虫よけアロマにはユーカリレモン!の理由と、蚊取線香、市販の虫よけスプレーとの違い

アロマメディエーターうえむらです。

皆さんは、普段どんな虫よけを使っていますか?

外で蚊に刺されるのも、もちろんイヤですが、寝ているときに襲われるのが、私は一番イヤ。かゆみと安眠妨害で腹立たしさもMAX!

真夜中の急な攻撃には、空間用のスプレーをひと吹きで対処していますが、今はいろんなタイプのものがあって、便利になりましたね。

今回は、蚊取線香や市販の虫よけスプレーの特徴や、それらとアロマの虫よけの違い、オススメの精油についてのおせっかい記事を書いてみます。

除虫菊の花の成分で蚊を殺す~蚊取線香の効果~

蚊取線香は、ひとことで言うと「殺虫剤」。

空間に拡散するタイプの虫よけ剤としては、最も歴史あるものですよね。

蚊取線香は、除虫菊=シロバナムシヨケギクの花が主な原料。

胚珠(種子になる部分)に含まれる「ピレトリン 」という殺虫効果のある成分を練りこみ、蚊を駆除するというものです。

とはいえ、最近は「ピレトリン」を化学合成した「ピレスロイド」を使った商品が主流。

除虫菊由来のものはマイナーで、ピレスロイドを使ったものよりお値段も高めですが、“天然除虫菊使用”として、今もナチュラル志向の人たちに支持されています。

【天然の除虫菊を有効成分とする蚊取線香】
・天然除虫菊 金鳥の渦巻 ミニサイズ (金鳥)
・昔ながらの天然除虫菊かとり線香 (ライオンケミカル)
・菊の香り蚊取り線香 (児玉兄弟商会)

蚊取線香は、火をつけると熱で有効成分が揮発して周囲に拡散され、近くにいる蚊の神経に作用するという仕組み。煙とは無関係で、あくまでも熱で揮発したピレトリンやピレスロイドによる作用です。

忌避効果もあるので(本能的に危険なにおいを察知して逃げるのでしょう)、蚊取線香を焚いていると、蚊に刺されにくくなるというわけです。

人間や多くの動物には作用せず、虫や魚など一部の生物にのみ毒性を発揮します。

この蚊取線香は、キンチョー(金鳥)のブランド名で知られる大日本除虫菊株式会社によって開発されたもので、日本だけでなく、蚊が多い諸外国でも活躍しています。

棒状では持ち運びや扱いに不便なうえ、燃焼時間が短いため、長持ちして扱いやすい渦巻き状のものが創業者の妻によって考案され、それが蚊取線香のスタンダードとなっています。

蚊取線香の効果
130年以上の歴史を誇る蚊取線香。粉末状→棒状→渦巻状と進化して現在に至る

睡眠時間を考慮した、1本で7時間ほど燃焼する約75cmの長さが一般的ですが、ミニサイズの商品も出回っていますね。

私は、一時、コーン型の小さい蚊取線香を作る講座を頻繁に行っていたのですが(最近、ご無沙汰です😓)。

これは10分、15分で燃焼してしまうので、寝るときに使うのには向きません。たとえば短時間の庭仕事とか、花火とか。そんなときに使うのにぴったりです!

時間に応じて、1個、2個、3個と調整できる使い切りサイズが魅力。粘土細工のように、こねこねしながら作るのは楽しいものです。

手作り蚊取線香
講座でも人気の手作り蚊取線香

わが家では、蚊取線香は家の中では使っていませんが、植木屋の夫が仕事の必需品として常備しているものを、花火やBBQ、草むしりなど、アウトドアで時々使っています。

昔は、空間用の虫よけといったら蚊取線香でしたが、やがて、電気の熱で2㎝四方くらいのマットをあたためて有効成分を揮発させる「〇〇マット」なるものが登場しました。

煙も出ないし、火も使わないし、なんて画期的なんだ!と、子供ながらに思った記憶があります。

こうした空間用の蚊よけ商品は、その後も進化を続け、いまは液剤を揮発させるタイプ、吊るすタイプ、スプレータイプなど、各社からいろいろ出ていますが、その成分表示を見ると、おおむね「ピレスロイド系」と表示されています。

形態、形状は違っても、この成分は、昆虫忌避の定番中の定番。使う場所や場面に合わせて選べる、虫よけの強い味方です。

マスキング効果で蚊の吸血行動を阻む~ディート&イカリジンで虫よけ~

ディートやイカリジンを有効成分とする肌用の虫よけ剤をひとことで言うと「攪乱剤」。

肌につけると、マスキング効果によって、虫は人の体から発せられるサイン(炭酸ガス、におい、温度など)が感知できなくなり、吸血対象に気づけないのです。

でも、塗り残しがあると、その部分は感知されてしまいます。スプレーしたあと、ムラにならないよう、手でまんべんなく塗り広げるのが刺されないための秘訣です。

ディートやイカリジンの虫よけ効果は蚊を攪乱

実際に、きちんと塗り広げた腕とスプレーしただけの腕を、蚊のいるケースに入れて実験している映像を見たことがありますが、スプレーしただけの方は、やはりムラになっていたようで、数か所刺されていました。

ディートを有効成分とする商品は、使用できる年齢や回数などに決まりがありますが、イカリジンを有効成分とする商品は、制限なく使うことができます。

ディートのほうが防げる害虫の種類は多いので、状況に応じて選べばOKですが、蚊はディート、イカリジンどちらでも効果があります。

ディートやイカリジンの濃度は商品によって異なり、濃度が高いほど効果の持続時間が長くなるので、塗り直しの回数は少なくなります。濃度が高い=蚊よけの威力が強いではありませんのでご注意を。

普段使いには低濃度のもの、長時間のアウトドアには高濃度のものといった使い分けをするとよいですね。

苦手な香りで蚊を遠ざける~精油(エッセンシャルオイル)で虫よけ~

精油(エッセンシャルオイル)を使った虫よけをひとことで言うと「嫌悪剤」。

って、そんな言葉はありませんが。勝手に名付けてみました。苦手、嫌いだから、近づかないという単純な原理です。蚊取線香と違って、殺虫効果はありません。

アロマの虫よけスプレーは、水で希釈した精油の成分が揮発して忌避できるわけです。必ずしも肌でなくても、服などにつけることでも効果を発揮するので、小さいお子さんや敏感肌の方にもオススメです。

アロマの虫よけなら自分で濃度も調整できます。服につける場合は濃いめに、直接肌につける場合は薄めになど、使用方法に応じて変えることもできるのがメリットです。

精油を有効成分としているものは、ディートやイカリジンの虫よけに比べると効果は弱め。揮発も早いため、塗り直しは、こまめにする必要があります。

ゆっくり揮発させるために、水ではなく、クリーム基材に混ぜて塗るという方法もあります。

アロマの虫よけがディートやイカリジンの虫よけとは大きく違う点は香り。天然の香りならではの心地よさはやっぱり魅力的です。

天然素材という安心感もあります。そして手作りすればかなり安価です。

近所を少し散歩するとか、買い物に行くとか、刺される可能性があまり高くない場合や、短時間のお出かけに重宝しますよ。

蚊よけにオススメの精油はユーカリ。だけど・・・・・・

では、具体的にどんな精油がおすすめなの?

