青、緑、茶。どの色の遮光瓶を選ぶのが正解?~アロマ講師が知っておきたいこと~

アロマメディエーターうえむらです。

アメブロ(現在、更新は休止中)に投稿した中で、断トツのアクセス数を誇る2017年の記事。アクセス数が多い=需要が高いのだと思うのですが、5年も前に日記感覚で書いたものなので、手直しして、こちらへ再アップします。

精油が入った瓶は、もれなく色付きの瓶に入って販売されています。

アロマの講師であれば、色付きの瓶に入っている理由は、ご存じだと思いますが。色の違いによる機能の違いもご存じですか?

おしゃれだし、高級感とか爽やかさとかも感じるしっていう理由だけで、青いボトルを選んでる方、いませんか?

講師なら、正しい知識を持ったうえで、自分なりの考えに基づいて選択・アドバイス・使用できるのがベストですよね。ということで、アロマテラピーとは切っても切れない遮光瓶についてのおせっかい記事を書いてみます。

アロマ愛好家の皆さんも、ぜひ知っておいてくださいね。

瓶に色をつける理由は?

瓶といって真っ先に思い浮かべるのは、透明なものだと思いますが、よく見ると、私たちの身の回りには、青、緑、茶など、いろんな色の瓶があります。

精油瓶はもちろんのこと、化粧品や薬品の瓶、お酒や食用油、調味料の瓶などにも使われていますよね。この色付き瓶が「遮光瓶」です。

青、緑、茶の遮光瓶の色の違い
アロマテラピーで使う精油は遮光瓶入り

光は、物や人体にさまざまな影響を与えます。好ましい影響もあれば、そうでないものもあります。

遮光瓶は、瓶に色をつけて光を遮ることで、容器の中に入れるものの質を一定に保つ役割を果たしているのです。

じゃ、なんでいろんな色の瓶があるんでしょう?

青、緑、茶。遮光瓶の色の違いは何の違い?

いろんな色の瓶があるのは、おしゃれとかイメージアップのため?そういう視点で作られるものも、選ばれるものもありますが、本来の理由は、色によって遮ることができる光の種類が違うから、です。

ここからは、色による違いをご説明しましょう。まずは、光の波長についての予備知識から。

◆光の波長 ※nmはナノメートル(光の波長の単位)
赤外線・・・800nm以上
可視光線・・・400~800nm
紫外線UV-A・・・315~400nm 
紫外線UV-B・・・280~315nm
紫外線UV-c・・・100~280nm

もっと波長の長いものも、短いものもありますが、ここでは必要ありませんので、考えなくてOKです。では、次に色ごとの遮光できる波長の長さを見ていきましょう。

◆遮光できる波長の長さ
茶色の瓶・・・400nmまでの波長を99%遮光、400~800nmまでの波長を約60%遮光
緑色の瓶・・・350nmまでの波長を90%遮光
青色の瓶・・・300nmまでの波長を99%遮光
※(株)サンテックさんのサイト掲載情報を参考にしています

上記2つの情報を照らし合わせてみると、それぞれの色の瓶が、どの種類の光を遮っているのかが見えてきます。

・茶色の瓶は、UV-A、UV-B、UV-C を概ね遮る、可視光線もそこそこ遮る
・緑色の瓶は、UV-A の一部、UV-B、UV-Cを概ね遮る
・青色の瓶は、UV-B、UV-Cを概ね遮る

ちなみに、可視光線は人の目で見える光のこと。太陽、照明などから発せられる光で、波長の短い方から、紫→藍→青 → 緑 → 黄緑 → 黄 → 橙 → 赤として認識されます。

紫外線は人の目には見えません。殺菌やビタミンDの合成、皮膚へのダメージなどに関与します。波長が短いほど、皮膚への影響は強くなります。

具体的な皮膚への作用を挙げると、紫外線のUV-Aはしわやたるみ、UV-Bはシミや乾燥肌、皮膚がんの要因になります。UV-Cは地表には到達しないので影響はありませんが、万が一オゾン層が破壊されると、とても大きなダメージをもたらす存在です。

まぁ、結局のところ・・・。

UV-Cは地球上には届かないので、数値上は遮光できることになっているものの、どの色の瓶にとっても、関係がありませんね。

遮光瓶は“紫外線UV-AとUV-Bを遮るための瓶”という感じですね。

遮光性が高いのは茶色の瓶!アロマで青い遮光瓶はNG?

これでもう、おわかりですね。青、緑、茶の瓶で一番遮光性が高いのは、茶。そして、緑、青の順になります。

遮光にこだわるなら、瓶は茶色を選ぶべし!

ということです。

青の瓶は波長が300nmを超えると、著しく遮光性が低下するそうなので、アロマで使うのにはちょっとだけ心配ですよね。

実際、精油瓶の色としては、茶が一番多いように思いますが、緑や青のものも、けっこうあります。

もし、緑や青の瓶に入った精油を持っていて、遮光レベルが気になる場合は…。

使う時以外は、透過性でないもの(紙製、木製、金属製などのもの)にしまって、さらに光が当たらない棚の中などに保管しておくのがオススメですよ。これは、茶色の瓶の場合も当てはまります。

また、日が差す場所での使用は避けましょう。とくに、変化しやすい柑橘類の精油は要注意です。それでも品質の変化(劣化)が気になってしまうという方は、精油瓶を紙やアルミホイルで巻いたりすればOKです。

見栄えは悪くなるし、使いやすいとは言えませんが、工夫次第で変化を防ぐことができるので、青い瓶に入った精油でもご心配なく。

今後の瓶選び、製品選び、精油やアロマクラフトの使用のご参考になりましたら幸いです。

MoaMoa Mommy
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アロマ、ハーブの写真、無料フリー素材、どうぞ使ってね(でも著作権フリーではありません)

アロマテラピーに関する文章を書きたいときや、HPなどを作成するにあたって、アロマグッズや植物の写真が欲しいな~と思い、フリー素材を探した経験のある方は多いと思います。

私も日々、行っています。

その時、守らなくてはいけないのが著作権。

勝手に拝借(=パクリ、著作権侵害)が減るお手伝いになるかな?と、今回は、著作権に関するお話と、フリー素材提供のおせっかいをしてみたいと思います。

アロマ情報局による「アロマ・ハーブ無料のフリー素材」のご利用規約

写真をお使いいただく際のご利用規約は以下の通りです。

・著作権は放棄していませんので、素材としての再配布・転売・貸与等はできません
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フリー素材は、このページにある写真のみです。必ず利用規約を守って、お使いください。

