管しておくのがオススメですよ。これは、茶色の瓶の場合も当てはまります。

また、日が差す場所での使用は避けましょう。とくに、変化しやすい柑橘類の精油は要注意です。それでも品質の変化(劣化)が気になってしまうという方は、精油瓶を紙やアルミホイルで巻いたりすればOKです。

見栄えは悪くなるし、使いやすいとは言えませんが、工夫次第で変化を防ぐことができるので、青い瓶に入った精油でもご心配なく。

今後の瓶選び、製品選び、精油やアロマクラフトの使用のご参考になりましたら幸いです。

MoaMoa Mommy
精油選びに関してのご相談や「アロマの基本のキ」講座の受講のご希望は、HPの連絡フォームより承ります。

アロマ、ハーブの写真、無料フリー素材、どうぞ使ってね(でも著作権フリーではありません)

アロマテラピーに関する文章を書きたいときや、HPなどを作成するにあたって、アロマグッズや植物の写真が欲しいな~と思い、フリー素材を探した経験のある方は多いと思います。

私も日々、行っています。

その時、守らなくてはいけないのが著作権。

勝手に拝借(=パクリ、著作権侵害)が減るお手伝いになるかな?と、今回は、著作権に関するお話と、フリー素材提供のおせっかいをしてみたいと思います。

アロマ情報局による「アロマ・ハーブ無料のフリー素材」のご利用規約

写真をお使いいただく際のご利用規約は以下の通りです。

・著作権は放棄していませんので、素材としての再配布・転売・貸与等はできません
・販売を目的とする商品(Tシャツ等)や素材をメインとした制作物(カレンダー、ポストカード等)にはお使いいただけません
・本やチラシ、パンフレット等の印刷物、HPやブログ等のWEB媒体にお使いください
・個人・商用問わずご利用いただけます
・クレジットなしでご利用いただけますが、WEBの場合、出典「アロマ情報局」+当ページのリンクを明記していただけると嬉しいです

フリー素材は、このページにある写真のみです。必ず利用規約を守って、お使いください。

こんな場合は?と疑問に思われることがあれば、お問い合わせフォームからお気軽にお尋ねくださいね。

著作権侵害=パクリが横行している現状

文章や写真の無断使用、つまり著作権侵害、つまりパクリは、その昔、紙媒体しかなかった時代からありました。

ライターさんによる「パクリ文」によって、たいへんな目に遭った経験もあります(編集作業中に気づき、発行は免れましたが)。

WEB媒体が主流になりつつある今。

誰もが簡単に公に向けて情報を発信できてしまう今。

無断使用、著作権侵害は“ある”なんて生易しいものではなく、文章にしても、画像にしても、横行している、パクリだらけ。「参考」「引用」の範囲やルールを完全に超えたものを、日々、目にしています。

私自身、編集もライティングも、長年行っているため、コピペのツギハギの文章なんかは、けっこうすぐに見抜けます。

文章のそこかしこに違和感がありますから。

画像に至っては「お借りしました」なんて断り書きをして勝手に使っているものもよく目にしますけど、許可ももらっていないのに勝手に使うのは、「借りている」のではなく「盗んでいる」のと同じ。れっきとした著作権侵害です。

著作権とはなんぞや?についての詳細は、ここでは割愛します。詳しく知りたい方は、下記URLをご覧になってみてください。とてもわかりやすく説明されています☟

みんなのための著作権教室

もしあなたが、アロマやハーブを教える講師という立場であれば、なおのこと、法律やマナーを守って活動することが大事です。

アロマの知識があれば、いい先生なのではありません。人にものを教える立場の人間であれば、社会人としてのルールやマナーを守るのは、当たり前のこと。最低限のこと。

本当にアロマやハーブを愛するなら…。オリジナルの文章を作ったり、写真を撮ったりした方の労力を想像し、思いやる気持ちも持てるはず(*^-^*) 勝手にコピペ、拝借なんて絶対にやめましょうね。

無料のフリー素材提供のきっかけ

今回、無料のフリー素材を提供してみよう、と思ったきっかけを、少しお話します。

先日、ある方の「パクリ」に対する怒りのブログで「無料で使えるいいものがあれば、世の中のパクリが減るのでは?と思い、無料素材を提供している」という主旨の記事を読みまして。