ということですが、アロマテラピーで一般的に使われている精油の中から選ぶなら…。

「ユーカリレモン」です。

「レモンユーカリ」「ユーカリシトリオドラ」などとも呼ばれていて、主成分のシトロネラールが、蚊などの虫にとって苦手とされています。

名前に“レモン”がつくことからも想像できる通り、レモンのような香りがする精油で、一般にユーカリ精油として知られている「ユーカリグロブルス」や「ユーカリアラディアータ」とは、成分も香りも全く違います。

「ユーカリグロブルス」や「ユーカリラディアータ」は、1.8シネオールを主成分とする精油で、スースーした清涼感のある香り。呼吸器系のトラブルにオススメで、蚊が苦手なシトロネラールは、まったく含まれていません。

詳しい説明は、よろしければ過去の記事でご覧ください☟

〈おすすめ関連記事〉
「ユーカリグロブルス」「ユーカリラディアータ」「ユーカリレモン」精油の違い、お教えします!

ユーカリレモン精油が虫よけにオススメな理由あれこれ

さて、蚊が苦手とするシトロネラールですが、ユーカリレモン以外にも、これを含む精油はあります。なのに、どうしてユーカリレモンなのかというと、それはシトロネラールの含有量がダントツに多いから。

◆シトロネラールの精油中の含有量
ユーカリレモン   約72%
シトロネラ・ジャワ 約42%
レモンティーツリー 約21%
※「生活の木」取り扱い精油の成分分析表参照(2021年7月25日現在)

できるだけ精油の濃度を低く抑えながら、シトロネラールの効果を得るには、ユーカリレモンを使うのがオススメなのがご理解いただけますよね。

低い濃度で使える=肌への刺激が少ないということであり、少ない量で作れる=安く作れるということでもあります。

そして、香りが苦手な人が少なくて、安定的に市場に出回っていて、価格がお手頃。いろんな意味でユーカリレモンは使いやすい精油なのです。

昆虫の忌避作用をもつ成分は、他にもいろいろありますし、その成分を含む精油もたくさんあります。多くの論文もあります。ただ、作用があるという事実と、実用に適しているかは、また別のはなし。

私たちが使用するためには、肌につけたり、自然と香りを嗅いだりするわけですから、濃度なども重要です。ケースの中にいる蚊に有効である=オススメ精油とは必ずしもならないのです。そんな中で…。

①ユーカリレモン精油は、シトロネラ精油とともに、昆虫の忌避剤として米国環境保護局(EPA)の承認を得ている(情報元:『抗菌アロマテラピーへの招待』)。

②アロマテラピーの講座で作ったユーカリレモンの虫よけを使った経験がある

手作りの虫よけパッチ
私の講座でも、たくさんの方に虫よけスプレーや虫よけパッチ作りを楽しんでいただきました

③ユーカリレモンが主成分の市販の虫よけを使った経験がある

【精油を有効成分とする虫よけ】
・虫よけパッチα シールタイプ (アース製薬)
・アンチバグ (アロミックスタイル)
・アウトドアスプレー (アミザージ)

こうしたことを通じて、ユーカリレモンは、虫よけとしての一定の安全性(安全な使い方)と効果が認知されていて、他の精油と比較しても、信頼度が高い、使いやすい精油と言っていいと思います。

また、ユーカリレモン精油には、ディートと同等かそれ以上の効果があるとされる「p-メンタン-3.8ジオール」という成分も微量含まれているそうです(微量すぎるのか、成分分析表では確認できません)。

そしてこの「p-メンタン-3.8ジオール」は、ユーカリレモン精油にたっぷり含まれるシトロネラールから作れるそうです☟

上述のp−メンタン−3,8−ジオール異性体混合物の製造方法は、特に限定されるものではないが、例えば原料としてd−シトロネラール、l−シトロネラール、及び、dl−シトロネラールのいずれかを用いる、当業者にとって公知の方法を採用することができる。
ー引用元:生命科学関連特許情報(出願番号2011259259)

合成、天然どちらのシトロネラールからも作れますが、下記の市販の虫よけ商品には、p-メンタン-3.8ジオールは「ユーカリ精油由来」と書かれています。

それなりに強力なのか、肌に直接つけるタイプではなく、服や空間用が一般的です。UVカット成分がプラスされている商品もあり、虫よけも進化を遂げていますね。

【を主な有効成分とする虫よけ】
・服にスプレー スキンベープミスト ナチュラル UVカット (フマキラー)
・ペット用アースノーマット (アースペット)
・ナチュラス ボタニカルスプレー (アース製薬)

というわけで、あれこれ語りましたが、ユーカリレモン精油がオススメな理由、伝わりましたか?

仕事でアロマに関わっているわけでもないと、昆虫忌避作用のある精油を何種類も購入して少しずつ使うのって、けっこうたいへんですよね。

忌避作用がある精油をいろいろブレンドして使うのももちろんあり!ですが、もし虫よけ用に1本だけ買うとしたら…。ぜひ、ユーカリレモンを!

蚊を物理的にシャットアウト!~網戸や蚊帳~

付録情報です。ここまで化学の力を利用した忌避のはなしをしてきましたが、ちょっと別の視点から。

虫を物理的にシャットアウトする網戸や蚊帳のおはなし。

これらは、破れなどがない、きちんとした状態のものであれば、場面・場所は限定されるものの、安全性とか時間とか関係なく虫よけができるお役立ちアイテムです。

でも、たとえば網戸をきちんと閉めているはずなのに…。破れもないはずなのになぜいるの!?っていうことありませんか?

玄関やベランダを出入りしたときに、という可能性もあると思いますが。じつは、網戸の閉め方に原因がある場合も。

網戸って、窓の右側で閉めるのが正解なんだそうです。窓は左側に寄せて、網戸は右側に。逆にすると、窓と網戸の間に隙間ができてしまい、そこから虫が侵入しやすくなるのだとか。

また、蚊は通常の網戸の網目を通過できませんが、コバエなど、一部の虫は網目を簡単に通り抜けてしまいます。けっこう楽々通り抜けている様子を映像で見たことがあります。

あまり侵入がひどい場合は、網目の細かいタイプに替えたり、スプレー剤や蚊取線香と併用するなどの合わせ技で対処するとよいですね。

蚊帳は、家の中ではもちろんのこと、持ち運びもできるので、キャンプなどのアウトドア活動が多い方は、1つ用意しておくと安心かもしれません。

たかが蚊、されど蚊。

我々と蚊との攻防戦は、未来永劫続くのでしょうから。TPOに応じて、安全性と効果を天秤にかけながら、虫よけ対策をしていきましょう。

MoaMoa Mommy
虫よけスプレー、虫よけパッチ、蚊取線香講座の受講のご希望は、HPの連絡フォームより承ります。

プチグレンの正体は?ネロリとの香りや効果の違いは?

