「キャリアオイル」と「ベースオイル」は違うもの?

アロマメディエーターうえむらです。

本やWEBでアロマの情報を見ているときに、「キャリアオイル」とか「ベースオイル」という言葉が、よく出てきますよね。

この2つって同じもの?いや、もしかしたら違いがある?

と、今さら聞くに聞けないギモンを持っているあなたのために、おせっかい記事を書きます。

キャリアオイルとベースオイルは違いません!

結論から申し上げると、キャリアオイルとベースオイルは同じ。どちらも植物から抽出するオイル(植物油)で、呼び方が2通りあるだけ。

キャリアオイルとベースオイルは同じ
キャリアオイル=ベースオイル

キャリアオイルは、「肌に塗り広げる(スキンケア)」「滑らかに手を動かす(トリートメント)」「体内に取り込む(経皮吸収)」など、オイルに混ぜた精油を運ぶ役割を果たすところからついた呼び名。

「キャリア(career)=運ぶもの、運び役」ということです。

一方、ベースオイルというのは、アロマのクラフト製作などにおいて、精油を希釈する基材の役割を果たすところからついた呼び名。

「ベース(base)=基材」ということです。

アロマを仕事にしている方たちは、たぶん、自分がアロマを習ったときに、テキストに載っていた、あるいは先生がよく使っていた言い方に慣れ親しんで口にしていることが多いと思います。だからあなたも、どちらでもお好きな言い方をしてOKですよ。

キャリアオイル=ベースオイルには、どんな特徴がある?

アロマテラピーでよく使われるのは、ホホバオイル、スイートアーモンドオイル、アプリコットカーネルオイル、グレープシードオイル、オリーブオイルなどなど。

他にも、いろいろありますが。

・成分
・酸化しやすさ
・におい
・浸透しやすさ
・軽さ
・精製/未精製
・保湿性
・刺激

などの点において、それぞれに特徴を持っているので、用途や好み、肌の状態などに合わせて選んだり、時にはブレンドしたりして使います。

精油をきれいに混ぜ込んでくれる(親油性がある)ため、アロマテラピーのお役立ちアイテムとなっています。

1本目のキャリアオイルには、酸化しにくさNO.1 で、べたつかず、肌との馴染みもよいホホバオイルがおススメですよ。

MoaMoa Mommy
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ラベンダーアングスティフォリア、ラバンディン、スパイクラベンダー、ラベンダーストエカス。4つのラベンダー精油の違い

アロマメディエーターうえむらです。

ラベンダーといえば、リラックスに効果的な精油の代表といった印象ですが。

じつはラベンダー精油には、いくつか種類があって、リラックス効果なんて得られない精油も存在するってご存知ですか?

今回は、えっ、そんなこと知らないよ~!というあなたや、ラバンディンってラベンダーなの?というあなたのためのおせっかい記事です。

4種のラベンダー精油

ラベンダーに限らず、植物って同じ名前で呼ばれていても、じつは品種が異なるものがたくさんあったりします。

元の植物の品種が違うと、精油の特徴、つまり成分も香りも作用も違ってきます。少し違うもの~かなり違うものまでさまざまです。

ラベンダー精油として一般に販売されているものは、次の4種類。

①真正ラベンダー(ラベンダーアングスティフォリア)
②ラバンディン
③スパイクラベンダー(ラベンダースピカ)
④ラベンダーストエカス

②のラバンディンは、①の真正ラベンダーと、③のスパイクラベンダーの交配・交雑種。

ハーフなので、成分や香りなど、両方の要素を持ち合わせています。 主な成分を表組で見てみると、そのことがよくわかります☟

4種類のラベンダー精油の成分

精油は天然のものなので、原料となる植物の生育地、時期などによって、成分組成は違ってきます。

上記の表の数字はあくまでもサンプルで、実際はメーカーやロットごとに少しずつ(場合によってはかなり)異なるのですが、ここでは、理解しやすいよう、この数字を参考に説明をしていきますね。

真正ラベンダー精油とラバンディン精油、違いと共通点

一般に知られているラベンダーの鎮静作用は、主に「リナロール」「酢酸リナリル」という成分に由来します。このうち、とくに鎮静作用が高いのは「酢酸リナリル」。

「リナロール」はフローラルな印象、「酢酸リナリル」はフローラル+フルーティーな印象、どちらも甘さを感じる香りです。

この2つの成分は、真正ラベンダー、ラバンディンともに多く含まれていて、“ラベンダーらしい香り”の正体にもなっています。

真正ラベンダー ラベンダーアングスティフォリア
真正ラベンダー(ラベンダーアングスティフォリア)
ラバンディン ラベンダーグロッソ
ラバンディンの中の“グロッソ”と呼ばれるタイプ

なので、真正ラベンダー、ラバンディン、どちらの精油の香りを嗅いでも、多くの人はラベンダーと認識しますが、テレビや本などでラベンダーと呼ばれて紹介されているのは、真正ラベンダーです。

真正ラベンダーとラバンディンは、違う点より共通点のほうが多いといってもいいかもしれません。でも、両方の精油を嗅ぎ比べると、確かな違いがあります。

真正ラベンダーの香りはフローラルな印象が強いのに対し、ラバンディンは、それに加えて少しスーッというかツンというか、爽やかな印象があるのです。

これは「カンファー」という成分が、ラバンディンに7%含まれていることで感じる香り。真正ラベンダーには、ほとんど(もしくは全く)含まれていません。

ラバンディンに含まれる「カンファー」は、スパイクラベンダーから受け継いだ成分で、神経を覚醒させる作用をもっています。

つまり、どちらの精油にも鎮静作用はあるものの、ラバンディンは覚醒作用のある「カンファー」を7%含んでいるため、リラックス効果の高さは、真正ラベンダーに軍配があがるということになります。