なるほど!それなら私も超・超微力ながら役に立てるかもしれない、なんかアロマメディエーターらしい気もするし、ということで。

オリジナルで撮影やライティングをすることの大変さを知っているからこそ。私自身も、たくさん無料素材に助けられているからこそ。無料素材を提供してみよう!と思い至りました。

ただし、カメラは素人ですので、クオリティは高くありません”(-“”-)” ご承知の上、お使いくださいね。

前置きが長くなりましたが、次の見出しから、アロマテラピー関連やハーブなどの写真の無料素材を掲載します。マイペースで追加していきますので、よろしければブックマークしておいてください。

予告なく、削除・差し替えを行うこともあります。

クロモジの写真のフリー素材(無料)

クロモジ写真のフリー素材
クロモジ1
クロモジ写真のフリー素材
クロモジ2

ローズマリーの写真のフリー素材(無料)

ローズマリー写真のフリー素材
ローズマリー1
ローズマリー写真のフリー素材
ローズマリー2
〈ローズマリー関連記事〉☟
ローズマリー・カンファー/ローズマリー・シネオール、ローズマリー・ベルべノン精油の違いとケモタイプの話

カモミールの写真のフリー素材

ジャーマンカモミール写真のフリー素材
ジャーマンカモミール1
ジャーマンカモミール写真のフリー素材
ジャーマンカモミール2
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「ジャーマンカモミール」と「ローマンカモミール」の違いを、植物と精油で比べる

ラベンダーの写真の無料素材

ラベンダーグロッソ(ラバンディン)写真のフリー素材
ラベンダー・グロッソ
〈ラベンダー関連記事〉☟
真正ラベンダー、ラバンディン、スパイクラベンダー、ラベンダーストエカス。4つのラベンダー精油の違い

薬機法(旧薬事法)と「小分け販売」「分割販売」の違い~アロマ講師が知っておきたいこと~

アロマメディエーターうえむらです。

「小分け販売」と「分割販売」、似たような言葉ですが、それぞれの定義をご存知ですか?

アロマ講師であれば、ここはやっぱり知っておきたいところです。初耳の方、なんとな~く知っているという方、今さら聞けないという方のために。

今回は、薬機法(旧薬事法)で定められている「小分け販売」と「分割販売」の違いについて、おせっかい記事を書いてみます。

「小分け販売」と「分割販売」の違

アロマテラピー講師に関係の深い、化粧品、医薬部外品に焦点を当てて「分割販売」と「小分け販売」の説明をします。

まずは、それぞれの定義から。

▼小分け販売
あらかじめ別の容器に小分けし、販売すること

▼分割販売
求めに応じて必要量を分割充てんし、販売すること(必要事項を表示)

これを頭に入れた上で、薬機法のNGとOKを確認しましょう。

・仕入れたものをそのまま販売するのは自由、許可は不要
・製造販売をするには、許可が必要
・「小分け販売」はNG、「分割販売」はOK

NGとOKの分かれ目は、製造しているか、そうでないか。

「小分け販売」は“製造”とみなされてNG、「分割販売」は“お裾わけ”と解釈されてOKという感じでしょうか。

「小分け販売」は、あらかじめ充てんしておくことが“製造”に該当するということですね。

一方の「分割販売」は、求めに応じて、その都度行う行為で、“製造”とはみなされません(ただし、マスカラ、アイライナーは「分割販売」もNG)。

その代わりに、大切な情報を表示しなければならないのです。

薬機法(旧薬事法)に定められている「小分け販売」と「分割販売」について。アロマ講師必見。

「分割販売」OKの条件と、アロマテラピー講師の経験談

私は、アロマの講師向けに分割販売をしたことがあり、その際、県の担当部署に、電話でいろいろ確認をしました。

法律というのは本当にややこしいんです。解釈の仕方次第というグレーゾーン的なものも存在するので、素人が読んで理解するのは本当に難しく、間違って解釈してもおかしくありません。