こんな場合は?と疑問に思われることがあれば、お問い合わせフォームからお気軽にお尋ねくださいね。

著作権侵害=パクリが横行している現状

文章や写真の無断使用、つまり著作権侵害、つまりパクリは、その昔、紙媒体しかなかった時代からありました。

ライターさんによる「パクリ文」によって、たいへんな目に遭った経験もあります(編集作業中に気づき、発行は免れましたが)。

WEB媒体が主流になりつつある今。

誰もが簡単に公に向けて情報を発信できてしまう今。

無断使用、著作権侵害は“ある”なんて生易しいものではなく、文章にしても、画像にしても、横行している、パクリだらけ。「参考」「引用」の範囲やルールを完全に超えたものを、日々、目にしています。

私自身、編集もライティングも、長年行っているため、コピペのツギハギの文章なんかは、けっこうすぐに見抜けます。

文章のそこかしこに違和感がありますから。

画像に至っては「お借りしました」なんて断り書きをして勝手に使っているものもよく目にしますけど、許可ももらっていないのに勝手に使うのは、「借りている」のではなく「盗んでいる」のと同じ。れっきとした著作権侵害です。

著作権とはなんぞや?についての詳細は、ここでは割愛します。詳しく知りたい方は、下記URLをご覧になってみてください。とてもわかりやすく説明されています☟

みんなのための著作権教室

もしあなたが、アロマやハーブを教える講師という立場であれば、なおのこと、法律やマナーを守って活動することが大事です。

アロマの知識があれば、いい先生なのではありません。人にものを教える立場の人間であれば、社会人としてのルールやマナーを守るのは、当たり前のこと。最低限のこと。

本当にアロマやハーブを愛するなら…。オリジナルの文章を作ったり、写真を撮ったりした方の労力を想像し、思いやる気持ちも持てるはず(*^-^*) 勝手にコピペ、拝借なんて絶対にやめましょうね。

無料のフリー素材提供のきっかけ

今回、無料のフリー素材を提供してみよう、と思ったきっかけを、少しお話します。

先日、ある方の「パクリ」に対する怒りのブログで「無料で使えるいいものがあれば、世の中のパクリが減るのでは?と思い、無料素材を提供している」という主旨の記事を読みまして。

なるほど!それなら私も超・超微力ながら役に立てるかもしれない、なんかアロマメディエーターらしい気もするし、ということで。

オリジナルで撮影やライティングをすることの大変さを知っているからこそ。私自身も、たくさん無料素材に助けられているからこそ。無料素材を提供してみよう!と思い至りました。

ただし、カメラは素人ですので、クオリティは高くありません”(-“”-)” ご承知の上、お使いくださいね。

前置きが長くなりましたが、次の見出しから、アロマテラピー関連やハーブなどの写真の無料素材を掲載します。マイペースで追加していきますので、よろしければブックマークしておいてください。

予告なく、削除・差し替えを行うこともあります。

クロモジの写真のフリー素材(無料)

クロモジ写真のフリー素材
クロモジ1
クロモジ写真のフリー素材
クロモジ2

ローズマリーの写真のフリー素材(無料)

ローズマリー写真のフリー素材
ローズマリー1
ローズマリー写真のフリー素材
ローズマリー2
〈ローズマリー関連記事〉☟
ローズマリー・カンファー/ローズマリー・シネオール、ローズマリー・ベルべノン精油の違いとケモタイプの話

カモミールの写真のフリー素材

ジャーマンカモミール写真のフリー素材
ジャーマンカモミール1
ジャーマンカモミール写真のフリー素材
ジャーマンカモミール2
〈カモミール関連記事〉☟
「ジャーマンカモミール」と「ローマンカモミール」の違いを、植物と精油で比べる

ラベンダーの写真の無料素材

ラベンダーグロッソ(ラバンディン)写真のフリー素材
ラベンダー・グロッソ
〈ラベンダー関連記事〉☟
真正ラベンダー、ラバンディン、スパイクラベンダー、ラベンダーストエカス。4つのラベンダー精油の違い

プチグレンの正体は?ネロリとの香りや効果の違いは?

アロマメディエーターうえむらです。

プチグレンはビターオレンジの枝や葉から採る精油、という説明が一般的ですが。

じつは、それは100%正確ではありません。

以前、アメブロで書いた記事「プチグレンの正体は?」を元に、新たな情報を加えながら、アロマ情報局バージョンでおせっかい記事を書いてみます。

プチグレンの正体は?

プチグレンは、ビターオレンジ(日本名:ダイダイ)の小枝や葉から抽出する精油。

という説明が一般的ですが、じつは、レモンやマンダリンなどのプチグレン精油もあります。

レモンの精油
レモン
ビターオレンジの精油 プチグレン
ビターオレンジ
マンダリンの精油
マンダリン

つまり、柑橘類の小枝や葉から抽出する精油は、すべてプチグレン。ビターオレンジに限らないのです。

ここで、レモン、ビターオレンジ、マンダリンという異なる柑橘から抽出する3種のプチグレン精油を比べてみましょう。

上位4種類の成分をリストアップしてみました。ややこしい成分名を覚えたりする必要はありません。けっこう違いがある、というのが理解できればOKです。

レモン、ビターオレンジ、マンダリンのプチグレンの比較

ただ、いろんなプチグレンがあるとはいえ、実際、世の中に出回っているものは圧倒的にビターオレンジ由来が多いのは確か。

だから、とくに断りがなければ、“プチグレン=ビターオレンジの枝葉由来の精油”と解釈してOKです。

原料になる植物が違うと当然ながら学名も違い、成分が違い、香りも作用も違ってきます。

店頭で香り重視で選ぶなら、自分の感覚(好み)でOKですが、作用を重視して選ぶなら、なんの柑橘のプチグレンなのか把握しておいたほうがよいかも。

たとえば、もっとも多く含まれる成分に着目して例を挙げると・・・。

  • レモンのプチグレン・・・リモネン=血流増加作用
  • ビターオレンジのプチグレン・・・酢酸リナリル=鎮静作用
  • マンダリンのプチグレン・・・アンスラニル酸-N-ディメチル=抗うつ作用

こんな感じです。

あなたは、プチグレンにどんな作用を求めますか?