アロマメディエーターうえむらです。

プチグレンはビターオレンジの枝や葉から採る精油、という説明が一般的ですが。

じつは、それは100%正確ではありません。

以前、アメブロで書いた記事「プチグレンの正体は?」を元に、新たな情報を加えながら、アロマ情報局バージョンでおせっかい記事を書いてみます。

プチグレンの正体は?

プチグレンは、ビターオレンジ(日本名:ダイダイ)の小枝や葉から抽出する精油。

という説明が一般的ですが、じつは、レモンやマンダリンなどのプチグレン精油もあります。

レモンの精油
レモン
ビターオレンジの精油 プチグレン
ビターオレンジ
マンダリンの精油
マンダリン

つまり、柑橘類の小枝や葉から抽出する精油は、すべてプチグレン。ビターオレンジに限らないのです。

ここで、レモン、ビターオレンジ、マンダリンという異なる柑橘から抽出する3種のプチグレン精油を比べてみましょう。

上位4種類の成分をリストアップしてみました。ややこしい成分名を覚えたりする必要はありません。けっこう違いがある、というのが理解できればOKです。

レモン、ビターオレンジ、マンダリンのプチグレンの比較

ただ、いろんなプチグレンがあるとはいえ、実際、世の中に出回っているものは圧倒的にビターオレンジ由来が多いのは確か。

だから、とくに断りがなければ、“プチグレン=ビターオレンジの枝葉由来の精油”と解釈してOKです。

原料になる植物が違うと当然ながら学名も違い、成分が違い、香りも作用も違ってきます。

店頭で香り重視で選ぶなら、自分の感覚(好み)でOKですが、作用を重視して選ぶなら、なんの柑橘のプチグレンなのか把握しておいたほうがよいかも。

たとえば、もっとも多く含まれる成分に着目して例を挙げると・・・。

  • レモンのプチグレン・・・リモネン=血流増加作用
  • ビターオレンジのプチグレン・・・酢酸リナリル=鎮静作用
  • マンダリンのプチグレン・・・アンスラニル酸-N-ディメチル=抗うつ作用

こんな感じです。

あなたは、プチグレンにどんな作用を求めますか?

同じ植物由来のプチグレンでも、ブランドやロットによって成分に違いもありますし。

ちょっと難易度が高いかもしれないけど。

成分分析表で、自分が求める成分がどれくらい含まれているのか確認できると、より効果的に使えますよ。

プチグレンとネロリの違いを、香りと効果で比べてみる

プチグレンが柑橘系の植物の枝葉から採る精油であり、その多くがビターオレンジ由来であることをご理解いただいたところで。

次はプチグレンとネロリの違いについてご説明します。ビターオレンジとの違いについては、今回は深く追求しません。ビターオレンジ精油の情報を知りたい方は、こちらのリンクからどうぞ☟

違い”シリーズ関連記事〉
「スイートオレンジ」と「ビターオレンジ」精油の違いと光毒性

ビターオレンジという植物は、「果皮」「枝葉」「花」の3つの部位から精油を抽出でき、それぞれ精油の呼び名が変わります。

  • ビターオレンジの“果皮”から抽出…「ビターオレンジ」精油
  • ビターオレンジの“枝葉”から抽出…「プチグレン」精油
  • ビターオレンジの“花”から抽出・・・「ネロリ」精油

この3種の異なる精油の情報を、下の表にまとめてみました。上位4つの成分をリストアップし、同じ成分は同じ色にしてあります。

精油を採る植物が同じなので学名はどれも一緒、Citrus aurantium。でも、抽出する部位が違うので、成分は異なります。

ビターオレンジ、プチグレン、ネロリの比較
参考:『カラーグラフで読む精油の機能と効用』、生活の木の成分分析表

プチグレンとネロリ精油、共通する成分もあるので、似ているところもあります。

香りは、違うんだけど、どこか似ています。プチグレンは枝葉から採ることもあって青臭い印象が強く、ネロリは青っぽさ、苦み、フローラル、爽やかさなどが絡み合った繊細な印象。

成分は、どちらにも含まれる酢酸リナリルやリナロール、ネロリにそこそこ含まれるリモネンなどに鎮静作用があるのですが、酢酸リナリルはとくに鎮静作用が高いことで知られています。

ですから、酢酸リナリルをたくさん含むプチグレンは、心を落ち着けるより高い効果が期待できます。

一方のネロリですが、上の表では「その他」に含まれていて見えませんが、気分を高揚させるゲラニオールという成分が含まれており、心を落ち着けるとともに、明るく元気にしてくれる効果が期待できます。

プチグレンのほうが深い鎮静、ネロリは鎮静+元気、と覚えておいてください。

余談。プチグレン&ネロリ精油はそこそこメジャー、ビターオレンジ精油はマイナー

プチグレンとネロリは、アロマテラピーで、そこそこ使われる精油です(ネロリはお高いから講師でも持っていない方のほうが多いかもしれませんけど)。

一方、果皮から採るビターオレンジ精油は、お手頃価格で購入できますが、じつはけっこうマイナーなのです。

なぜなら、スイートオレンジ精油と作用がほとんど同じなのに、ビターオレンジ精油のほうには、肌につけるとよろしくない成分が含まれているから。

香りを重視するとき以外、あえて選ぶ理由がないのですよね。

その香りも、実際、かなり近いですし。

スイートオレンジ精油は、ほとんどのブランドで扱っていますが、ビターオレンジ精油は、扱っていないブランドのほうが多いかもしれません。

スイートオレンジとビターオレンジの違い、肌によろしくない精油成分についての詳しい話は、こちらの記事で解説しているので、興味のある方はご覧くださいね ☟

違い”シリーズ関連記事〉
「スイートオレンジ」と「ビターオレンジ」精油の違いと光毒性

もうひとつ余談。プチグレンの名前の由来

プチグレン=petit grainは、フランス語で「小さい粒」という意味があるそう。

なんか、かわいらしいネーミングですね(#^.^#)

これは元々、ビターオレンジの未熟果(小さくて青い状態のもの)を精油の原料としていたことに由来します。

今でも、未熟果も原料に含んでいるプチグレン精油もあります。

そうなると、成分もまた、それなりに違ってきそうですけど(*^-^*)

ちなみに、スダチやシークワーサーなどは、通常、青い状態で市場に出荷されますが、あれはまさに未熟果。ゆず胡椒に使われる青柚子も未熟果。

ということは。

最近は、国産のスダチやシークワーサーの精油(果皮から抽出)なども市販されてるけど、昔で言うなら、これがまさに「スダチのプチグレン」「シークワーサーのプチグレン」なのでしょうね。

MoaMoa Mommy
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レモングラス、レモンバーム、レモンバーベナ、レモンマートル、リトセア。香りは似てるけど、見た目も科名も全然違う


アロマメディエーター
うえむらで
す。

名前に“レモン”がついた精油や、レモンみたいな香りがする精油って、けっこうたくさんあるのをご存知ですか?

タイトルに記載したもの以外にも、シトロネラ、ユーカリレモン、レモンティーツリーなどがありますが。

どうして同じような香りがするの?