どちらの精油も「リナロール」を多く含むので、鎮静作用のほかに、鎮痛作用や肌の抗炎症作用などもあります。

真正ラベンダーとラバンディンでは、ラバンディンのほうが暑さへの耐性もあり、丈夫で生育が早い、採油量が多いなどの理由から、同じブランドでも、精油はラバンディンのほうが安価なことが多いです。

今回、詳細の説明は省きますが、ラバンディンは、成分が真正ラベンダー寄りのものと、スパイクラベンダー寄りのものがあり、その成分の偏り方によって、それぞれ別の精油名で販売されることもあります。

スパイクラベンダーは、どんな精油?

スパイクラベンダーは、上記の成分の表を見てわかる通り、とくに強い鎮静作用を持つと言われる「酢酸リナリル」が含まれていません(メーカーによっては含む)。

一方、覚醒作用のある「カンファー」を14%含んでいます。これは瘢痕形成作用をもつため、小さな傷や、やけどの手当に、とくに有効とされています。

そのほかに多く含まれる「1.8シネオール」は、呼吸器系に有効に作用する成分で、神経への働きとしては覚醒。

鎮静作用のある「リナロール」は、それなりの量が含まれているものの、総合的にみると、真正ラベンダー、ラバンディンのような鎮静効果は期待できないといっていいでしょう。

ブランドによる成分の差も大きいようなので、成分分析表でしっかり確認して使うのがおススメです。

成分分析表の見方がわからないアロマ初心者さんは、専門家(アロマ講師など)に相談してから使うのがよいでしょう。

ラベンダーストエカスは、どんな精油?

ラベンダーストエカスは、もはや私たちがラベンダーと認識している香りとは似て非なるもの。作用も別モノです。見た目にも、けっこうな違いがあります。

ラベンダーストエカス(フレンチラベンダー)
ラベンダーストエカス

「フェンコン」、「カンファー」を多く含むラベンダーストエカスの主な作用は、粘膜溶解、脂肪溶解、皮膚の瘢痕形成、覚醒など。

精油を販売している、とあるサイトで「成分はフェンコン、カンファー等で、他のラベンダーとは少し異なるが効能は似ている」と説明されているのを見かけましたが。

スパイクラベンダーには多少、似ている部分もなきにしもあらずですが、真正ラベンダーときた日には、作用、香り、何もかもまったくといっていいほど似ていません(^^;

「フェンコン」、「カンファー」はケトン類というグループに属す成分で、高濃度で使ったりすると神経毒性があると言われています。

ケトン類を65%も含むストエカスは、使用にあたって注意が必要です。

ちなみに、ラベンダーフランスという名称で販売されているラベンダーがありますが、これはフレンチラベンダーの意味ではなく、フランス産(原料の生産地)のイングリッシュラベンダーのこと。

紛らわしいですが、一番、リラックス効果が高く、安全性も高いタイプなので、安心してお使いください。

成分分析表の見方を知っていれば、このような精油の名称に惑わされることなく正しく扱えるのですが、アロマ初心者さんには無理なことなので、ラベンダーストエカスも、専門家に相談してから使うのがおススメです。

リラックス効果が一番高いラベンダーは?

ここまで読んで、もうおわかりかと思いますが、リラックス効果が一番高いのは①の真正ラベンダーで、以下②③④の順となります。

私たちが、ふだんラベンダーと言っているのは、真正ラベンダーのことですが、安価なラバンディンを真正ラベンダーであるかのように思わせて販売する、真正ラベンダーに一部混ぜ込む、といったこともあると、よく耳にします。

また、使用に最も注意が必要なのは④のラベンダーストエカスで、以下③②①の順となります。

香りの印象の違いや、成分分析表で成分を確認できる知識を身に着けると、より安全に、より効果的にアロマテラピーを楽しめますよ(#^.^#)

ラベンダー以外にも、まぎらわしい精油については、カテゴリー分類して“違い”シリーズとして記事を書いています。たとえば☟

ペパーミント精油とハッカ精油の違い、
わかりますか?

違い、わからないよ~という方は、ご覧ください。

悩んだときに、どっちを買えばいいか、どう使えばいいかのヒントになると思います。

知っておいて損はありませんよ(^_-)-☆

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PP、PE、PET。どのプラスチック容器を選ぶのが正解?~アロマ講師が知っておきたいこと~

アロマメディエーターうえむらです。

精油がプラスチックを溶かすということは、ご存知の方も多いと思います。

だから、アロマのクラフト作りなどで使ったりするときの容器の素材には注意が必要なのですが、ひとくちにプラスチックといってもさまざまな種類があります。

どれがOKで、どれがNGなの?というギモンが湧いてきますよね。

以前、私が書いたアメブロの記事の中で、特にアクセス数が多い記事のひとつが「青、茶、緑。どの遮光瓶を選ぶのが正解?」。

これが人気なら、きっとプラスチック容器選びにも、悩めるアロマ好きさんがいるはず、ということで、おせっかい記事を書いてみます。

【追記】コロナ感染拡大以降、当記事へのアクセス数が増えています。プラスチック容器とエタノールの相性については、後半に記述しています。

精油はプラスチックを溶かすってホント?