同じ植物由来のプチグレンでも、ブランドやロットによって成分に違いもありますし。

ちょっと難易度が高いかもしれないけど。

成分分析表で、自分が求める成分がどれくらい含まれているのか確認できると、より効果的に使えますよ。

プチグレンとネロリの違いを、香りと効果で比べてみる

プチグレンが柑橘系の植物の枝葉から採る精油であり、その多くがビターオレンジ由来であることをご理解いただいたところで。

次はプチグレンとネロリの違いについてご説明します。ビターオレンジとの違いについては、今回は深く追求しません。ビターオレンジ精油の情報を知りたい方は、こちらのリンクからどうぞ☟

違い”シリーズ関連記事〉
「スイートオレンジ」と「ビターオレンジ」精油の違いと光毒性

ビターオレンジという植物は、「果皮」「枝葉」「花」の3つの部位から精油を抽出でき、それぞれ精油の呼び名が変わります。

  • ビターオレンジの“果皮”から抽出…「ビターオレンジ」精油
  • ビターオレンジの“枝葉”から抽出…「プチグレン」精油
  • ビターオレンジの“花”から抽出・・・「ネロリ」精油

この3種の異なる精油の情報を、下の表にまとめてみました。上位4つの成分をリストアップし、同じ成分は同じ色にしてあります。

精油を採る植物が同じなので学名はどれも一緒、Citrus aurantium。でも、抽出する部位が違うので、成分は異なります。

ビターオレンジ、プチグレン、ネロリの比較
参考:『カラーグラフで読む精油の機能と効用』、生活の木の成分分析表

プチグレンとネロリ精油、共通する成分もあるので、似ているところもあります。

香りは、違うんだけど、どこか似ています。プチグレンは枝葉から採ることもあって青臭い印象が強く、ネロリは青っぽさ、苦み、フローラル、爽やかさなどが絡み合った繊細な印象。

成分は、どちらにも含まれる酢酸リナリルやリナロール、ネロリにそこそこ含まれるリモネンなどに鎮静作用があるのですが、酢酸リナリルはとくに鎮静作用が高いことで知られています。

ですから、酢酸リナリルをたくさん含むプチグレンは、心を落ち着けるより高い効果が期待できます。

一方のネロリですが、上の表では「その他」に含まれていて見えませんが、気分を高揚させるゲラニオールという成分が含まれており、心を落ち着けるとともに、明るく元気にしてくれる効果が期待できます。

プチグレンのほうが深い鎮静、ネロリは鎮静+元気、と覚えておいてください。

余談。プチグレン&ネロリ精油はそこそこメジャー、ビターオレンジ精油はマイナー

プチグレンとネロリは、アロマテラピーで、そこそこ使われる精油です(ネロリはお高いから講師でも持っていない方のほうが多いかもしれませんけど)。

一方、果皮から採るビターオレンジ精油は、お手頃価格で購入できますが、じつはけっこうマイナーなのです。

なぜなら、スイートオレンジ精油と作用がほとんど同じなのに、ビターオレンジ精油のほうには、肌につけるとよろしくない成分が含まれているから。

香りを重視するとき以外、あえて選ぶ理由がないのですよね。

その香りも、実際、かなり近いですし。

スイートオレンジ精油は、ほとんどのブランドで扱っていますが、ビターオレンジ精油は、扱っていないブランドのほうが多いかもしれません。

スイートオレンジとビターオレンジの違い、肌によろしくない精油成分についての詳しい話は、こちらの記事で解説しているので、興味のある方はご覧くださいね ☟

違い”シリーズ関連記事〉
「スイートオレンジ」と「ビターオレンジ」精油の違いと光毒性

もうひとつ余談。プチグレンの名前の由来

プチグレン=petit grainは、フランス語で「小さい粒」という意味があるそう。

なんか、かわいらしいネーミングですね(#^.^#)

これは元々、ビターオレンジの未熟果(小さくて青い状態のもの)を精油の原料としていたことに由来します。

今でも、未熟果も原料に含んでいるプチグレン精油もあります。

そうなると、成分もまた、それなりに違ってきそうですけど(*^-^*)

ちなみに、スダチやシークワーサーなどは、通常、青い状態で市場に出荷されますが、あれはまさに未熟果。ゆず胡椒に使われる青柚子も未熟果。

ということは。

最近は、国産のスダチやシークワーサーの精油(果皮から抽出)なども市販されてるけど、昔で言うなら、これがまさに「スダチのプチグレン」「シークワーサーのプチグレン」なのでしょうね。

MoaMoa Mommy
アロマに関する原稿執筆、監修等のご依頼は、HPの連絡フォームより承ります。

レモングラス、レモンバーム、レモンバーベナ、レモンマートル、リトセア。香りは似てるけど、見た目も科名も全然違う


アロマメディエーター
うえむらで
す。

名前に“レモン”がついた精油や、レモンみたいな香りがする精油って、けっこうたくさんあるのをご存知ですか?

タイトルに記載したもの以外にも、シトロネラ、ユーカリレモン、レモンティーツリーなどがありますが。

どうして同じような香りがするの?

レモンバームとレモンバーベナって同じもの?違うもの?

わかっているような、そうでないような曖昧な知識、アロマメディエーターうえむらのおせっかい記事でスッキリさせてください。

レモングラス、レモンバームetc.レモンの香りがする精油を集めてみた

レモンは言わずと知れた柑橘類。柑橘の果皮から採れる精油は、レモン以外に、オレンジ、グレープフルーツ、マンダリン、ベルガモット、ライム、柚子などたくさんあります。

最近は、みかん、いよかん、甘夏など、国産の柑橘精油もいろいろ出回っています。

どれも、香りを嗅げば柑橘精油だとわかりますが、当のレモンを除き、「レモンの香り!」と思うものは、あまりありません。

強いていえば、マンダリンが酸っぱめのせいか、レモンに近いかな~というくらいでしょうか。

一方、柑橘類ではない植物から抽出する精油の中に、「レモンの香り!」と、感じるものが多くあります。それが、以下の表の精油たち。比較のため、レモンも最下段に載せています。

レモングラス、レモンバーム、レモンバーベナ、レモンマートル、リトセアの違い

〈精油成分の参考資料〉
カラーグラフで読む精油の機能と効用(フレグランスジャーナル刊)
エッセンシャルオイル総覧2007(フレグランスジャーナル刊)
ティーツリーファームズ成分分析表

表の見方を補足すると。

金額は、表中のすべての精油を取り扱っている生活の木のものです(投稿時現在、税込み)。

成分①~④は、含有率の多い順に、上位4つを挙げています。これは一例なので、実際はブランドやロットによって異なります。あくまでも違いや共通点を理解するための資料としてご参照ください。