レモンバームとレモンバーベナって同じもの?違うもの?

わかっているような、そうでないような曖昧な知識、アロマメディエーターうえむらのおせっかい記事でスッキリさせてください。

レモングラス、レモンバームetc.レモンの香りがする精油を集めてみた

レモンは言わずと知れた柑橘類。柑橘の果皮から採れる精油は、レモン以外に、オレンジ、グレープフルーツ、マンダリン、ベルガモット、ライム、柚子などたくさんあります。

最近は、みかん、いよかん、甘夏など、国産の柑橘精油もいろいろ出回っています。

どれも、香りを嗅げば柑橘精油だとわかりますが、当のレモンを除き、「レモンの香り!」と思うものは、あまりありません。

強いていえば、マンダリンが酸っぱめのせいか、レモンに近いかな~というくらいでしょうか。

一方、柑橘類ではない植物から抽出する精油の中に、「レモンの香り!」と、感じるものが多くあります。それが、以下の表の精油たち。比較のため、レモンも最下段に載せています。

レモングラス、レモンバーム、レモンバーベナ、レモンマートル、リトセアの違い

〈精油成分の参考資料〉
カラーグラフで読む精油の機能と効用(フレグランスジャーナル刊)
エッセンシャルオイル総覧2007(フレグランスジャーナル刊)
ティーツリーファームズ成分分析表

表の見方を補足すると。

金額は、表中のすべての精油を取り扱っている生活の木のものです(投稿時現在、税込み)。

成分①~④は、含有率の多い順に、上位4つを挙げています。これは一例なので、実際はブランドやロットによって異なります。あくまでも違いや共通点を理解するための資料としてご参照ください。

オレンジ色の網掛けがしてあるd-リモネンは、柑橘精油の主成分で、甘酸っぱいフレッシュで爽やかな香りがします。

黄色で網掛けしてあるのは、レモンみたいな香り(レモン様の香り)をもつ成分。複数あります。

一番右端の柑橘臭としているのは、表中のオレンジ色と黄色部分を合計した数字。

成分名と一緒に書かれているアルファベットは、香りのおおざっぱな印象です。

それでは、詳細を見ていきましょう。

レモンの香りがする精油は、柑橘精油にあらず

d-リモネンは、柑橘を柑橘たらしめる香り。すべての柑橘精油の主成分です。

ゲラニアールやシトロネラールなどは、レモンっぽい香りの成分。柑橘精油には、あまり含まれていません。

当のレモンにすら、わずか数%程度(ロットによりますが、ふつう5%にも満たないレベル)。オレンジなら、0.5%にも満たない超微量。

でもそれが、柑橘ではない1~7の植物にはたくさん入っているのです。

柑橘の精油は、d-リモネンという共通の成分によって、ベースとなる香りが決まっていて、それ以外の成分によって、自分らしさ、個性を出しているというのに。

見た目も科も全然違う植物たちが、こぞって似たようなレモンみたいな香りを出す。

なんだか、おもしろいですね。

レモンみたいな香りの精油、共通点は?違いは?

まずは、各精油の成分以外の点に注目してみます。表の1~7を順に見ていきましょう。

1、レモングラス
和名を「レモンガヤ(檸檬茅)」と言います。原産地は熱帯アジア。イネ科植物なので、葉も細長くシュッとしています。レモングラスという名前は、直訳すれば「レモン草」。そのまんまですね。精油は全草から蒸留します。

レモングラス レモンガヤ
SONY DSC

2.レモンバーム
別名をメリッサ、和名をコウスイハッカ(香水薄荷)と言います。原産地は南ヨーロッパ。シソ科の植物で、同じシソ科のミント類に近い外観をしています。精油は全草から蒸留します。採油率が低くて稀少なので、とっても高価です。

レモンバーム コウスイハッカ

3.レモンマートル
レモンマートルの「マートル」は、日本では「ギンバイカ(銀梅花)」と言います。花の外観に由来するようです。原産地はオーストラリア。ユーカリやティーツリーと同じフトモモ科の植物です。精油は、枝葉から蒸留します。

レモンマートル

4.レモンバーベナ
和名をコウスイボク(香水木)と言います。原産地はアルゼンチン、ペルー、チリ。ランタナと同じ、クマツヅラ科の植物です。精油は葉と花から蒸留します。採油率が低く稀少なので、かなり高価です。

レモンバーベナ コウスイボク

5.リトセアキュベブ
(リトセアクベブ/リツエアクべバ)
別名をメイチャン、和名をアオモジ(青文字)と言います。コショウ科の蔓植物に、クベバ/クベブ(別名:ヒッチョウカ)というのがありますが、香りはレモンではなくスパイシー。見た目は、リトセアの葉が茂っている頃だと、少し似ているかも?という感じ。名前の由来に関係があるのかどうかはよくわかりません。原産地は中国で、メイチャンは「中国の女神」の意味。クロモジ(黒文字)同様、クスノキ科の植物です。精油は果実から蒸留します。

リトセアキュベブ リツエアクベバ メイチャン アオモジ

リトセアの葉が茂っている写真
       ➡Litsea cubeba

クベバの写真 ➡piper cubeba

6.ユーカリレモン
別名をユーカリシトリオドラと言います。Citri(シトリ)=「レモンの」、odora(オドラ)=「香り」です。原産地はオーストラリア。3のレモンマートル同様、フトモモ科の植物です。精油は、葉と小枝から蒸留します。よい写真素材が見つからず、乾燥しかかっている葉を、私が家で撮影したものです☞

ユーカリレモン ユーカリシトリオドラ

7.シトロネラジャワ
シトロネラジャワは、シトロネラールを多く含むタイプのシトロネラ精油の呼び名。シトロネラは、和名をコウスイガヤ(香水茅)と言います。原産地はスリランカ。レモングラス同様、イネ科の植物です。精油は、全草から蒸留します。

シトロネラの写真は入手できませんでしたが、レモングラスと似た細長くてシュッとした姿です。

以上、表+解説で、なんとなくお気づきかと思いますが。

レモンみたいな香りがする精油たち、原料植物の科名とか姿形とか、原産地とか、精油の抽出部位とか、けっこうそれぞれです。

レモン様の香りがすること以外の共通点は、ほとんどにレモンの香りにちなんだ名前がついていること、同じ科の場合に限れば原料植物の姿形も似ている(→当たり前よね)、といったところでしょうか。