食品などの販売でよく使われる発泡トレー(PS=ポリスチレン素材)にオレンジの精油を垂らすと、かなりのスピードでトレーが溶けて穴が空いてしまいます。

これはオレンジ精油に多く含まれる「リモネン」という成分がプラスチックを溶かす性質をもっているから。

リモネンはいろいろな精油に含まれています。

とくに柑橘系の精油に多く含まれているのですが、その中でも、オレンジ、グレープフルーツは97%前後という突出した数字。

発泡トレーに垂らすと、すぐにしゅわしゅわ~っと発泡し、穴を空けます。

私が試したところでは、オレンジは数分でトレーに穴を空け、リモネンの含有率が70%ほどのマンダリンでは、発泡してかなり溶かすものの、穴が空くところまではいきませんでした(たくさん垂らしたり、薄いトレーだと空くかも?)。

一般的にリモネンを2%ほど含むラベンダーとペパーミントも同時に垂らしてみましたが、目に見えて発泡するという現象は起こりませんでした。

ただ、ラベンダーは発泡しなかったものの、じわじわとトレーを溶かし、しばらくするとトレーが少しへこみました。

ペパーミントは、精油を垂らした跡だけが残り、目に見えるレベルでは、溶けた形跡はありませんでした。

精油、リモネンがプラスチックを溶かす実験
精油による、溶かし方の違い

精油がトレーの上で流れてしまったのですが、左から、真正ラベンダー、ペパーミント、マンダリン、スイートオレンジを滴下しています。

今回使ったペパーミントとラベンダー精油の溶かし方の違いについては、次の理由が考えられます。

リモネンには、Dリモネン、Lリモネンの2タイプあります。この違いについての説明は、ここでは割愛しますが、発砲トレーを溶かすのは Dリモネン の性質。

スイートオレンジやマンダリンは、そもそもリモネンの含有量が多いうえ、そのほとんどがDリモネンなので、溶かす力もすごいわけです。

そして、ラベンダーに含まれているリモネンはDリモネン主体なので、多少ではありますが、少しトレーを溶かしたのでしょう。一方のペパーミントはLリモネン主体。目に見えて溶かす結果にはならなかったのではないかと思います。

Dリモネンは商品としても存在するくらいですから、その力はお墨付き。

発砲スチロール溶解液
https://www.impact-onlineshop.com/d-limonene-2

この溶かす性質を生かしたリサイクルシステム(ソニーが開発)もあるくらいですから、その力は疑う余地なしです。

ご興味がある方は、リサイクルシステムについての記事をご覧ください(いよぎん地域経済研究センター/2002年)。

発泡スチロール処理に画期的なシステム登場-オレンジオイル“リモネン”を用いた高知のリサイクルプラント▼
http://www.iyoirc.jp/post_industrial/20020801/

リモネンは、プラスチックのみならず、ゴムや油なども溶かすため、その性質を生かして、さまざまな工業、製品造りに利用されています。

精油はどんなプラスチックも溶かすの?

リモネンを多く含む精油は、プラスチックを溶かす力が強いのは事実ですが、どんなプラスチックも同じように、というわけではありません。

プラスチックにもいろいろな種類があるので、精油に対して耐性の高いものもあります。

精油が入っているのはガラス瓶ですが、そのキャップやドロッパーはプラスチック製です。

だから、精油のキャップやドロッパーに使われている材質のものなら、安全性が高いことはわかりますね。

具体的に、どの種類のプラスチックなら安全性が高いのか、みてみましょう。

アロマ関連の製品を販売する生活の木の商品カタログに掲載されている「耐性の目安」の表から、情報を一部抜粋してご紹介します。

〇=種類・濃度に注意すれば使用可
△=キャップ・ドロッパーは使用可
×=適していない

PP  精油△/1%未満の植物油希釈〇
PE  精油△/1%未満の植物油希釈〇
PET  精油×/1%未満の植物油希釈〇

生活の木商品総合カタログ掲載「耐性の目安」表より

PP(ポリプロピレン)は、日用品、玩具、家電、車などに使われる素材。

PE(ポリエチレン)は、ポリ袋や食品の包装袋、ラップフィルムなどの素材として知られています。

PET(ポリエチレンテフタレート)は、飲料の容器でおなじみのペットボトルや、あったか素材で知られるフリースの素材です。

この情報から読み取れることは……。

希釈していない精油をプラスチック容器に入れることはやめましょう、ということ。

実際、プラスチック容器に入って売られている精油は見たことがありませんが、お友達に少し分けてあげたい、なんて思ったときにプラスチック容器に入れるのはご法度です。

また、1%未満の植物油希釈の解釈ですが。

植物油は、ムラなくきれいに精油を溶かす(希釈する)ことができるので、高濃度の精油が直接容器に触れることはありません。

しかし、たとえば水に1%の精油を入れただけでは、水と精油はまじりあわず、分離してしまうため、精油は上に浮いて、一部分が高濃度になります。

1%濃度という安全基準は、必ずしも植物油でないにしても、1%の精油を入れたとき、完全に混ざりあう基材であることが大切ということです。

この数字は、あくまでも生活の木が提示している基準なので、絶対ではありませんが、目安として知っておくとよいでしょう。

〈アロマ講師が知っておきたいこと〉シリーズおすすめ記事☟
薬機法と「小分け販売」「分割販売」の違い

アロマで使うプラスチック容器、おすすめはどれ?