オレンジ色の網掛けがしてあるd-リモネンは、柑橘精油の主成分で、甘酸っぱいフレッシュで爽やかな香りがします。

黄色で網掛けしてあるのは、レモンみたいな香り(レモン様の香り)をもつ成分。複数あります。

一番右端の柑橘臭としているのは、表中のオレンジ色と黄色部分を合計した数字。

成分名と一緒に書かれているアルファベットは、香りのおおざっぱな印象です。

それでは、詳細を見ていきましょう。

レモンの香りがする精油は、柑橘精油にあらず

d-リモネンは、柑橘を柑橘たらしめる香り。すべての柑橘精油の主成分です。

ゲラニアールやシトロネラールなどは、レモンっぽい香りの成分。柑橘精油には、あまり含まれていません。

当のレモンにすら、わずか数%程度(ロットによりますが、ふつう5%にも満たないレベル)。オレンジなら、0.5%にも満たない超微量。

でもそれが、柑橘ではない1~7の植物にはたくさん入っているのです。

柑橘の精油は、d-リモネンという共通の成分によって、ベースとなる香りが決まっていて、それ以外の成分によって、自分らしさ、個性を出しているというのに。

見た目も科も全然違う植物たちが、こぞって似たようなレモンみたいな香りを出す。

なんだか、おもしろいですね。

レモンみたいな香りの精油、共通点は?違いは?

まずは、各精油の成分以外の点に注目してみます。表の1~7を順に見ていきましょう。

1、レモングラス
和名を「レモンガヤ(檸檬茅)」と言います。原産地は熱帯アジア。イネ科植物なので、葉も細長くシュッとしています。レモングラスという名前は、直訳すれば「レモン草」。そのまんまですね。精油は全草から蒸留します。

レモングラス レモンガヤ
SONY DSC

2.レモンバーム
別名をメリッサ、和名をコウスイハッカ(香水薄荷)と言います。原産地は南ヨーロッパ。シソ科の植物で、同じシソ科のミント類に近い外観をしています。精油は全草から蒸留します。採油率が低くて稀少なので、とっても高価です。

レモンバーム コウスイハッカ

3.レモンマートル
レモンマートルの「マートル」は、日本では「ギンバイカ(銀梅花)」と言います。花の外観に由来するようです。原産地はオーストラリア。ユーカリやティーツリーと同じフトモモ科の植物です。精油は、枝葉から蒸留します。

レモンマートル

4.レモンバーベナ
和名をコウスイボク(香水木)と言います。原産地はアルゼンチン、ペルー、チリ。ランタナと同じ、クマツヅラ科の植物です。精油は葉と花から蒸留します。採油率が低く稀少なので、かなり高価です。

レモンバーベナ コウスイボク

5.リトセアキュベブ
(リトセアクベブ/リツエアクべバ)
別名をメイチャン、和名をアオモジ(青文字)と言います。コショウ科の蔓植物に、クベバ/クベブ(別名:ヒッチョウカ)というのがありますが、香りはレモンではなくスパイシー。見た目は、リトセアの葉が茂っている頃だと、少し似ているかも?という感じ。名前の由来に関係があるのかどうかはよくわかりません。原産地は中国で、メイチャンは「中国の女神」の意味。クロモジ(黒文字)同様、クスノキ科の植物です。精油は果実から蒸留します。

リトセアキュベブ リツエアクベバ メイチャン アオモジ

リトセアの葉が茂っている写真
       ➡Litsea cubeba

クベバの写真 ➡piper cubeba

6.ユーカリレモン
別名をユーカリシトリオドラと言います。Citri(シトリ)=「レモンの」、odora(オドラ)=「香り」です。原産地はオーストラリア。3のレモンマートル同様、フトモモ科の植物です。精油は、葉と小枝から蒸留します。よい写真素材が見つからず、乾燥しかかっている葉を、私が家で撮影したものです☞

ユーカリレモン ユーカリシトリオドラ

7.シトロネラジャワ
シトロネラジャワは、シトロネラールを多く含むタイプのシトロネラ精油の呼び名。シトロネラは、和名をコウスイガヤ(香水茅)と言います。原産地はスリランカ。レモングラス同様、イネ科の植物です。精油は、全草から蒸留します。

シトロネラの写真は入手できませんでしたが、レモングラスと似た細長くてシュッとした姿です。

以上、表+解説で、なんとなくお気づきかと思いますが。

レモンみたいな香りがする精油たち、原料植物の科名とか姿形とか、原産地とか、精油の抽出部位とか、けっこうそれぞれです。

レモン様の香りがすること以外の共通点は、ほとんどにレモンの香りにちなんだ名前がついていること、同じ科の場合に限れば原料植物の姿形も似ている(→当たり前よね)、といったところでしょうか。

〈精油の“違い”シリーズおすすめ記事〉
「スイートオレンジ&ビターオレンジ精油の違いと光毒性

レモンみたいな香りの精油、成分に注目

次に、成分①~④に注目してみましょう。

1~5の精油のレモン様の香りの素は「ゲラニアール」と「ネラール」という成分。これら両方を合わせて「シトラール」と呼ぶこともあります。

ゲラニアールのほうはシャープでフレッシュなレモン臭、ネラールのほうはライトで甘味のあるレモン臭らしいです。

科も全然違う1~5の植物に、同じ成分が主成分としてこんなにも含まれているなんて、本当に興味深いですね。

6、7のレモン様の香りの素は「シトロネラール」という成分。表中の上位4つまでには入っていませんが、レモンバームにも少し含まれています。

黄色い網掛けをしている成分は、どれも「テルペンアルデヒド」と呼ばれるグループに属しています。

テルペンアルデヒドに属する成分は、強い柑橘臭をもっているため、テルペンアルデヒドを多く含む精油=レモン、柑橘の印象が強くなる、というわけです。

レモンバームやレモンバーベナは、テルペンアルデヒドの含有率が他の精油に比べて少なめ。その分、他の成分による作用もけっこう期待できます。

レモンみたいな香りの精油、使い道

テルペンアルデヒドに属する成分には、全般に抗ヒスタミン作用、抗菌・抗真菌作用などがあり、虫刺されの痒みや水虫、掃除などに、他の精油とブレンドして使ったりします。

また、鎮静作用があるので、たとえば鬱気味、興奮・緊張状態、集中力が低下しているときなどに芳香浴を楽しむのもよいでしょう。

シトロネラールにおいては、局所鎮痛作用や昆虫忌避作用もあるので、筋肉痛や虫よけに使えますよ。

d-リモネンを主成分とする柑橘精油は、香りに慣れ親しんでいることや爽やかさから、好む人が多いのですが、香りが弱く、揮発も早いため、クラフト作りに使うと、実際にそれを使用するときには、かなり物足りな~い感じに。