〈精油の“違い”シリーズおすすめ記事〉
「スイートオレンジ&ビターオレンジ精油の違いと光毒性

レモンみたいな香りの精油、成分に注目

次に、成分①~④に注目してみましょう。

1~5の精油のレモン様の香りの素は「ゲラニアール」と「ネラール」という成分。これら両方を合わせて「シトラール」と呼ぶこともあります。

ゲラニアールのほうはシャープでフレッシュなレモン臭、ネラールのほうはライトで甘味のあるレモン臭らしいです。

科も全然違う1~5の植物に、同じ成分が主成分としてこんなにも含まれているなんて、本当に興味深いですね。

6、7のレモン様の香りの素は「シトロネラール」という成分。表中の上位4つまでには入っていませんが、レモンバームにも少し含まれています。

黄色い網掛けをしている成分は、どれも「テルペンアルデヒド」と呼ばれるグループに属しています。

テルペンアルデヒドに属する成分は、強い柑橘臭をもっているため、テルペンアルデヒドを多く含む精油=レモン、柑橘の印象が強くなる、というわけです。

レモンバームやレモンバーベナは、テルペンアルデヒドの含有率が他の精油に比べて少なめ。その分、他の成分による作用もけっこう期待できます。

レモンみたいな香りの精油、使い道

テルペンアルデヒドに属する成分には、全般に抗ヒスタミン作用、抗菌・抗真菌作用などがあり、虫刺されの痒みや水虫、掃除などに、他の精油とブレンドして使ったりします。

また、鎮静作用があるので、たとえば鬱気味、興奮・緊張状態、集中力が低下しているときなどに芳香浴を楽しむのもよいでしょう。

シトロネラールにおいては、局所鎮痛作用や昆虫忌避作用もあるので、筋肉痛や虫よけに使えますよ。

d-リモネンを主成分とする柑橘精油は、香りに慣れ親しんでいることや爽やかさから、好む人が多いのですが、香りが弱く、揮発も早いため、クラフト作りに使うと、実際にそれを使用するときには、かなり物足りな~い感じに。

香りうすっ!ってなります。

だからといって大量に入れたらコストがかかるし、スキンケアクラフトだったら肌への刺激が強くなってしまうし。

一方、柑橘じゃないけど、レモン様の香りがする精油たちは、クラフトにもしっかりと香りづけできます。

皮膚刺激があるため濃度に注意が必要ですが、少量で香りづけできるので、スキンケアクラフトも低濃度で作れます。

個人的には、レモン様の香りの精油たちは、香水やルームスプレーなどのフレグランス、入浴剤や石鹸などのクラフトに使うのがおススメです。

柑橘精油の代替にしたり、柑橘精油と合わせてシトラス感を増強させたり、ブレンドのつなぎにしたり(シトラス系の香りは、どんな香りとも合わせやすいので)してお楽しみください。

また、レモンみたいな香りが共通しているとはいえ、それぞれ異なる成分が入っていたり、成分比率も違うため、精油ごとに香りにも個性が。対面販売の店にはテスターがあるので、ぜひ、嗅ぎ比べてマイベストを探してみてくださいね。

MoaMoa Mommy
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「ユーカリグロブルス」「ユーカリラディアータ」「ユーカリレモン」精油の違い、お教えします!

アロマメディエーターうえむらです。

ユーカリの木は種類が豊富で、変種なども含めるとその数800種以上と言われています。

その中で、精油を抽出するものは複数あるのですが、アロマテラピーでよく使われるのは主に3種類。

今回は、その3種類のユーカリについて、共通点や違いを、おせっかい記事にしてみます。

アロマ講師が使う3大ユーカリ精油はこれ!

アロマテラピーの講師がよく使うユーカリ精油は、ユーカリグロブルス、ユーカリラディアータ、ユーカリレモン。

どれも、葉から精油を抽出します。

ざっくり言うと、グロブルスとラディアータは共通点が多く、ユーカリレモンはこれら2つとは、まったく別もの。

下の表は、精油に多く含まれる成分を3つずつピックアップしたものです。

ユーカリグロブルス、ユーカリラディアータ、ユーカリレモンの違い

精油は自然由来で、ブランドごと、ロットごとに実際の組成は異なるため、これはあくまでも一例ですが。

グロブルスとラディアータは、主成分が同じで、その含有率も近いことがわかります。

そのほかにも、含有量は少ないものの、共通する成分は複数あり、香りも作用も似ています。

一方、ユーカリレモンは、主成分も、それ以外の成分も、2つの精油とは全然違うことがわかりますよね。

もちろん、香りも作用もまったく違います。

ユーカリグロブルス、ユーカリラディアータは、どんなユーカリ?

まずは、ユーカリグロブルス精油とユーカリラディアータ精油の共通点から。

ユーカリグロブルス、ユーカリラディアータ、ユーカリレモンの違い
ユーカリグロブルス(別名:ブルーガム)。ユーカリラディアータやユーカリレモンも葉の形状は似ている。

どちらも主成分は1.8シネオール(読み方:イチハチシネオール)。

別名をユーカリプトールと言い、スーッと染みとおるような香りが特徴で、これが精油全体の香りの印象にもなっています。

1.8シネオールには、去痰作用、気管支の抗炎症作用、免疫向上作用、抗菌作用などがあり、どちらの精油も、呼吸器系のトラブルによく使われます。

呼吸器系のトラブルに特化して使いたい場合には、より多く1.8シネオールを含むグロブルスがおすすめですが、刺激も強くなるので使用には少し注意が必要です。

次に、ユーカリグロブルス精油とユーカリラディアータ精油の違いについて。

グロブルスには、免疫向上作用、鎮咳作用、鬱滞除去作用などをもつα-ピネンという成分が含まれています。

α-ピネンは森林浴の香りとして知られていますが、実は、みょうが独特の香りがそれ。春菊にも含まれているそうです。

一方、ラディアータは、免疫調整作用をもつα-テルピネオールという成分を含んでいて、喘息、花粉症などのアレルギー体質改善への効果が期待できます。

また、このα-テルピネオールは、1.8シネオールとの相乗効果によって、免疫機能向上の効果を高めると言われています。

この両方の成分が含まれている精油は、ユーカリラディアータのほかに、カユプテ、ニアウリ(シネオールタイプ)、ラヴィンサラなどがあります。

それから、グロブルスは、微量ですが、神経毒性があると言われるケトン類を含んでいることがあります。

一方のラディアータはケトン類を含まず、1.8シネオールの刺激もグロブルスより少なめなので、子どもや妊婦さんは、ラディアータを使うのがおすすめです。

香りは、どちらもスーッと染みとおるような印象ですが、1.8シネオールを多く含むグロブルスのほうが、清涼感もより強く感じられます。

ラディアータは、1.8シネオール以外の成分比率が高くなる分、清涼感はやや控えめ。他の成分の影響を受け、甘さも感じられます。

ユーカリレモンは、どんなユーカリ?