とはいえ、違法なことをするのは嫌だったので、自分のケースを伝えて、「分割販売」の可否、表示事項、表示の仕方などを聞きました。

そして表示に関しては、商品名や製造販売業者名・住所、成分、製造番号など、元の商品のパッケージに書いてあることをすべて+以下の情報を表示しました。

・分割販売者の氏名または名称と住所
 →つまり私のサロン名と住所
・(元のパッケージの)開封日
・分割販売日
・元の商品の写真

詰め替えの容器は小さくて、とても全部を表示しきれないので、A4用紙1枚の別紙を添付する形でお渡ししていました。

また、詰め替えをする際の衛生状態を確保するために、薬機法には以下のことを順守するよう記載されています。

・製品の保管は、衛生的に行うこと
・分割充てんする場所は、清掃に努め衛生管理を適切に行うこと
・分割に使用した器具類はその都度洗浄し、衛生的に保管すること
・消費者が持参した小容器に分類充てんするときは、その小容器を
 充分洗浄する等衛生の保持に留意すること
・製造番号が異なるものは、混合してはならないこと

面倒な気もしますが、消費者を守るためには当然の内容ですね。

「分割販売」アロマ講師あるあると、老婆心

アロマテラピーの講師やセラピストが扱う商品は、精油をはじめ、それを希釈する基材、その他クラフト製作などで使うさまざまな材料があります。

講師は、あくまでも教えることが仕事。販売に力を入れるということは、あまり多くありませんが、教えたことを実践していただくために、商品を取り扱い、販売することはよくあるので、「小分け販売」「分割販売」の知識はもっていたいですね。

まず、精油は香りを楽しむための“雑貨”なので、販売は自由。そして「小売販売」「分割販売」、いずれもOK。薬事法(旧薬事法)に縛られず、情報を表示する義務もありません。

薬機法(旧薬事法)に定められている「小分け販売」と「分割販売」について。アロマ講師必見。

売る側・買う側、どちらにとっても敷居は低くなりますが、肌につけるなどの方法は自己責任。よい結果を得られることもありますが、同時に使う側がリスクを背負うことになります。

ですから、信用のおける人間関係のもとで行うのが望ましいでしょう。義務はありませんが、「分割販売」のルールに則れば、なお安心ですね!

そして、基材として使う無香料のクリームやジェル、ボディソープなどは、通常は化粧品として製造されているので、「分割販売」する場合には表示や衛生を保つための努力が必要となります。

また、ヒアルロン酸、セラミドなど、化粧品の材料となるものは“雑貨”。ローションとかクリームになって初めて化粧品となるのであり、原材料の時点では単なる素材なので、法律に縛られません。

販売するのも自由。買った人が、自分と自分の家族のためであれば、化粧品にして使うのも自由ですが、やはり自己責任となるので、購入する人にその点をしっかり認識していただくことが重要ですね。

ちなみに、医薬品は「小分け販売」「分割販売」云々の前に、そもそも許可がないと販売すらできません。

自分が「小分け販売」「分割販売」したいものがあり、「化粧品・医薬部外品」「雑貨」「医薬品」のいずれに該当するのかわからないときは、購入先か発売元に確認するとよいでしょう。

と言いつつ……。

小規模な個人事業主の業務の一部として考えると、「分割販売」は、あまりおすすめできることではない、というのが個人の感想です。

私の経験上、調べたり、表示したりする手間や衛生管理への気遣いなどを考えると、正直、面倒が多く、割に合いません。

すでに顧客となっている方や親しい方へのサービスとして。あるいは、講座のリピーター確保のための手段として行うのもアリかと思いますが。

私は、今はもう「分割販売」はしておらず、自分が在庫している商品については、パッケージそのままご購入いただくようにしています。

また、在庫していない場合は、当該品や類似品をお教えして、よそから自己責任で購入・使用いただくようにお願いしています。

〈アロマ講師が知っておきたいこと〉シリーズ人気記事☟
PP、PE、PET。どのプラスチック容器を選ぶのが正解?

「小分け販売」ネットオークション、ネットフリマでの販売にご注意を!