香りうすっ!ってなります。

だからといって大量に入れたらコストがかかるし、スキンケアクラフトだったら肌への刺激が強くなってしまうし。

一方、柑橘じゃないけど、レモン様の香りがする精油たちは、クラフトにもしっかりと香りづけできます。

皮膚刺激があるため濃度に注意が必要ですが、少量で香りづけできるので、スキンケアクラフトも低濃度で作れます。

個人的には、レモン様の香りの精油たちは、香水やルームスプレーなどのフレグランス、入浴剤や石鹸などのクラフトに使うのがおススメです。

柑橘精油の代替にしたり、柑橘精油と合わせてシトラス感を増強させたり、ブレンドのつなぎにしたり(シトラス系の香りは、どんな香りとも合わせやすいので)してお楽しみください。

また、レモンみたいな香りが共通しているとはいえ、それぞれ異なる成分が入っていたり、成分比率も違うため、精油ごとに香りにも個性が。対面販売の店にはテスターがあるので、ぜひ、嗅ぎ比べてマイベストを探してみてくださいね。

MoaMoa Mommy
精油選びに関してのご相談や、アロマに関する原稿執筆、監修等のご依頼は、HPの連絡フォームより承ります。

「スイートオレンジ」&「ビターオレンジ」精油の違いと光毒性

アロマメディエーターうえむらです。

親しみやすい香りから、アロマ初心者にも人気の高いオレンジ精油。

いざ買おうとしたら、「スイートオレンジ」「ビターオレンジ」の2種類ある。どっちを買えばいいの?

と、迷った経験はありませんか?

店頭なら、香りを嗅いで好みのほうを買う選択もできますが、ネット販売ではそうもいきません。

今回は、何が違うのかわからない、どちらを買うべきか悩む、という方のためのおせっかい記事です。

スイートオレンジとビターオレンジは、何が違う?

スイートオレンジとビターオレンジの精油(エッセンシャルオイル)は、原料となる植物の種類が違います。

どちらもミカン科の植物ではあるものの、学名も異なる別品種。

スイートオレンジ Citrus Cinensis
ビターオレンジ Citrus Aurantium

スイートオレンジは、私たちがふだん食用として慣れ親しんでいるオレンジ。

スイートオレンジ精油の原料はバレンシアオレンジなど

「バレンシアオレンジ」「ネーブルオレンジ」「ブラッドオレンジ」などです。

これらは、それぞれ外見や食用としたときの味や香りの特徴には、少し違いがありますが、どれも学名は同じ。

精油に使われるのは、ほとんどが生産量の多いバレンシアオレンジのようです。

アロマテラピーの現場で、特別な説明なくオレンジと呼んでいる場合は、こちらのスイートオレンジから抽出した精油のことと解釈してOKです。

一方のビターオレンジは、酸味や苦みが強いため、食用には果皮をママレードにしたり、スダチやカボスなどと同様、果汁を調味料にしたりして使います。

日本名は「橙(ダイダイ)」。

ビターオレンジ精油の原料は橙(ダイダイ)

そう、お正月の鏡餅の上にのせるアレ。

子孫繁栄の願いをこめて飾る、縁起物です。

日本で流通しているビターオレンジ精油は、以前は外国産ばかりでしたが、最近は「橙(ダイダイ)」の和名を商品名にした国産も出回っています。

スイートオレンジは青年の香り、ビターオレンジは大人の香り

柑橘系の精油は、すべて果皮から採ります。

抽出方法には、果皮を絞る圧搾法と、水蒸気で蒸留する水蒸気蒸留法の2つがあります。

スイート、ビターどちらも、熱による影響を受けない分、圧搾法で抽出した精油のほうが、香りはより本物に近くなります。

スイートオレンジ精油は、手で皮を剥いた瞬間、プシュッっと弾け飛ぶあの香りそのまま。

甘さとフレッシュな爽やかさが印象的ですよね。

一方のビターオレンジは、甘く爽やかな中に、苦みや深みが感じられます。

人に例えれば、スイートは青年、ビターが大人のイメージといったところでしょうか。

スイート&ビターオレンジ精油の使い道は、ほぼ同じ。だけど…光毒性に要注意!

スイートオレンジ 精油とビターオレンジ精油、どちらもリモネンという成分が95%以上含まれています。

残りわずかの成分の違いが、それぞれの香りの印象の違いを生み出しているのですが、作用の面では、大部分がリモネンに由来するものなので、どっちもほぼ一緒。

抗菌、鎮静、血流増加などが主な作用です。

親しみのある香りということも手伝って、リラックス効果を得やすく、ストレス解消や安眠などに役立ちます。

香りを嗅ぐことで神経に作用し、心や体になんらかの効果をもたらすという使い方が最も一般的だと思います。

肌への作用はあまりないのですが、香りが好みだから使いたいという場合に、ひとつ気を付けていただきたいことがあります。

それは光毒性。

光毒性とは、精油が肌に付着した状態で紫外線を浴びると、シミや炎症などの皮膚トラブルを起こす性質のこと。

スイートオレンジ精油に光毒性はないと言われていますが、ビターオレンジ精油は要注意!

水蒸気蒸留法による精油ならば、光毒性に関与する成分が抽出されないので大丈夫。

でも、圧搾法によるビターオレンジ精油はキケンです。

国内産の柑橘精油は、ほとんど水蒸気蒸留ですが、外国産の柑橘精油は、ほぼ圧搾法で抽出されています。

抽出法は商品の説明書きや成分分析表にたいてい記載されているので、ビターを肌に使う際は、どちらなのか、きちんと確認してくださいね。

もしわからない場合は、夜、寝る前を除き、ビターオレンジ精油の肌への塗布は控えるのが無難ですよ。

スイートオレンジとビターオレンジの違い。つまり、こういうこと。

ここまで、文章で説明してきたことを、表にまとめると、つまりこういうことです。

スイートオレンジ精油とビターオレンジ精油の違いを比較

ここに「ふだんオレンジって言われている精油はスイートのほうですよ」ということと、「光毒性とは?」という説明加えれば、重要なことは、ほぼ網羅。

比較しやすくて、スーッと頭に入ってきますよね。

違い”シリーズ関連記事〉
プチグレンの正体は?ネロリとの香りや効果の違いは?

