プチグレンの正体は?ネロリとの香りや効果の違いは?

アロマメディエーターうえむらです。

プチグレンはビターオレンジの枝や葉から採る精油、という説明が一般的ですが。

じつは、それは100%正確ではありません。

以前、アメブロで書いた記事「プチグレンの正体は?」を元に、新たな情報を加えながら、アロマ情報局バージョンでおせっかい記事を書いてみます。

プチグレンの正体は?

プチグレンは、ビターオレンジ(日本名:ダイダイ)の小枝や葉から抽出する精油。

という説明が一般的ですが、じつは、レモンやマンダリンなどのプチグレン精油もあります。

レモンの精油
レモン
ビターオレンジの精油 プチグレン
ビターオレンジ
マンダリンの精油
マンダリン

つまり、柑橘類の小枝や葉から抽出する精油は、すべてプチグレン。ビターオレンジに限らないのです。

ここで、レモン、ビターオレンジ、マンダリンという異なる柑橘から抽出する3種のプチグレン精油を比べてみましょう。

上位4種類の成分をリストアップしてみました。ややこしい成分名を覚えたりする必要はありません。けっこう違いがある、というのが理解できればOKです。

レモン、ビターオレンジ、マンダリンのプチグレンの比較

ただ、いろんなプチグレンがあるとはいえ、実際、世の中に出回っているものは圧倒的にビターオレンジ由来が多いのは確か。

だから、とくに断りがなければ、“プチグレン=ビターオレンジの枝葉由来の精油”と解釈してOKです。

原料になる植物が違うと当然ながら学名も違い、成分が違い、香りも作用も違ってきます。

店頭で香り重視で選ぶなら、自分の感覚(好み)でOKですが、作用を重視して選ぶなら、なんの柑橘のプチグレンなのか把握しておいたほうがよいかも。

たとえば、もっとも多く含まれる成分に着目して例を挙げると・・・。

  • レモンのプチグレン・・・リモネン=血流増加作用
  • ビターオレンジのプチグレン・・・酢酸リナリル=鎮静作用
  • マンダリンのプチグレン・・・アンスラニル酸-N-ディメチル=抗うつ作用

こんな感じです。

あなたは、プチグレンにどんな作用を求めますか?

同じ植物由来のプチグレンでも、ブランドやロットによって成分に違いもありますし。

ちょっと難易度が高いかもしれないけど。

成分分析表で、自分が求める成分がどれくらい含まれているのか確認できると、より効果的に使えますよ。

プチグレンとネロリの違いを、香りと効果で比べてみる

プチグレンが柑橘系の植物の枝葉から採る精油であり、その多くがビターオレンジ由来であることをご理解いただいたところで。

次はプチグレンとネロリの違いについてご説明します。ビターオレンジとの違いについては、今回は深く追求しません。ビターオレンジ精油の情報を知りたい方は、こちらのリンクからどうぞ☟

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「スイートオレンジ」と「ビターオレンジ」精油の違いと光毒性

ビターオレンジという植物は、「果皮」「枝葉」「花」の3つの部位から精油を抽出でき、それぞれ精油の呼び名が変わります。

  • ビターオレンジの“果皮”から抽出…「ビターオレンジ」精油
  • ビターオレンジの“枝葉”から抽出…「プチグレン」精油
  • ビターオレンジの“花”から抽出・・・「ネロリ」精油

この3種の異なる精油の情報を、下の表にまとめてみました。上位4つの成分をリストアップし、同じ成分は同じ色にしてあります。

精油を採る植物が同じなので学名はどれも一緒、Citrus aurantium。でも、抽出する部位が違うので、成分は異なります。

ビターオレンジ、プチグレン、ネロリの比較
参考:『カラーグラフで読む精油の機能と効用』、生活の木の成分分析表

プチグレンとネロリ精油、共通する成分もあるので、似ているところもあります。

香りは、違うんだけど、どこか似ています。プチグレンは枝葉から採ることもあって青臭い印象が強く、ネロリは青っぽさ、苦み、フローラル、爽やかさなどが絡み合った繊細な印象。