プラスチックの耐性の問題は、精油による溶解だけでなく、エタノールや熱なども、アロマテラピーを行う上で関係してきます。

PP、PEは、どちらもエタノールに対する耐性があります。

また、耐熱温度でみると、PPが90~130℃、PEが70~80℃となっています。

ちなみに、PETはエタノールへの耐性はありますが、耐熱温度が60~70℃。

これらも、生活の木の商品カタログで提供している情報です。

以上のことから判断すると、PPもしくはPEの容器を使うのが無難、とくに汎用性の高いPP素材が安心ということになります。

ご紹介した以外にも、もっと丈夫なプラスチックも、ひ弱なプラスチックも存在しますが、今回はとくに一般的なこの3種類について言及してみました。

キャップやドロッパーの材質は、通常、精油が入っている箱などに明記されていると思いますので、ぜひ、確認してみてください。

キャップやドロッパーならOKとされているPPやPEですが、精油瓶を寝かせて保存したりすると、それなりの量の精油がつねにキャップやドロッパーに触れている状態になってしまい、安全性は低下します。

保管する際は、必ず精油瓶を立ててくださいね。

それから、クラフト製作のための容器を準備するとき、費用を抑えるために百均などで購入することもあるかと思います。

でも表示をよく見ると、「アルコールは使用しないでください」といった注意書きがあったりします。

当然といえば当然ですが、安価なものは、えてして機能性、耐性などの面で劣りがちです。

用途に適したものであるか、素材の種類や注意書きをよくみて、購入・使用することをおすすめします。

MoaMoa Mommy
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“飲める精油”、“精油を飲む”は、なぜブームになった?

アロマメディエーターうえむらです。

“飲める精油”とか“精油を飲む”といったキーワードが、ここ数年、アロマ市場?業界?を賑わしていますね。

最近は少し落ち着いた感がありますが、一時、私も何人もの方から、意見を求められたり、相談されたりしました。

以前、発行していたメルマガ「秘密の香庭」で触れたテーマで、当時、反響もあったことを受け、何度かに分けて、おせっかいブログを書いてみようと思います。

「精油は飲まない」が、お約束だよね?

アロマを少しでも勉強したり、使ったりしたことのある方は、何かしらで情報を得て「精油は飲まない」と、インプットされていると思います。

精油を飲む方法は、確かに存在します。

でもそれは、セラピストや講師、販売する人たちが積極的に勧めて飲ませるとか、自己責任で飲むから大丈夫~と、アロマ初心者が安易に飲むべきものではありません。

なぜなら、精油は非常に高濃度。

その濃さは、元の植物の状態の100倍とも200倍とも言われています。

この数字の明確な根拠はよくわかりませんが、採油率(原料となる植物の量と抽出できる精油の量の比率)から考えても、かなり濃縮されたものであることは容易に想像できます。

主な精油の採油率
・ラベンダーアングスティフォリア 0.6-0.7%
・スイートオレンジ 0.6%
・カモミールジャーマン 0.05%
・ゼラニウム 0.15%
・ローズオットー 0.02%

採油率が少ないほど濃いとか、作用が強いとかいう単純なものではありませんが、かなりの高濃度であることは理解できますよね。

だからこそ、薬理効果も期待できる。

だからこそ、使い方次第で副作用の心配もでてくる。

だから……。

吸入する、塗る、飲むという使い方の中で、

・副作用を引き起こす可能性が高い
・副作用が起きたときのリスクが大きい
・未知の部分が多い

飲む方法は、やめておきましょうよ。

まずは、安全性の高い他の方法でアロマテラピーのよさを享受しましょうよ。

ということです。

精油を飲む 飲む精油

他にも、安易に飲まないほうがよい理由は、いろいろあるんですけどね。 それにしても、なぜ、こんなにも“精油を飲む”が流行ってしまったのでしょうか。

“飲む精油”、“精油を飲む”が、ブームになった背景を考えてみる

もともと、アロマテラピーを学んだり、取り入れたりするのは、圧倒的に女性が多いのですが、“飲む精油”、“精油を飲む”に傾倒するのは、なおさら女性が多いように思います。

目新しいもの好き、おすすめ好き、すすめられ好き、自然志向、共感好き。

そんな“女性あるある”に、“飲む精油、“精油を飲む”は、ヒットしやすかったのでしょうね。

じつは、 “飲む精油、“精油を飲む”を積極的に推奨しているのは、おおむねネットワークビジネスの手法で精油を販売する方たち。

すごいものに出会ってしまった!という高揚感。商品のすばらしさを伝えなくてはという使命感。ビジネスとして成功できるかもという期待感。

商品とビジネスの仕組みに魅了され、ファンや仲間作りのため、次々と知人に声をかけていくわけです。

SNSやブログなどの媒体の普及とも相まって、“飲む精油、“精油を飲む”情報が、あっという間に広がる事態になったのでしょう。

ネットワークビジネス自体は、ルールを守って行っていれば、法的にはなんら問題はありません。

ただ、私が知る限り(聞いた限り)、精油を販売するにあたっての商品の紹介の仕方や勧め方に疑問を感じる点が多々あり。

精油を飲む・飲まないの論点、是非も、ズレているように思えてならないのです。

どんな人が、精油を飲むことを勧めているの?

業界のほとんどの団体では、精油を飲むことを推奨しない、もしくは、安全性の高いレシピを資格取得講座などで少し紹介する程度だと思います。

アロマをよく知らない人に、何かあったときの対処法も教えられないまま、積極的に飲む方法を勧めるのは無責任です。

にもかかわらず、飲むことを推奨するのって、どんな方たちなんでしょう。

私が思うに、その大多数は。

純粋で、人の助けになりたい、喜んでもらいたいという気持ちをもった心優しい人。

別の言い方をすると、十分な勉強もしないまま、他人(知り合い)の言うことを鵜のみにし、安易に他人に勧めてしまう人。

飲む云々はともかくとしても。

いずれかのアロマの団体の資格取得を目指し、人に教えるために“必要最低限のアロマの知識”を学ぶだけでも……。

独学も併せて、数十時間~数百時間、期間にして半年~1年は要します。

「知り合いから話を聞いた」、「数時間の講座に出席した」というレベルでは、そもそも何が正しい情報かを判断する力が身に着いているとも思えません。

私は自分で飲んでいるだけ。誰にも勧めない(売らない)という方もいらっしゃいますが、では、あなたに勧めた(売った)方はどうですか?