ビターオレンジは、果皮のほか、花からネロリ精油、枝葉からプチグレン精油を採ることができます。

なぜ 、 ネロリとプチグレンの精油はスイートオレンジではなく、ビターオレンジからなのかはよく知りません。

スイートオレンジの花や枝葉からは、採れないのか?採らないのか?

私が知っている限り、ビターが原料という説明書きしか見たことがなく、ネロリやプチグレンの精油の学名も、いつもビターのほう。

もし、スイートオレンジのネロリやプチグレンがない理由、 もしくはスイートオレンジのネロリやプチグレンの商品をご存知の方がいましたら、ぜひ教えてください!

MoaMoa Mommy
アロマに関する原稿執筆、監修等のご依頼は、HPの連絡フォームより承ります。

「メディカルグレード」「クリニカルグレード」「セラピーグレード」。どれが一番いい精油?


アロマメディエーター
うえむらで
す。

アロマテラピーのマストアイテムである精油選びにまつわるお話です。

メディカルグレードなんて聞くと、品質が高いとか、高い効果を得られる精油のように感じられますよね。

この精油のグレードって、何を基準に誰が決めているのでしょう。

メディカルグレード、クリニカルグレード、セラピーグレードだったら、どれが一番上なの?

グレードという言葉の意味を確認しつつ、おせっかい記事を書いてみます。

グレードの意味を「お米」を例に確認してみる

まずは、グレードという言葉の意味を確認してみましょう。

グレード(grade)=等級

辞書によると。

等級とは「上下・優劣の順位を示す段階」とあります。

例えば、お米の評価で「特A」とか「A´」という等級を聞いたことがありませんか?

これは、一般財団法人日本穀物検定協会という機関による評価です。

食味評価を行う20名のエキスパートが、毎年、銘柄ごとに提出されたお米(ごはん)を食べて、官能試験というものを実施し、評価しています。

米の評価は日本穀物検定協会によって行われる

お米の銘柄ごとの優劣。

まさにグレードですね!

これは、基準米と試験米を項目ごとに比較し、それを総合的にみて判定するのですが。

ここでポイントになる点は2つ。

①評価の基準があらかじめ決まっているということ。
②評価するのは、試験米を作っている人や売っている人ではなく、第三者であるということ。

これによって、客観的かつ公平な情報を消費者に提供しているのです。

とはいえ、これはあくまでも日本穀物検定協会が決めた基準によって導かれた評価。

好みは人それぞれですし、参考にしようとしまいと自由ですが。

日本人の好みを踏まえて、お米のプロたちが評価項目を定めているので、私なら参考にします。

精油のグレードは、誰が、どんな基準で決めているの?

では、精油に置き換えて考えてみます。

例えばメディカルグレードの精油って、誰がどんな基準でそう決めているのでしょう?

他にどういうグレードがあって、その中のどの段階なのでしょう?

この質問に答えられる人は、いないはずです。

なぜなら、〇〇グレードは“自称”だから。

どのブランドの精油がおすすめ?高品質?

少なくとも、この記事を書いている2020年6月現在、日本には精油の品質に等級をつける機関は存在しませんし、メディカルアロマの本場と言われているフランスにもないはずです。

自身が製造や販売、あるいは使っているブランドの精油が好きだからこそ、こだわりがあるからこそ、よさを伝えたい。そう思うのは自然なことです。

〇〇グレードとか、最高級とか。

品質の高さを想起させるような枕詞をつけたくなる気持ちはわかります。

でも残念ながら、これは客観的な基準に則ったものではありません。

「メディカルアロマを教えている講師に支持されている」

どこかの病院で使われている」

「セラピストによく使われている」

など(の情報)を理由に、そう“自称”しているということです。

精油の“プロフィール”と“グレード”は別もの

たとえば、「なぜ、この精油は〇〇グレードなの?」という問いに

「メディカルアロマの本場フランスの医療現場で使われているから」

「薬局で処方されているから」

「セラピストに支持されているから」

という返答は、〇〇グレードという等級を表す表現の理由、根拠にはなりません。

なぜなら、お米の例で書いた2つのポイント「あらかじめ決められた基準」によって「第三者が判定している」ものではないから。

客観性も公平性もないから。よその精油との比較になっていないから。優劣のつけようがありません。

「メディカルアロマの本場フランスの医療現場で使われている」

「薬局で処方されている」

「セラピストに支持されている」

事実なら、それを標榜するのはなんら問題ありません。

でも、それが事実であることと、〇〇グレードを自称することは別の話です。

じゃあ、それって一体、どこの病院で使われているの?いま現在どれくらいの数の病院で使われているの?どんな風に使われて、どういう成果をもたらしているの?

フランスのどこか1か所の診療所で使っているだけでもOKですか?10か所なら?100か所なら?

100か所あって、1つの病院が、年間3人に処方しているだけでもOKですか?10人なら?100人なら?

100人に処方して、よい成果が得られたのが年間3人でもOKですか?10人なら?100人全員なら?

どこからが〇〇グレードで、どこからが××グレードなんでしょう?

基準もなく、比較対象もなく、具体的な数や成果の情報もないのに、どうグレードが決まるのでしょう?

残念ながら、“自称”でしかありません。

グレードという言葉より、プロフィール、個性に注目!

客観的な基準がない以上、グレードを評価する(感じ取る)のは、消費者です。

「メディカルアロマの本場フランスの1000病院で使われている」

「パリにある〇〇病院で年間約1000人の患者に処方され、約半数に有用性があった」

「〇〇の研究機関の試験で、この精油を使って、80%の人の〇〇が改善された」

基準がなくても、このような事実があるなら、それを標榜すればよいのではないでしょうか。

それを証明できるものを明示すれば、どれだけ信頼に値するでしょう。

きっと多くの消費者は「品質が高そう」「効果がありそう」「安全性が高そう」=グレードの高い精油と思うはずです。

それを書かずに、〇〇グレードという言葉に頼って、よさをアピールしようとするのは面倒だから?