最後に、おまけ情報です。

最近は、ネットオークションやネットフリマが普及していますね。そこで化粧品や香水の「小分け販売」をする方が時々いるようです”(-“”-)”

使いかけを販売するのは、そのことが明示されていれば問題ありませんが、香水も化粧品の類なので、「小分け販売」はNGです。

たとえ「分割販売」であると主張しても・・・・・・。

不特定多数の人に向けて「〇mlで〇〇円」と掲載しているわけですから、求めに応じた販売と解釈するのには無理がありますよね💧

運営会社側の利用ルールにも「小分け販売」はNGであることが明記されていて、見つかると削除されたりするようですが。

容器ひとつとっても、アルコールがたくさん入った香水などを、もし耐性のないプラスチックなどに詰め替えれば、容器を劣化させたりすることだって考えられます。

また、製造販売をしている会社は、様々な手間やお金をかけて許可を取得しています。

法律は、消費者や誠実にモノ作りをしている人たちを守るためのもの。意味があって存在しているのです。

買う側もしっかりと知識をつけたり、ルールを読んだりして、違法者の行為を助長することのないようにしたいものです。

MoaMoa Mommy
アロマに関するよろず相談のご希望は、HPの連絡フォームより承ります。

PP、PE、PET。どのプラスチック容器を選ぶのが正解?~アロマ講師が知っておきたいこと~

アロマメディエーターうえむらです。

精油がプラスチックを溶かすということは、ご存知の方も多いと思います。

だから、アロマのクラフト作りなどで使ったりするときの容器の素材には注意が必要なのですが、ひとくちにプラスチックといってもさまざまな種類があります。

どれがOKで、どれがNGなの?というギモンが湧いてきますよね。

以前、私が書いたアメブロの記事の中で、特にアクセス数が多い記事のひとつが「青、茶、緑。どの遮光瓶を選ぶのが正解?」。

これが人気なら、きっとプラスチック容器選びにも、悩めるアロマ好きさんがいるはず、ということで、おせっかい記事を書いてみます。

【追記】コロナ感染拡大以降、当記事へのアクセス数が増えています。プラスチック容器とエタノールの相性については、後半に記述しています。

精油はプラスチックを溶かすってホント?

食品などの販売でよく使われる発泡トレー(PS=ポリスチレン素材)にオレンジの精油を垂らすと、かなりのスピードでトレーが溶けて穴が空いてしまいます。

これはオレンジ精油に多く含まれる「リモネン」という成分がプラスチックを溶かす性質をもっているから。

リモネンはいろいろな精油に含まれています。

とくに柑橘系の精油に多く含まれているのですが、その中でも、オレンジ、グレープフルーツは97%前後という突出した数字。

発泡トレーに垂らすと、すぐにしゅわしゅわ~っと発泡し、穴を空けます。

私が試したところでは、オレンジは数分でトレーに穴を空け、リモネンの含有率が70%ほどのマンダリンでは、発泡してかなり溶かすものの、穴が空くところまではいきませんでした(たくさん垂らしたり、薄いトレーだと空くかも?)。

一般的にリモネンを2%ほど含むラベンダーとペパーミントも同時に垂らしてみましたが、目に見えて発泡するという現象は起こりませんでした。

ただ、ラベンダーは発泡しなかったものの、じわじわとトレーを溶かし、しばらくするとトレーが少しへこみました。

ペパーミントは、精油を垂らした跡だけが残り、目に見えるレベルでは、溶けた形跡はありませんでした。

精油、リモネンがプラスチックを溶かす実験
精油による、溶かし方の違い

精油がトレーの上で流れてしまったのですが、左から、真正ラベンダー、ペパーミント、マンダリン、スイートオレンジを滴下しています。

今回使ったペパーミントとラベンダー精油の溶かし方の違いについては、次の理由が考えられます。

リモネンには、Dリモネン、Lリモネンの2タイプあります。この違いについての説明は、ここでは割愛しますが、発砲トレーを溶かすのは Dリモネン の性質。

スイートオレンジやマンダリンは、そもそもリモネンの含有量が多いうえ、そのほとんどがDリモネンなので、溶かす力もすごいわけです。

そして、ラベンダーに含まれているリモネンはDリモネン主体なので、多少ではありますが、少しトレーを溶かしたのでしょう。一方のペパーミントはLリモネン主体。目に見えて溶かす結果にはならなかったのではないかと思います。

Dリモネンは商品としても存在するくらいですから、その力はお墨付き。

発砲スチロール溶解液
https://www.impact-onlineshop.com/d-limonene-2

この溶かす性質を生かしたリサイクルシステム(ソニーが開発)もあるくらいですから、その力は疑う余地なしです。

ご興味がある方は、リサイクルシステムについての記事をご覧ください(いよぎん地域経済研究センター/2002年)。

発泡スチロール処理に画期的なシステム登場-オレンジオイル“リモネン”を用いた高知のリサイクルプラント▼
http://www.iyoirc.jp/post_industrial/20020801/

リモネンは、プラスチックのみならず、ゴムや油なども溶かすため、その性質を生かして、さまざまな工業、製品造りに利用されています。

精油はどんなプラスチックも溶かすの?