その方は、あなたに勧めるのに、どれだけの勉強をしてきたのでしょう。

さらに、その方に教えた方は?

聞けば聞くほど、矛盾を感じてしまう

飲むことを勧める方々には、なぜ飲めるのか、なぜ飲むのかという理由(言い分)があるのですが……。

「食品添加物だから」「最高品質だから」「独自の基準で品質管理しているから」「メディカルグレードだから」「おいしいから」「ビタミンCが摂れるから」「100%ピュアだから」etc.

よそのブランドはダメだけど、私たちのものはOK。

アロマをしっかり学んだ人にとっては、どれもこれも納得しにくいものばかりではないでしょうか。

飲むことのメリット、飲んでOKな理由は、そこではないはずです。

でも、アロマをよく知らない人は、「へえ、そうなの⁉すごい」ということになるわけです。

そして、そのアロマをよく知らない人が勧める側になって、アロマをよく知らない人に伝える、のスパイラル。

最後は「自己責任」だから……。心配なのです。

・どの種類の精油をどう飲めば、どんな効果がでるのか
・どんな飲み方が危険なのか
・何かあったときの対処法
・自分が飲んで得た経験

私自身は、このような知識、経験に乏しいので、飲むことはお勧めしていません。

精油を飲むこと自体を意味がないとか、完全否定しているのではなく、必要性のない人や正しい飲み方のわからない人が、勧めたり、飲んだりすることを懸念しているのです。

精油は、スーパーフードのように、ブームで飲むようなものではありません。

“精油を飲む”ことについて皆様に一歩立ち止まって考えていただけることを願って、今後は、安易に飲むことの問題等を、具体的な話でお伝えしていきたいと思います。

このテーマにご興味のある方は、引き続きお付き合いください。

MoaMoa Mommy
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カルチャースクールのアロマ講師は、どうやってなるの?いくら貰えるの?

アロマメディエーターうえむらです。

アロマテラピーの講師の資格を取得した方なら、一度くらいは考えたことがあるのではないでしょうか。

カルチャースクールの講師って、どうやったら、なれるんだろう?

一体、いくら貰えるんだろう?って。

気になるけど、一歩踏み出せない皆様のために、おせっかい記事を書いてみます。

私の経験から……。まずは応募

じつは私は、カルチャースクールでのアロマ講師の経験はありません。

約10年前、アロマではない別の講師資格をもっていて、たった1度だけ、体験講座をしたことがあります。

そのときの経験から得た情報なので、1つのケースとしてお読みください。

スクール名を、仮にAカルチャースクールとしますね。

まずは、AカルチャースクールのHPに講師募集の告知をみつけ、フォームに必要事項を記入して送信しました。

すると後日、電話がかかってきて、私が希望するB会場では、その講座を行うのにふさわしい部屋の空き時間がないので、もう少し離れたC会場なら可能ということで、ご案内いただきました。

Aカルチャースクールでは、すでにたくさんの講座が開講されているので、空いているコマがそもそも少なく、とくにB会場は、どの部屋のどの時間枠もほとんど空きがないという状態でした。

ちなみに、私がやろうとしていた講座は、その時B,Cどちらの会場でもやっている先生はおらず、過去実績にもなかったようです。

そこで、まずは体験講座を開催し、本講座に誘導しては?というアドバイスをいただきました。

初めてのことだったので、ありがたくその提案に従うことにしました。

カルチャースクールの講師は、カルチャースクールから依頼があって開催するということもあるとは思いますが、それはレアケース。

講師が自らWEBのフォームや電話で応募して、自分に何ができるかをアピールし、魅力を感じていただいたら、枠をもらえるというのが一般的だと思います。

ぶっちゃけカルチャースクールの講師料って、いくら?

気になりますよね。

カルチャースクールと講師は雇用関係ではありません。

あくまでも、委託契約。

受け取るのは、給与ではなく講師料です。

講師料は固定ではなく「歩合」ということでした。これは、多くのカルチャースクールで採用されている方法。

そのときのAカルチャースクールでは、講師とスクール側が5:5ということでした。

材料費がかかる場合、それは別途、当日、参加者から講師が受け取ります。

交通費は、講師が受け取った講師料から講師が負担します。

まず、体験講座をいくらで開催するか、そして本講座を開講することになった場合はいくらにするか?

さらに、本講座は何回の講座にして、何人以上で開講とするかを聞かれました。

聞かれたといっても、何せ初めてのことで、どうしたらいいのかもわからず、体験講座は500円でいかがですか?と言われて、はいそれで、ということで。

本講座は1,500円くらいがよろしいと思いますよと言われ、はいそれで、ということで。

本講座は確か4回だか5回だかの設定だったと思いますが、記憶が定かではありません。最低開講人数は2人か3人にしたような気がします。

告知は、AカルチャースクールがチラシとWEBでしてくれました。

体験講座には、5人の申し込みがあり、1人が体調不良で当日不参加。4人が参加してくださいました。

体験講座で得たのは、500円×4人÷2=1,000円でした。

と、言いたいところですが、源泉徴収(後日、確定申告で戻っています)、振込手数料も引かれていて、振込額は840円。

交通費はバスと電車を乗り継ぐため、往復で約1,000円。

微妙~に赤字になりました💦

そして、当時(2009年)、5:5だった講師料。

今は、どこのカルチャーも講師側の取り分は少なくなり、4:6くらいが一般的なようです。

別のカルチャーで教えていた知り合いの先生(アロマ講師ではありません)も、以前は、同じく5:5だとおっしゃっていたのですが、最近、「契約料引き下げを更新し続けている」と書かれているのをSNSで見ました。

カルチャースクールでの講師料事情は、厳しくなっているようです。

本講座は開講せず・・・・・・のワケは?