もしかしたら、本当は〇〇グレードと呼ぶに足るだけの事実がないのかもしれません。

〇〇グレードという言葉を使って品質のアピールをするのは、ある意味簡単です。

その言葉を使えばいいだけだから。

でも、本当に素晴らしいもので、その理由があるなら、本当にこわだわりや自信があるなら。

誰でも自由に使える〇〇グレードという言葉より、事実を、その精油のプロフィール、個性を、もっと丁寧に発信してほしい。

私は、そう思います。

それが、真に大切にしている精油へのリスペクトだと思うから。

事実を具体的に継続的に。手間ひまが愛情の証

事実とは、たとえばこんなことです。

・オーガニック認証や無農薬認証がある
・化粧品としての認可を取得している
・精油の材料となる花を1つ1つ丁寧に手摘みしている
・〇〇にしか生育していない希少な植物から採れる
・年間100本限定で生産
・低温で通常の2倍の時間をかけて蒸留している
・日本国内の第三者機関による成分分析表がある
・その精油を治療に生かしている病院のリストがある
・その精油によって得られたエビデンスがある
・すべて自社農場で育てた植物を原料としている
・複数の農場と契約し、品質や成分を一定に保っている

この事実を、どう解釈するか、何に魅力を感じるかは、消費者次第です。

アロマテラピーは予備知識がないと、こうした事実からだけでは、なかなかよさを汲み取ってもらえなかったりもします。

だから、ついグレードという言葉に頼ってしまうのかもしれません。

でもそれは、やっぱり安易というか誠実じゃない気がします。

また、数ある精油の中から、選んでもらえるようにするには、上記のような事実を明記するだけではなく、伝え方も大事ですよね。

・農場に足を運んだ社長がその様子を日々ブログで発信する
・病院で得られた治療の成果をレポートにする
・植物の成長を写真で見せる
・農場の見学を受け入れる
・その精油とのコラボ商品を開発する
・精油の良さを感じてもらえるイベントに参加する
・その精油で作るクラフト講座を開催する

こういったことを、継続的に行うのって、手間や時間、お金がかかります。

「メディカルアロマの本場フランスの医療現場で使われているメディカルグレードの精油です」

と書くこととは、天と地ほどの差があります。

でも、その手間を惜しまず、よさを伝える努力をし続けるところに、その商品に対する愛情やリスペクトが伝わってくるのだと思います。

ほんとうに素晴らしい精油なら、グレードなんて言葉を使うより、事実を手間ひまかけて発信するほうが、きっとその精油の本当の魅力が伝わるはずです。

ちなみに、私は複数のブランドの精油を使いますが、一番多く使うのはプラナロムです。

メディカルグレードのエッセンシャルオイルがおすすめ?高品質?

プラナロムの精油をメディカルグレードだから高品質な精油であるというように説明している方を多く見かけますが、私が使う理由は、メディカルグレードだからではありません。

ここでは詳細は割愛しますが、いろいろな理由、事実から、総合的に判断しています。

他のブランドの精油を使う理由も同じ。

少なくとも、どの種類の精油も、どこかのブランドのものが、つねにすべて最高級だなんてありえませんし、使う目的が違えば、求める要素も違ってきます。

アロマの知識がなくて、どの精油を買っていいのかわからないという方ほど、グレード、最高級などの言葉に目がいきがちですが。

そんな誰もが好き勝手に使える言葉ではなく、根拠のない優劣ではなく。

その精油のプロフィール、個性に目を向けて、あなたが心惹かれる精油を選んでください。

たとえば、「店頭で香り嗅いでみて心が震えた!」とか「たった1種類の精油だけを大切に作り続ける姿勢に心打たれた」とか「自分に必要な〇〇の成分が多く入っている」とか。

あなた自身の基準、感覚を大切に。

精油の売り買い、不当表示に気を付けて!

最後にもうひとつ。

〇〇グレードとか最高級など、等級を表すような表現を、客観的な根拠なく、商品の宣伝やPRに使うのは、場合によっては景品表示法の不当表示になることも。

アロマテラピーに限った話ではありませんが、商品やサービスの宣伝やPR、説明をする際は、景品表示法や薬機法(旧薬事法)などの法律を守らなくてはなりません。

これは、消費者を守るためのもの。

「実際より良く見せかける表示が行われたり、過大な景品付き販売が行われると、それらにつられて消費者が実際には質の良くない商品やサービスを買ってしまい不利益を被るおそれがあります。(中略)消費者のみなさんがより良い商品やサービスを自主的かつ合理的に選べる環境を守ります。」-消費者庁HPより

提供側になると、自分がよいと思うものを多くの人に伝えたい一心で、悪気はなくても、行き過ぎた表現、都合のよい表現を使ってしまうということが多々あります。

提供者は、消費者目線を忘れずに。

消費者は、冷静な目を失わずに。

あたなと精油のHappyな出会い、そして楽しいアロマライフを心から願っています。

MoaMoa Mommy
精油選びのご相談、アロマに関する原稿執筆、監修等のご依頼は、HPの連絡フォームより承ります。

ローズマリー・カンファー/ローズマリー・シネオール、ローズマリー・ベルべノン精油の違いとケモタイプの話

アロマメディエーターうえむらです。

ローズマリーの精油が、集中力アップや認知症にいいらしいって噂は聞いたことがある!という方はいらっしゃるかもしれませんが。

タイプを意識して選んでいるという方は、精油の化学を学んだアロマ講師やセラピストを除くと、あまり多くないと思います。

ん?ローズマリー精油のタイプ?

と思われた方のために、今回は3つのローズマリー精油の違いとケモタイプについて、おせっかい記事を書いてみます。

特徴が際立つ三つ子の精油、ローズマリー

精油は、たとえば”ローズマリーという1つの決まった香り”があるのではなく、数十~数百の香りをもつ成分が集まって、“ローズマリーらしい香り”を醸し出しています。

精油中に、どんな成分がどれくらい含まれているかは、土壌や気候などさまざまな条件に影響を受けます。

ですから、採油した精油の香りや成分にはファームごとに違いがあるし、同じファームでも収穫期(年)が違えば、微妙に違ってくるのです。

でも、ローズマリーには、そういうレベルではない、香り・成分が大きく偏ったタイプの精油が存在します。

「ローズマリー・カンファー」
「ローズマリー・シネオール」
「ローズマリー・ベルべノン」

この3つは、「科・属・種」が同じで、学名も同じ。

科名:シソ科
属名:マンネンロウ属
種名:ローズマリー
学名:Rosmarinus Officinalis

共通する成分もあるので、同じような作用もあります。

でも、違いもそれなりにあるので、タイプごとにその特徴を知って使い分けたほうが、より安全に効果的に使うことができるのです。

ローズマリー・カンファー/ローズマリー・シネオール、ローズマリー・ベルべノン精油の違いとケモタイプ

なんだか、1卵生の三つ子みたいですね(#^.^#)