成分は、どちらにも含まれる酢酸リナリルやリナロール、ネロリにそこそこ含まれるリモネンなどに鎮静作用があるのですが、酢酸リナリルはとくに鎮静作用が高いことで知られています。

ですから、酢酸リナリルをたくさん含むプチグレンは、心を落ち着けるより高い効果が期待できます。

一方のネロリですが、上の表では「その他」に含まれていて見えませんが、気分を高揚させるゲラニオールという成分が含まれており、心を落ち着けるとともに、明るく元気にしてくれる効果が期待できます。

プチグレンのほうが深い鎮静、ネロリは鎮静+元気、と覚えておいてください。

余談。プチグレン&ネロリ精油はそこそこメジャー、ビターオレンジ精油はマイナー

プチグレンとネロリは、アロマテラピーで、そこそこ使われる精油です(ネロリはお高いから講師でも持っていない方のほうが多いかもしれませんけど)。

一方、果皮から採るビターオレンジ精油は、お手頃価格で購入できますが、じつはけっこうマイナーなのです。

なぜなら、スイートオレンジ精油と作用がほとんど同じなのに、ビターオレンジ精油のほうには、肌につけるとよろしくない成分が含まれているから。

香りを重視するとき以外、あえて選ぶ理由がないのですよね。

その香りも、実際、かなり近いですし。

スイートオレンジ精油は、ほとんどのブランドで扱っていますが、ビターオレンジ精油は、扱っていないブランドのほうが多いかもしれません。

スイートオレンジとビターオレンジの違い、肌によろしくない精油成分についての詳しい話は、こちらの記事で解説しているので、興味のある方はご覧くださいね ☟

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「スイートオレンジ」と「ビターオレンジ」精油の違いと光毒性

もうひとつ余談。プチグレンの名前の由来

プチグレン=petit grainは、フランス語で「小さい粒」という意味があるそう。

なんか、かわいらしいネーミングですね(#^.^#)

これは元々、ビターオレンジの未熟果(小さくて青い状態のもの)を精油の原料としていたことに由来します。

今でも、未熟果も原料に含んでいるプチグレン精油もあります。

そうなると、成分もまた、それなりに違ってきそうですけど(*^-^*)

ちなみに、スダチやシークワーサーなどは、通常、青い状態で市場に出荷されますが、あれはまさに未熟果。ゆず胡椒に使われる青柚子も未熟果。

ということは。

最近は、国産のスダチやシークワーサーの精油(果皮から抽出)なども市販されてるけど、昔で言うなら、これがまさに「スダチのプチグレン」「シークワーサーのプチグレン」なのでしょうね。

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「スイートオレンジ」&「ビターオレンジ」精油の違いと光毒性

アロマメディエーターうえむらです。

親しみやすい香りから、アロマ初心者にも人気の高いオレンジ精油。

いざ買おうとしたら、「スイートオレンジ」「ビターオレンジ」の2種類ある。どっちを買えばいいの?

と、迷った経験はありませんか?

店頭なら、香りを嗅いで好みのほうを買う選択もできますが、ネット販売ではそうもいきません。

今回は、何が違うのかわからない、どちらを買うべきか悩む、という方のためのおせっかい記事です。

スイートオレンジとビターオレンジは、何が違う?

スイートオレンジとビターオレンジの精油(エッセンシャルオイル)は、原料となる植物の種類が違います。

どちらもミカン科の植物ではあるものの、学名も異なる別品種。

スイートオレンジ Citrus Cinensis
ビターオレンジ Citrus Aurantium

スイートオレンジは、私たちがふだん食用として慣れ親しんでいるオレンジ。

スイートオレンジ精油の原料はバレンシアオレンジなど

「バレンシアオレンジ」「ネーブルオレンジ」「ブラッドオレンジ」などです。

これらは、それぞれ外見や食用としたときの味や香りの特徴には、少し違いがありますが、どれも学名は同じ。

精油に使われるのは、ほとんどが生産量の多いバレンシアオレンジのようです。

アロマテラピーの現場で、特別な説明なくオレンジと呼んでいる場合は、こちらのスイートオレンジから抽出した精油のことと解釈してOKです。

一方のビターオレンジは、酸味や苦みが強いため、食用には果皮をママレードにしたり、スダチやカボスなどと同様、果汁を調味料にしたりして使います。

日本名は「橙(ダイダイ)」。

ビターオレンジ精油の原料は橙(ダイダイ)