結局、体験講座に来てくださった4名は一人も、本講座には申し込んでいただけませんでした。

不参加になった1名の方は、体験には行けないけど、本講座に参加したいとおっしゃってくださっていたそうなのですが。

1,500円÷2=750円

ここから、交通費、源泉徴収、振込手数料を引いたら、間違いなく赤字です。

余裕をもって行くため、往復にかかる時間は2時間以上、講座が1時間。もちろん、事前の準備も必要。

費用対効果だけでみれば、約4時間の労働は、まったく報われません。

何より、当時1歳になったばかりの娘を、同居していた義父に預けて出かける身としては、それだけの価値を見出せず。

体験に行けなくても、本講座には行きたいとおっしゃってくださっていた方には、本当に申し訳ない気持ちでしたが、開講は見送りました。

せっかく体験に来てくださった方を本講座へ取り込めなかったのは、経験も浅かった私の力不足によるところが大きかったのでしょうが、他にもいくつかの要素が絡んだ結果だったと思います。

業界のことを少し知る、という経験をして終わりました。

アロマテラピー講座に置き換えて考えてみる

カルチャースクールの講師といっても、それには大きく2つのタイプがあります。

1つは、先生の話を聞く教養講座のようなものや、ヨガなど先生が前で声掛けしたり見本を見せたりして、それを真似てもらうタイプの講座。

この場合、受講者が1人でも30人でも、先生のやることは、あまり変わりません。参加者数が多くなっても、さほど負担が増えることはないのです。

つまり、定員を多く設定できる→受講単価を下げやすい→人が集めやすい傾向があるのではないでしょうか。

1,000円で20人集まったとすると、50%なら10,000円、40%なら8,000円の収入になります。

一方、アロマの場合はどうでしょう。

アロマテラピーの講座は、どこで行うにしても、受講者の人数によって、準備も当日も負担が大きく左右されます。

講師が講義をするだけなら、前述のタイプと一緒ですが、通常、アロマの講座にはクラフト作りの実習があります。というか、これこそがメインイベント!

アロマクラフト製作の風景
クラフト製作実習はアロマ講座のメインイベント!

その際、香りの選択や、材料を量ったり、加えたり、混ぜたりといったことが行われます。

現場をイメージしていただければわかることですが、実習では材料や道具を共有することになり、人数が増えると、その分、待ち時間は増えるのです。

この待ち時間が多くなればなるほど、受講者の満足度が下がっていきます。

待ち時間を少なくしようと、たとえば計りを3つとか、計量スプーン4本とか、ラベンダー精油2本とか揃えるとしたら……。新しいクラフト製作をするたびに、コストが嵩んでいきます。

また、精油や基材など、ふだん馴染みの薄いものを使うため、注意が必要になり、講師は参加者から目が離せません。製作するクラフトにもよりますが、1人で見られる限界は、私の経験上、8人くらいです(6人くらいまでがベストですが)。

めいっぱいの8人を定員にして、8人集まることを仮定(いや、妄想?)すると。

1,000円の講座なら、50%で4,000円、40%で3,200円の収入です。

うーん、それじゃあちょっと、ということで、受講費を2,000円にしてみましょうか。

これなら、50%で8,000円、40%で6,400円の収入です。まあ、許容範囲?

でも、1,000円の講座に比べたら、やっぱり受講の敷居は高いですよね。材料費と合わせると、1回が3,000円くらい?