ユーカリレモン精油は、レモンユーカリ、ユーカリシトリオドラなどの名前で呼ばれることもあります。

主成分となっているシトロネラールは、局所鎮痛作用、抗炎症作用などのほか、昆虫忌避作用(=虫が嫌う香り)があることで知られています。

アメリカの環境保護局でも、ユーカリレモン精油は忌避剤としての承認を得ているそうです。

シトロネラールは、レモン様の香りなので、精油全体もレモンのような香りがします。

ユーカリレモン精油には、ゲラニオールや、アメリカDCD(米国疾病予防管理センター)で、ディートの代替品として認可されているp-メンタン-3.8ジオールなど、昆虫忌避作用がある成分が、他にも含まれています。

虫よけにユーカリレモン
   ユーカリレモン精油は、虫よけの代表選手

市販の「ハーブの蚊よけ」的な商品にも、ユーカリレモン精油はよく配合されています。

そのほか、ユーカリレモン精油に多く含まれるシトロネロールという成分は、ローズやゼラニウムの精油にも含まれていて、ローズっぽい香りがします。

虫が嫌うユーカリレモンの香りも、私たち人間にとっては親しみやすい香り。

手作りの虫よけスプレーにも大活躍の精油なのです。

〈オススメ関連記事〉
虫よけアロマにはユーカリレモン!の理由と、蚊取線香、市販の虫よけスプレーとの違い

3つのユーカリ精油、つまりこういうこと

ここまでの説明から、もうお分かりかと思いますが、3つのユーカリ精油の特徴を、少し情報を追加しながらまとめてみますね。

ユーカリグロブルス精油とユーカリラディアータ精油は、呼吸器系のトラブルに役立ち、その効果はグロブルスに軍配があがるが、刺激が強め。

ユーカリラディアータ精油は、免疫系への作用にすぐれ、アレルギーにもおすすめ。香りも刺激も穏やかで、安全性も高い。

ユーカリグロブルス精油とユーカリラディアータ精油の清涼感ある香りは、心や頭をすっきりさせ、頭脳を明晰にしてくれる。

ユーカリレモン精油は、レモンのような香りをもち、昆虫の忌避作用にすぐれている。人間にとっては親しみのある香りで、心を落ち着かせてくれる。

といったところでしょうか。

ユーカリグロブルスとユーカリラディアータは、冬にお役立ち度が高く、ユーカリレモンは夏にお役立ち度が高い精油ですね。

ユーカリ精油は、どれも金額はお手頃。

用途に応じて、じょうずに使い分けしてみてくださいね。

〈精油の“違い”シリーズおすすめ記事〉
ローズマリー・カンファー/ローズマリー・シネオール、ローズマリー・ベルべノン精油の違いとケモタイプの話

私のユーカリの思い出は「ヴィックスベポラッブ」

最後に私のユーカリにまつわる思い出話を、おまけにひとつ。

かの有名な大正製薬のヴィックスベポラッブには、ユーカリ油が有効成分として入っているってご存知ですか?

ヴィックスベポラッブ(成分、効能)☟
https://brand.taisho.co.jp/vaporub/product/

子どもの頃、夜、布団に入っても、鼻詰りや咳で寝つきにくかったとき、母がこの薬を、胸のところに塗ってくれました。

ベタベタするので、塗ったあとにはパジャマにつかないようティッシュペーパーを貼り付けてくれて。

母の手で塗ってもらう安心感と、鼻づまりや咳が楽になることで、塗った後はすーっと穏やかに寝つけたことを、ウン十年経ったいまもよく覚えています。

ユーカリと言えば、コアラのごはんというイメージしかなく、こんなカタチで自分がお世話になっていたことを、大人になってアロマを学んで知りました。

植物のチカラって、やっぱりすごいですね!

MoaMoa Mommy
アロマに関する原稿執筆、監修等のご依頼は、HPの連絡フォームより承ります。

「スイートオレンジ」&「ビターオレンジ」精油の違いと光毒性

アロマメディエーターうえむらです。

親しみやすい香りから、アロマ初心者にも人気の高いオレンジ精油。

いざ買おうとしたら、「スイートオレンジ」「ビターオレンジ」の2種類ある。どっちを買えばいいの?

と、迷った経験はありませんか?

店頭なら、香りを嗅いで好みのほうを買う選択もできますが、ネット販売ではそうもいきません。

今回は、何が違うのかわからない、どちらを買うべきか悩む、という方のためのおせっかい記事です。

スイートオレンジとビターオレンジは、何が違う?

スイートオレンジとビターオレンジの精油(エッセンシャルオイル)は、原料となる植物の種類が違います。

どちらもミカン科の植物ではあるものの、学名も異なる別品種。

スイートオレンジ Citrus Cinensis
ビターオレンジ Citrus Aurantium

スイートオレンジは、私たちがふだん食用として慣れ親しんでいるオレンジ。

スイートオレンジ精油の原料はバレンシアオレンジなど

「バレンシアオレンジ」「ネーブルオレンジ」「ブラッドオレンジ」などです。

これらは、それぞれ外見や食用としたときの味や香りの特徴には、少し違いがありますが、どれも学名は同じ。

精油に使われるのは、ほとんどが生産量の多いバレンシアオレンジのようです。

アロマテラピーの現場で、特別な説明なくオレンジと呼んでいる場合は、こちらのスイートオレンジから抽出した精油のことと解釈してOKです。

一方のビターオレンジは、酸味や苦みが強いため、食用には果皮をママレードにしたり、スダチやカボスなどと同様、果汁を調味料にしたりして使います。

日本名は「橙(ダイダイ)」。

ビターオレンジ精油の原料は橙(ダイダイ)

そう、お正月の鏡餅の上にのせるアレ。

子孫繁栄の願いをこめて飾る、縁起物です。

日本で流通しているビターオレンジ精油は、以前は外国産ばかりでしたが、最近は「橙(ダイダイ)」の和名を商品名にした国産も出回っています。

スイートオレンジは青年の香り、ビターオレンジは大人の香り

柑橘系の精油は、すべて果皮から採ります。

抽出方法には、果皮を絞る圧搾法と、水蒸気で蒸留する水蒸気蒸留法の2つがあります。

スイート、ビターどちらも、熱による影響を受けない分、圧搾法で抽出した精油のほうが、香りはより本物に近くなります。

スイートオレンジ精油は、手で皮を剥いた瞬間、プシュッっと弾け飛ぶあの香りそのまま。

甘さとフレッシュな爽やかさが印象的ですよね。

一方のビターオレンジは、甘く爽やかな中に、苦みや深みが感じられます。

人に例えれば、スイートは青年、ビターが大人のイメージといったところでしょうか。

スイート&ビターオレンジ精油の使い道は、ほぼ同じ。だけど…光毒性に要注意!

スイートオレンジ 精油とビターオレンジ精油、どちらもリモネンという成分が95%以上含まれています。

残りわずかの成分の違いが、それぞれの香りの印象の違いを生み出しているのですが、作用の面では、大部分がリモネンに由来するものなので、どっちもほぼ一緒。

抗菌、鎮静、血流増加などが主な作用です。

親しみのある香りということも手伝って、リラックス効果を得やすく、ストレス解消や安眠などに役立ちます。

香りを嗅ぐことで神経に作用し、心や体になんらかの効果をもたらすという使い方が最も一般的だと思います。

肌への作用はあまりないのですが、香りが好みだから使いたいという場合に、ひとつ気を付けていただきたいことがあります。

それは光毒性。

光毒性とは、精油が肌に付着した状態で紫外線を浴びると、シミや炎症などの皮膚トラブルを起こす性質のこと。

スイートオレンジ精油に光毒性はないと言われていますが、ビターオレンジ精油は要注意!