そう、お正月の鏡餅の上にのせるアレ。

子孫繁栄の願いをこめて飾る、縁起物です。

日本で流通しているビターオレンジ精油は、以前は外国産ばかりでしたが、最近は「橙(ダイダイ)」の和名を商品名にした国産も出回っています。

スイートオレンジは青年の香り、ビターオレンジは大人の香り

柑橘系の精油は、すべて果皮から採ります。

抽出方法には、果皮を絞る圧搾法と、水蒸気で蒸留する水蒸気蒸留法の2つがあります。

スイート、ビターどちらも、熱による影響を受けない分、圧搾法で抽出した精油のほうが、香りはより本物に近くなります。

スイートオレンジ精油は、手で皮を剥いた瞬間、プシュッっと弾け飛ぶあの香りそのまま。

甘さとフレッシュな爽やかさが印象的ですよね。

一方のビターオレンジは、甘く爽やかな中に、苦みや深みが感じられます。

人に例えれば、スイートは青年、ビターが大人のイメージといったところでしょうか。

スイート&ビターオレンジ精油の使い道は、ほぼ同じ。だけど…光毒性に要注意!

スイートオレンジ 精油とビターオレンジ精油、どちらもリモネンという成分が95%以上含まれています。

残りわずかの成分の違いが、それぞれの香りの印象の違いを生み出しているのですが、作用の面では、大部分がリモネンに由来するものなので、どっちもほぼ一緒。

抗菌、鎮静、血流増加などが主な作用です。

親しみのある香りということも手伝って、リラックス効果を得やすく、ストレス解消や安眠などに役立ちます。

香りを嗅ぐことで神経に作用し、心や体になんらかの効果をもたらすという使い方が最も一般的だと思います。

肌への作用はあまりないのですが、香りが好みだから使いたいという場合に、ひとつ気を付けていただきたいことがあります。

それは光毒性。

光毒性とは、精油が肌に付着した状態で紫外線を浴びると、シミや炎症などの皮膚トラブルを起こす性質のこと。

スイートオレンジ精油に光毒性はないと言われていますが、ビターオレンジ精油は要注意!

水蒸気蒸留法による精油ならば、光毒性に関与する成分が抽出されないので大丈夫。

でも、圧搾法によるビターオレンジ精油はキケンです。

国内産の柑橘精油は、ほとんど水蒸気蒸留ですが、外国産の柑橘精油は、ほぼ圧搾法で抽出されています。

抽出法は商品の説明書きや成分分析表にたいてい記載されているので、ビターを肌に使う際は、どちらなのか、きちんと確認してくださいね。

もしわからない場合は、夜、寝る前を除き、ビターオレンジ精油の肌への塗布は控えるのが無難ですよ。

スイートオレンジとビターオレンジの違い。つまり、こういうこと。

ここまで、文章で説明してきたことを、表にまとめると、つまりこういうことです。

スイートオレンジ精油とビターオレンジ精油の違いを比較

ここに「ふだんオレンジって言われている精油はスイートのほうですよ」ということと、「光毒性とは?」という説明加えれば、重要なことは、ほぼ網羅。

比較しやすくて、スーッと頭に入ってきますよね。

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プチグレンの正体は?ネロリとの香りや効果の違いは?

ビターオレンジは、果皮のほか、花からネロリ精油、枝葉からプチグレン精油を採ることができます。

なぜ 、 ネロリとプチグレンの精油はスイートオレンジではなく、ビターオレンジからなのかはよく知りません。

スイートオレンジの花や枝葉からは、採れないのか?採らないのか?

私が知っている限り、ビターが原料という説明書きしか見たことがなく、ネロリやプチグレンの精油の学名も、いつもビターのほう。

もし、スイートオレンジのネロリやプチグレンがない理由、 もしくはスイートオレンジのネロリやプチグレンの商品をご存知の方がいましたら、ぜひ教えてください!

MoaMoa Mommy
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