単発講座なら、たいした負担ではないかもしれませんが、数回で1クールにすることが多く、4回だと12,000円。6回だと18,000円ですからね。

8人集めるのは、簡単ではないと思います。

もし、2,000円の受講費で受講生が定員の半分の4人だったら、50%で4,000円、40%で3,200円の収入。

あらら、1,000円で8人と同じ金額になってしまいました。

講師料は安いけど、メリットもいろいろ

さてさて、いかがでしたか。

講師料だけで見たら、正直、すくなっ!ですよね。

でも、カルチャースクールで講師をするメリットって、いろいろあるのも事実。

“〇〇カルチャースクールの講師”という肩書は、それなりに箔が付きます。新人講師でもチャンスがあるので、講座慣れ=勉強の場になります。

場所代や机などの備品代も光熱費もスクールもち。募集はカルチャースクールが。そのほか、さまざまなことを代行してくれます。

そのコスト(自分の人件費も含めて)を考えたとき、たとえば「売上の60%がカルチャースクール」を多いと思うか、妥当だと思うか。

講座のタイプや内容にもよりますし、自分自身の立場や経験にもよりますよね。

私は、先述の理由で開講を見送り、自宅での開催をメインにやっていましたが、やはり集客は楽ではありせんでした。

でも、それなりに努力を続け、お招きいただいたり、コラボしたりも含め、なんやかんや5年間で数百人の方とのご縁をいただきました(思うところあって辞めましたけど)。

準備や往復の時間なども考えると、カルチャースクールでアロマをやって儲けるのは、正直、とても難しいと言っていいでしょう。

でも、儲け以外のメリットはたくさんあるので、両者を天秤にかけて、チャレンジするかどうかは、あなた次第。

ということです。

最近、カルチャースクールの講座の一覧を見ていると、以前に比べて、アロマはかなり減っているという印象です。

アロマの資格取得者は増えているはずなのに。

世の中、そう甘くはないってことですね。

まあ、悩んでいても仕方ないので、気になるなら、まずは応募して、詳しい話を聞いてみてはいかがでしょう。

どんなことも、地道にコツコツ、です。

MoaMoa Mommy
お好きなアロマクラフトを好きな時に作りたい方は、「パーソナルクラフト製作」がおすすめ!ご希望は、HPの連絡フォームより承ります。

アロマオイル、エッセンシャルオイル、精油は、違うもの?「アロマオイル」の落とし穴

アロマメディエーターうえむらです。

アロマをよく知らない多くの方々にとって、アロマテラピーで使う香りのオイルは「アロマオイル」。

いえ、最近ではアロマを仕事にしている方でさえ、普通に「アロマオイル」と口にするほどに浸透しているこの呼び方。

一方で、エッセンシャルオイル、精油と言う人もいて、アロマオイルとの違いが、いまひとつわからない。

今回は、そんな方々のためのおせっかい記事です。

“精油”が、いつのまにやら“アロマオイル”

1980年代、アロマテラピー(芳香療法)という言葉が日本に紹介され、1995年にロバート・ティスランドの『芳香療法の理論と実際』が翻訳・発行されてから、かれこれ25年。

アロマテラピーという言葉は、いまや多くの人に知られるものとなっています。

とはいえ、いまだ「香りを使った癒し」程度の認識が一般的で、アロマテラピーの実態は勉強をした人以外は、あまりよくわかっていないというところでしょうか。

私がアロマを学び始めたのは、たぶん今から23年前。その頃、アロマテラピー市場に「アロマオイル」という呼び方はなかったように思います。

アロマテラピーで使うのは、植物から採れる100%天然の香りのオイルで、それは「エッセンシャルオイル」「精油」と呼ぶと教わりました。

「アロマオイル」と「エッセンシャルオイル」と「精油」の違い

厳密にいうと、抽出の仕方などによる呼び方の違いがあるのですが。

植物から採れる100%天然の香りのオイルと、そうでないものを区別するための呼び名として、英語の「エッセンシャルオイル」、日本語の「精油」、どちらでも好きなほうを使えばOK!

だったのです。ところが……。

いつのまにやら「アロマオイル」がアロマテラピーで使うオイルの名称のように広まっていきました。

本当に、いつのまにやら……。

「アロマオイル」は通称

「アロマテラピー用のオイル」が省略されて「アロマオイル」ということなのかもしれませんが、この言葉には、落とし穴があります。

まず、アロマというのは、フランス語で「香り」を意味する言葉。ここに「植物」とか「100%天然」の概念はありません。

一方、「エッセンシャルオイル/精油」という言葉には「植物から採れる100%天然の」という意味が含まれています。

ここで「アロマオイル」、「エッセンシャルオイル/精油」の意味を整理すると、こういうことです↓

・アロマオイル=香りのオイル
・エッセンシャルオイル/精油=植物から採る100%天然のオイル

そして「アロマオイル」という言葉の解釈を整理すると、こういうことです↓

A.アロマテラピー用の100%天然のオイルの“通称”
B.香りがするオイルの“総称”

2通りの解釈があります。これこそが、落とし穴。

Aさんが合成香料の「アロマオイル(B.総称)」を売り、Bさんはそれを100%天然の「アロマオイル(A.通称)」だと思って買う。

100%天然でも、100%合成でも、天然と合成のミックスでも、香りがするオイルならどれも「アロマオイル」と言って間違いではありません。

だから当然、Aさんが合成香料に「アロマオイル」と表記して売ることに、なんら問題はないのです。

自分は天然のものだと思って買った・使ったものが合成香料だったとしても、あなたが勝手にそう思っただけでしょ、と言われれば、その通り。

不親切だ!と不平不満を言ったところで、誰にも、なんの保障も責任も問えないのです。

「天然アロマオイル」はOK?もう1つの落とし穴

最近は、ヘアケアやコスメ、洗浄剤など、多くの市販品に「天然アロマオイル配合」とか「天然アロマの香り」という宣伝文句が使われています。

アロマとか、アロマオイルという言葉に「天然」という枕詞がついていれば、「エッセンシャルオイル/精油」を指していると解釈するのが妥当です。

ただし、ここにも落とし穴が。

「天然アロマオイル配合」は、天然の香りのみとは限らないということです。

1%が天然で、99%が合成でも、天然の香りを配合しているのは事実。100%天然だと思ったのに……は、やっぱり、あなたが勝手にそう思っただけでしょ、ということに。

不親切だ!と不平不満を言ったところで、誰にも、なんの保障も責任も問えないのです。

「天然アロマの香り」は、言わんとしていることはわかりますが、日本語的にツッコミどころが。

先程も触れたように、アロマの意味は香り。普通に日本語にすると「天然の香りの香り」。

「頭痛が痛い」「馬から落馬する」的な(笑)

また仮に、アロマを「エッセンシャルオイル」と読み替えたとすると、今度は「天然のエッセンシャルオイルの香り」となります。

いいんじゃない?という気もしますが。

エッセンシャルオイルには、天然の意味が含まれています。なので、重箱の隅をつつくようで恐縮ですが、普通に日本語にすると。

「天然の100%天然のオイルの香り」という感じになるわけです(^^;

アロマテラピーは“自己責任”だから気を付けて!