リモネンを多く含む精油は、プラスチックを溶かす力が強いのは事実ですが、どんなプラスチックも同じように、というわけではありません。

プラスチックにもいろいろな種類があるので、精油に対して耐性の高いものもあります。

精油が入っているのはガラス瓶ですが、そのキャップやドロッパーはプラスチック製です。

だから、精油のキャップやドロッパーに使われている材質のものなら、安全性が高いことはわかりますね。

具体的に、どの種類のプラスチックなら安全性が高いのか、みてみましょう。

アロマ関連の製品を販売する生活の木の商品カタログに掲載されている「耐性の目安」の表から、情報を一部抜粋してご紹介します。

〇=種類・濃度に注意すれば使用可
△=キャップ・ドロッパーは使用可
×=適していない

PP  精油△/1%未満の植物油希釈〇
PE  精油△/1%未満の植物油希釈〇
PET  精油×/1%未満の植物油希釈〇

生活の木商品総合カタログ掲載「耐性の目安」表より

PP(ポリプロピレン)は、日用品、玩具、家電、車などに使われる素材。

PE(ポリエチレン)は、ポリ袋や食品の包装袋、ラップフィルムなどの素材として知られています。

PET(ポリエチレンテフタレート)は、飲料の容器でおなじみのペットボトルや、あったか素材で知られるフリースの素材です。

この情報から読み取れることは……。

希釈していない精油をプラスチック容器に入れることはやめましょう、ということ。

実際、プラスチック容器に入って売られている精油は見たことがありませんが、お友達に少し分けてあげたい、なんて思ったときにプラスチック容器に入れるのはご法度です。

また、1%未満の植物油希釈の解釈ですが。

植物油は、ムラなくきれいに精油を溶かす(希釈する)ことができるので、高濃度の精油が直接容器に触れることはありません。

しかし、たとえば水に1%の精油を入れただけでは、水と精油はまじりあわず、分離してしまうため、精油は上に浮いて、一部分が高濃度になります。

1%濃度という安全基準は、必ずしも植物油でないにしても、1%の精油を入れたとき、完全に混ざりあう基材であることが大切ということです。

この数字は、あくまでも生活の木が提示している基準なので、絶対ではありませんが、目安として知っておくとよいでしょう。

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薬機法と「小分け販売」「分割販売」の違い

アロマで使うプラスチック容器、おすすめはどれ?

プラスチックの耐性の問題は、精油による溶解だけでなく、エタノールや熱なども、アロマテラピーを行う上で関係してきます。

PP、PEは、どちらもエタノールに対する耐性があります。

また、耐熱温度でみると、PPが90~130℃、PEが70~80℃となっています。

ちなみに、PETはエタノールへの耐性はありますが、耐熱温度が60~70℃。

これらも、生活の木の商品カタログで提供している情報です。

以上のことから判断すると、PPもしくはPEの容器を使うのが無難、とくに汎用性の高いPP素材が安心ということになります。

ご紹介した以外にも、もっと丈夫なプラスチックも、ひ弱なプラスチックも存在しますが、今回はとくに一般的なこの3種類について言及してみました。

キャップやドロッパーの材質は、通常、精油が入っている箱などに明記されていると思いますので、ぜひ、確認してみてください。

キャップやドロッパーならOKとされているPPやPEですが、精油瓶を寝かせて保存したりすると、それなりの量の精油がつねにキャップやドロッパーに触れている状態になってしまい、安全性は低下します。

保管する際は、必ず精油瓶を立ててくださいね。

それから、クラフト製作のための容器を準備するとき、費用を抑えるために百均などで購入することもあるかと思います。

でも表示をよく見ると、「アルコールは使用しないでください」といった注意書きがあったりします。

当然といえば当然ですが、安価なものは、えてして機能性、耐性などの面で劣りがちです。

用途に適したものであるか、素材の種類や注意書きをよくみて、購入・使用することをおすすめします。

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精油、基材、道具選びに関してのご相談や「アロマの基本のキ」講座の受講のご希望は、HPの連絡フォームより承ります。