水蒸気蒸留法による精油ならば、光毒性に関与する成分が抽出されないので大丈夫。

でも、圧搾法によるビターオレンジ精油はキケンです。

国内産の柑橘精油は、ほとんど水蒸気蒸留ですが、外国産の柑橘精油は、ほぼ圧搾法で抽出されています。

抽出法は商品の説明書きや成分分析表にたいてい記載されているので、ビターを肌に使う際は、どちらなのか、きちんと確認してくださいね。

もしわからない場合は、夜、寝る前を除き、ビターオレンジ精油の肌への塗布は控えるのが無難ですよ。

スイートオレンジとビターオレンジの違い。つまり、こういうこと。

ここまで、文章で説明してきたことを、表にまとめると、つまりこういうことです。

スイートオレンジ精油とビターオレンジ精油の違いを比較

ここに「ふだんオレンジって言われている精油はスイートのほうですよ」ということと、「光毒性とは?」という説明加えれば、重要なことは、ほぼ網羅。

比較しやすくて、スーッと頭に入ってきますよね。

違い”シリーズ関連記事〉
プチグレンの正体は?ネロリとの香りや効果の違いは?

ビターオレンジは、果皮のほか、花からネロリ精油、枝葉からプチグレン精油を採ることができます。

なぜ 、 ネロリとプチグレンの精油はスイートオレンジではなく、ビターオレンジからなのかはよく知りません。

スイートオレンジの花や枝葉からは、採れないのか?採らないのか?

私が知っている限り、ビターが原料という説明書きしか見たことがなく、ネロリやプチグレンの精油の学名も、いつもビターのほう。

もし、スイートオレンジのネロリやプチグレンがない理由、 もしくはスイートオレンジのネロリやプチグレンの商品をご存知の方がいましたら、ぜひ教えてください!

MoaMoa Mommy
アロマに関する原稿執筆、監修等のご依頼は、HPの連絡フォームより承ります。

「メディカルグレード」「クリニカルグレード」「セラピーグレード」。どれが一番いい精油?


アロマメディエーター
うえむらで
す。

アロマテラピーのマストアイテムである精油選びにまつわるお話です。

メディカルグレードなんて聞くと、品質が高いとか、高い効果を得られる精油のように感じられますよね。

この精油のグレードって、何を基準に誰が決めているのでしょう。

メディカルグレード、クリニカルグレード、セラピーグレードだったら、どれが一番上なの?

グレードという言葉の意味を確認しつつ、おせっかい記事を書いてみます。

グレードの意味を「お米」を例に確認してみる

まずは、グレードという言葉の意味を確認してみましょう。

グレード(grade)=等級

辞書によると。

等級とは「上下・優劣の順位を示す段階」とあります。

例えば、お米の評価で「特A」とか「A´」という等級を聞いたことがありませんか?

これは、一般財団法人日本穀物検定協会という機関による評価です。

食味評価を行う20名のエキスパートが、毎年、銘柄ごとに提出されたお米(ごはん)を食べて、官能試験というものを実施し、評価しています。

米の評価は日本穀物検定協会によって行われる

お米の銘柄ごとの優劣。

まさにグレードですね!

これは、基準米と試験米を項目ごとに比較し、それを総合的にみて判定するのですが。

ここでポイントになる点は2つ。

①評価の基準があらかじめ決まっているということ。
②評価するのは、試験米を作っている人や売っている人ではなく、第三者であるということ。

これによって、客観的かつ公平な情報を消費者に提供しているのです。

とはいえ、これはあくまでも日本穀物検定協会が決めた基準によって導かれた評価。

好みは人それぞれですし、参考にしようとしまいと自由ですが。

日本人の好みを踏まえて、お米のプロたちが評価項目を定めているので、私なら参考にします。

精油のグレードは、誰が、どんな基準で決めているの?

では、精油に置き換えて考えてみます。

例えばメディカルグレードの精油って、誰がどんな基準でそう決めているのでしょう?

他にどういうグレードがあって、その中のどの段階なのでしょう?

この質問に答えられる人は、いないはずです。

なぜなら、〇〇グレードは“自称”だから。

どのブランドの精油がおすすめ?高品質?

少なくとも、この記事を書いている2020年6月現在、日本には精油の品質に等級をつける機関は存在しませんし、メディカルアロマの本場と言われているフランスにもないはずです。

自身が製造や販売、あるいは使っているブランドの精油が好きだからこそ、こだわりがあるからこそ、よさを伝えたい。そう思うのは自然なことです。

〇〇グレードとか、最高級とか。

品質の高さを想起させるような枕詞をつけたくなる気持ちはわかります。

でも残念ながら、これは客観的な基準に則ったものではありません。

「メディカルアロマを教えている講師に支持されている」

どこかの病院で使われている」

「セラピストによく使われている」

など(の情報)を理由に、そう“自称”しているということです。

精油の“プロフィール”と“グレード”は別もの

たとえば、「なぜ、この精油は〇〇グレードなの?」という問いに

「メディカルアロマの本場フランスの医療現場で使われているから」

「薬局で処方されているから」

「セラピストに支持されているから」

という返答は、〇〇グレードという等級を表す表現の理由、根拠にはなりません。

なぜなら、お米の例で書いた2つのポイント「あらかじめ決められた基準」によって「第三者が判定している」ものではないから。

客観性も公平性もないから。よその精油との比較になっていないから。優劣のつけようがありません。

「メディカルアロマの本場フランスの医療現場で使われている」

「薬局で処方されている」

「セラピストに支持されている」

事実なら、それを標榜するのはなんら問題ありません。

でも、それが事実であることと、〇〇グレードを自称することは別の話です。

じゃあ、それって一体、どこの病院で使われているの?いま現在どれくらいの数の病院で使われているの?どんな風に使われて、どういう成果をもたらしているの?

フランスのどこか1か所の診療所で使っているだけでもOKですか?10か所なら?100か所なら?

100か所あって、1つの病院が、年間3人に処方しているだけでもOKですか?10人なら?100人なら?

100人に処方して、よい成果が得られたのが年間3人でもOKですか?10人なら?100人全員なら?

どこからが〇〇グレードで、どこからが××グレードなんでしょう?

基準もなく、比較対象もなく、具体的な数や成果の情報もないのに、どうグレードが決まるのでしょう?

残念ながら、“自称”でしかありません。

グレードという言葉より、プロフィール、個性に注目!

客観的な基準がない以上、グレードを評価する(感じ取る)のは、消費者です。

「メディカルアロマの本場フランスの1000病院で使われている」

「パリにある〇〇病院で年間約1000人の患者に処方され、約半数に有用性があった」

「〇〇の研究機関の試験で、この精油を使って、80%の人の〇〇が改善された」

基準がなくても、このような事実があるなら、それを標榜すればよいのではないでしょうか。

それを証明できるものを明示すれば、どれだけ信頼に値するでしょう。

きっと多くの消費者は「品質が高そう」「効果がありそう」「安全性が高そう」=グレードの高い精油と思うはずです。

それを書かずに、〇〇グレードという言葉に頼って、よさをアピールしようとするのは面倒だから?