アロマテラピーで使うのは「エッセンシャルオイル/精油」と教わり、編集者・ライターとして、日本語表現に気を使ってきた私としては、「天然アロマの香り」なんて、どうにも気持ちが悪い(笑)

シンプルに「エッセンシャルオイル(の香り)」か「100%天然(の香り)」でいいのに、と思うのですが。

いまはもう「アロマオイル」がアロマテラピーで使う香りのオイルで、それは100%天然なんだ!

というイメージが、多くの人に刷り込まれてしまっているから。

正しくなくても、変でも「アロマオイル」と表現するのが、最も伝わりやすいんでしょうね。

だから、通称としてはこれでOK!と思っているんです。

なのに、こんなメンドクサイおせっかい記事を書いた理由、言葉の意味を正しく知ってほしい一番の理由は……。

「アロマオイル」=100%天然の香りとは限らない。合成香料だらけの安物を掴まされても、健康被害などが起きても、すべて自己責任だから気を付けてね!

ということ。

みなさんが、気持ちよく、安全に植物の恵を享受できることを心より願っています!

MoaMoa Mommy
精油選びに関してのご相談や「アロマの基本のキ」講座の受講のご希望は、HPの連絡フォームより承ります。

 

「ハッカ精油」と「ハッカ油」は、違う?同じ?カギになるのは「ハッカ脳」

アロマメディエーターうえむらです。

前回の記事では、ペパーミント精油とスペアミント精油の違いについてのお話を書きました。

今回は、ハッカ精油とハッカ油がテーマです。

ハッカ油は、薬局などで売られているのを見かけますが、量のわりに値段も安いですよね。

ハッカ油ってハッカ精油と同じなの?違うの?とギモンに思われる方のためのおせっかい記事を書きます。

ハッカ精油とは?

ハッカ精油は、シソ科ハッカ属のうち、日本の在来種や帰化種のものを原料とし、水蒸気で蒸留して採れるオイルです。

乾燥させた原料植物を水蒸気蒸留し、取卸油と呼ばれるオイルを得るのですが、これがいわゆるハッカ精油です。

ハッカ精油とハッカ油の違い
清涼感抜群!ハッカ精油

ス―っと清涼感のある成分、ℓ-メントールをたくさん(65~85%ほど)含むのが特徴です。

精油には、「和ハッカ」「コーンミント」「アルベンシスミント」などの名前がついています。

ハッカ油とは?

ハッカ油は、ハッカ精油(取卸油)をゆっくりと冷却し「ハッカ脳」と呼ばれる、ℓ-メントールの結晶成分を取り出したものを、再度、精製したオイル。

ハッカ精油から「ハッカ脳」が取り出され、ℓ-メントールが精油のときの約半分になったものが、ハッカ油なのです。

ちなみに、日本薬局方に適合する規格として、ハッカ油のℓ-メントールの含有量は30%以上と決められています。

ハッカ精油とハッカ油の違い ハッカ脳
ℓ-メントール99%以上のハッカ脳(別名:メントールクリスタル)。透明感があってキレイです

他の成分の量は、精油のときと大きくは変わりませんが、ℓ-メントールの量が少なくなることで、全体の比率が変わるので、香りの印象も、ハッカ精油のときと少し異なります。

ハッカ精油とハッカ油は、違う。でも……?

ハッカ精油とハッカ油の関係を整理すると。

・ハッカ精油=ハッカ脳+ハッカ油
・ハッカ油=ハッカ精油-ハッカ脳

「ハッカ脳」はけっこういい値段、ハッカ油がお手頃な値段、というところから判断するに、「ハッカ脳」を採った後の残りがハッカ油、という感じでしょうか。

それぞれの力関係?はともかくとしまして。

“ハッカ精油とハッカ油は違う”ということ、おわかりいただけたと思います。

で、違うには違うのですが。

ベルガモット精油からベルガプテンという成分を取り除いたものは、「ベルガプテンフリーのベルガモット精油」として販売されています。

それに倣えば、ハッカ油も「メントールリデュースのハッカ精油」なんて言えなくもないですよね。

まあ、呼び方はともかく、中身が違うのは確かです。

自分が使いたいもの、あるいは、いま自分の目の前にあるのは、どちらなのか。それさえ、わかっていればよろしいかと思います。

加工はしていても、ハッカ油は100%天然由来のもの。

どうしてもℓ-メントールがたくさん必要、というわけでなれば、お手頃な値段で買えるハッカ油を使うのもおすすめです。

ℓ-メントールは刺激もあるので、肌に使う場合など、むしろ控えめなほうがいい、ということもあるかもしれません。

ハッカ油の使い方と注意

ハッカ油は、ℓ-メントールの一部を取り除いただけのものなので、基本的に精油と同様の使い方でよいでしょう。

入浴剤として、ボディスプレーとして、芳香剤や消臭剤など、いろいろな用途に使えます。

ただ、ℓ-メントールが少なくなっているとはいえ、濃縮されたオイルであることに変わりはありません。禁忌も、ペパーミントやハッカの精油と同様とお考えください。肌につけるものは、十分な希釈が必要です。

このとき、水だけで希釈しても、ハッカ油(オイル)と水は混じり合わず、よく振って使っても、原液のごく小さな粒が肌につくことになってしまいます。

乳化できる基材を使用するなどして、できるだけ刺激を抑えてクラフト製作することをおすすめします!

MoaMoa Mommy
天然の香りで、肌にやさしいボディミスト作りをご希望の方は、HPの連絡フォームより承ります。