もしかしたら、本当は〇〇グレードと呼ぶに足るだけの事実がないのかもしれません。

〇〇グレードという言葉を使って品質のアピールをするのは、ある意味簡単です。

その言葉を使えばいいだけだから。

でも、本当に素晴らしいもので、その理由があるなら、本当にこわだわりや自信があるなら。

誰でも自由に使える〇〇グレードという言葉より、事実を、その精油のプロフィール、個性を、もっと丁寧に発信してほしい。

私は、そう思います。

それが、真に大切にしている精油へのリスペクトだと思うから。

事実を具体的に継続的に。手間ひまが愛情の証

事実とは、たとえばこんなことです。

・オーガニック認証や無農薬認証がある
・化粧品としての認可を取得している
・精油の材料となる花を1つ1つ丁寧に手摘みしている
・〇〇にしか生育していない希少な植物から採れる
・年間100本限定で生産
・低温で通常の2倍の時間をかけて蒸留している
・日本国内の第三者機関による成分分析表がある
・その精油を治療に生かしている病院のリストがある
・その精油によって得られたエビデンスがある
・すべて自社農場で育てた植物を原料としている
・複数の農場と契約し、品質や成分を一定に保っている

この事実を、どう解釈するか、何に魅力を感じるかは、消費者次第です。

アロマテラピーは予備知識がないと、こうした事実からだけでは、なかなかよさを汲み取ってもらえなかったりもします。

だから、ついグレードという言葉に頼ってしまうのかもしれません。

でもそれは、やっぱり安易というか誠実じゃない気がします。

また、数ある精油の中から、選んでもらえるようにするには、上記のような事実を明記するだけではなく、伝え方も大事ですよね。

・農場に足を運んだ社長がその様子を日々ブログで発信する
・病院で得られた治療の成果をレポートにする
・植物の成長を写真で見せる
・農場の見学を受け入れる
・その精油とのコラボ商品を開発する
・精油の良さを感じてもらえるイベントに参加する
・その精油で作るクラフト講座を開催する

こういったことを、継続的に行うのって、手間や時間、お金がかかります。

「メディカルアロマの本場フランスの医療現場で使われているメディカルグレードの精油です」

と書くこととは、天と地ほどの差があります。

でも、その手間を惜しまず、よさを伝える努力をし続けるところに、その商品に対する愛情やリスペクトが伝わってくるのだと思います。

ほんとうに素晴らしい精油なら、グレードなんて言葉を使うより、事実を手間ひまかけて発信するほうが、きっとその精油の本当の魅力が伝わるはずです。

ちなみに、私は複数のブランドの精油を使いますが、一番多く使うのはプラナロムです。

メディカルグレードのエッセンシャルオイルがおすすめ?高品質?

プラナロムの精油をメディカルグレードだから高品質な精油であるというように説明している方を多く見かけますが、私が使う理由は、メディカルグレードだからではありません。

ここでは詳細は割愛しますが、いろいろな理由、事実から、総合的に判断しています。

他のブランドの精油を使う理由も同じ。

少なくとも、どの種類の精油も、どこかのブランドのものが、つねにすべて最高級だなんてありえませんし、使う目的が違えば、求める要素も違ってきます。

アロマの知識がなくて、どの精油を買っていいのかわからないという方ほど、グレード、最高級などの言葉に目がいきがちですが。

そんな誰もが好き勝手に使える言葉ではなく、根拠のない優劣ではなく。

その精油のプロフィール、個性に目を向けて、あなたが心惹かれる精油を選んでください。

たとえば、「店頭で香り嗅いでみて心が震えた!」とか「たった1種類の精油だけを大切に作り続ける姿勢に心打たれた」とか「自分に必要な〇〇の成分が多く入っている」とか。

あなた自身の基準、感覚を大切に。

精油の売り買い、不当表示に気を付けて!

最後にもうひとつ。

〇〇グレードとか最高級など、等級を表すような表現を、客観的な根拠なく、商品の宣伝やPRに使うのは、場合によっては景品表示法の不当表示になることも。

アロマテラピーに限った話ではありませんが、商品やサービスの宣伝やPR、説明をする際は、景品表示法や薬機法(旧薬事法)などの法律を守らなくてはなりません。

これは、消費者を守るためのもの。

「実際より良く見せかける表示が行われたり、過大な景品付き販売が行われると、それらにつられて消費者が実際には質の良くない商品やサービスを買ってしまい不利益を被るおそれがあります。(中略)消費者のみなさんがより良い商品やサービスを自主的かつ合理的に選べる環境を守ります。」-消費者庁HPより

提供側になると、自分がよいと思うものを多くの人に伝えたい一心で、悪気はなくても、行き過ぎた表現、都合のよい表現を使ってしまうということが多々あります。

提供者は、消費者目線を忘れずに。

消費者は、冷静な目を失わずに。

あたなと精油のHappyな出会い、そして楽しいアロマライフを心から願っています。

MoaMoa Mommy
精油選びのご相談、アロマに関する原稿執筆、監修等のご依頼は、HPの連絡フォームより承ります。

「キャリアオイル」と「ベースオイル」は違うもの?

アロマメディエーターうえむらです。

本やWEBでアロマの情報を見ているときに、「キャリアオイル」とか「ベースオイル」という言葉が、よく出てきますよね。

この2つって同じもの?いや、もしかしたら違いがある?

と、今さら聞くに聞けないギモンを持っているあなたのために、おせっかい記事を書きます。

キャリアオイルとベースオイルは違いません!

結論から申し上げると、キャリアオイルとベースオイルは同じ。どちらも植物から抽出するオイル(植物油)で、呼び方が2通りあるだけ。

キャリアオイルとベースオイルは同じ
キャリアオイル=ベースオイル

キャリアオイルは、「肌に塗り広げる(スキンケア)」「滑らかに手を動かす(トリートメント)」「体内に取り込む(経皮吸収)」など、オイルに混ぜた精油を運ぶ役割を果たすところからついた呼び名。

「キャリア(career)=運ぶもの、運び役」ということです。

一方、ベースオイルというのは、アロマのクラフト製作などにおいて、精油を希釈する基材の役割を果たすところからついた呼び名。

「ベース(base)=基材」ということです。

アロマを仕事にしている方たちは、たぶん、自分がアロマを習ったときに、テキストに載っていた、あるいは先生がよく使っていた言い方に慣れ親しんで口にしていることが多いと思います。だからあなたも、どちらでもお好きな言い方をしてOKですよ。

キャリアオイル=ベースオイルには、どんな特徴がある?

アロマテラピーでよく使われるのは、ホホバオイル、スイートアーモンドオイル、アプリコットカーネルオイル、グレープシードオイル、オリーブオイルなどなど。

他にも、いろいろありますが。

・成分
・酸化しやすさ
・におい
・浸透しやすさ
・軽さ
・精製/未精製
・保湿性
・刺激

などの点において、それぞれに特徴を持っているので、用途や好み、肌の状態などに合わせて選んだり、時にはブレンドしたりして使います。

精油をきれいに混ぜ込んでくれる(親油性がある)ため、アロマテラピーのお役立ちアイテムとなっています。

1本目のキャリアオイルには、酸化しにくさNO.1 で、べたつかず、肌との馴染みもよいホホバオイルがおススメですよ。

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