他にも、タイム、バジル、ニアウリなどに、このタイプの精油があります。

このように、同じ植物なのに成分差が大きい精油を、プラナロムの精油では「ケモタイプ」と呼んでいます。プラナロムの精油の正規輸入代理店である健草医学舎の登録商標なので、これはプラナロム精油に限った呼び方です。

それでも、“同じ植物だけど成分が大きく違うため、区別して販売している”という精油ブランドは他にもあります。

学名が同じなのに、「ローズマリー・〇〇」「タイム・〇〇」のように、精油名が違うものがラインナップされていたら、プラナロムでいう「ケモタイプ」と認識すればOKです。

カンファー、シネオール、ベルべノン。それぞれのローズマリー精油の特徴は?

「ローズマリー・カンファー」「ローズマリー・シネオール」「ローズマリー・ベルべノン」は、それぞれ含まれている成分に特徴があります。

それが、「ローズマリー・〇〇」という呼び名の「〇〇」のほう。「カンファー」「シネオール」「ベルべノン」で、その精油らしさ、タイプを表しています。

下の表は、3タイプの精油ごとの成分の含有率です(多い順に記載)。実際は生育地の土壌、気象状況などにより異なるので、あくまでもサンプルです。違い、特徴を理解していただくための参考資料としてご覧くださいね。

ローズマリー・カンファー/ローズマリー・シネオール、ローズマリー・ベルべノン精油の違いとケモタイプ

何かの成分の含有率が、他のタイプに比べて少ない、突出しているなど、ざっと眺めるだけでも、違いがあることはわかりますよね。

カンファーという成分には、神経を覚醒させる作用、筋肉を弛緩させる作用、脂肪や粘膜を溶解させる作用などがあります。

数%、十数%程度の含有率でも、わりと強く香りや作用を発揮します。

ローズマリーのほか、カンファー・ホワイト、ラベンダー・ストエカス、セージなどの精油に多く含まれています。神経毒性があるので、使う量や濃度などに注意が必要です。

シネオールは、1.8シネオール、ユーカリプトールとも呼ばれ、去痰作用、抗菌・抗ウイルス作用、免疫向上作用などをもつ成分。

ユーカリ・グロブルスやユーカリ・ラディアータ、ラベンダー・スピカ、ニアウリ、ラヴィンサラ精油などに多く含まれています。

ベルべノンは、細胞の再生作用や肝臓・胆嚢の強壮作用などをもつ成分です。

ほかに、この成分を含む精油を私は知りません。ベルべノンという成分名の由来となった「バーベナ」に含まれているという記述を見かけましたが。

バーベナにもいろいろ種類があり、アロマテラピーで使われるのは「レモンバーベナ」くらい。でも、「レモンバーベナ」にベルべノンは含まれていません。一般に流通している精油においては、ローズマリー・ベルべノン特有の成分と言えると思います。

ケモタイプのローズマリー精油は、どう使う?

カンファーと1.8シネオールは、どのタイプにも含まれていて、ローズマリーらしいシャープさの素になっています。

中でも、カンファーの含有量が高い「ローズマリー・カンファー」は、香りの鋭さもピカイチ。

1.8シネオールの含有量が高い「ローズマリー・シネオール」は、ユーカリやラヴィンサラの香りに近い印象です。

また、カンファーや1.8シネオールの含有量が少なめの「ローズマリー・ベルべノン」は、それ以外の成分の香りにも、それなりに支配されるので、草っぽいハーバルな印象が強くなります。

使い方は、前述のタイプ別の作用から想像できると思いますが。

カンファーを多く含む「ローズマリー・カンファー」は、芳香浴などによって眠気を覚ます、集中力や記憶力をUPさせる、希釈したものを塗布して筋肉痛を緩和するなどに効果的です。

1.8シネオールを多く含む「ローズマリー・シネオール」は、吸入による痰や鼻づまりの緩和、塗布などによる風邪予防などが期待できます。1.8シネオールの作用が特に必要な場合は、前述した他の精油に、より多く含まれていたりするので、そちらを代用してもよいでしょう。

ベルべノンを多く含む「ローズマリー・ベルべノン」は、ローションなどを塗布することで、フケ、育毛などのヘアケア、皮膚の弾力回復やターンオーバーの促進などのスキンケアに効果的です。刺激の強いカンファーが少めなのも、スキンケアに向く要因となっています。

ローズマリー・カンファー/ローズマリー・シネオール、ローズマリー・ベルべノン精油の違いとケモタイプ

ローズマリー、こぼれ話2つ

ここで、ちょっとブレイクタイム。

こぼれ話し、1つめ。

ローズマリー精油の学名Rosmarinus officinalisの「Rosmarinus」には、海の雫という意味があります。

浜辺に多く生育する習性に由来するようです。わが家の花壇にも、1年を通じてわさわさと茂っていたりするし、今の私たちの生活では、“浜辺に生育”という印象はありませんが……。地中海地域原産の植物であることを思えば、なるほどですね。

洒落たネーミングに、ローズマリーのイメージがUPしそう(#^^#)

わが家のローズマリーは、もし精油を採るとしたら、一体どのタイプなんだろう?と、気になります。

こぼれ話、2つめ。

どのタイプのローズマリー精油にも含まれるカンファー。これは成分名なのですが、カンファーをたくさん含むクスノキを原料とする精油の名称にも使われています。

クスノキの枝や葉を粉砕して水蒸気蒸留すると、透明な結晶が得られます。これが、樟脳(固体のカンファー)です。

そして、この樟脳を取り除き、蒸留を繰り返したものがアロマテラピーで使われるカンファー精油になります。「カンファー・ホワイト」と呼ばれ、その中には液体のカンファーが、まだまだたくさん(50%くらい)残っています。

樟脳を一部取り除いているので、正確には「カンファー精油」ではなく、「カンファー油」と呼ぶべきかと思います。

「ハッカ精油」からハッカ脳を取り除いたものが「ハッカ油」なのと同じように☟

〈ハッカ脳関連記事〉
「ハッカ精油とハッカ油は、違う?同じ?」

樟脳は、昔はタンスの虫よけとして当たり前に使われていましたが、今や香りのない合成の防虫剤にその座を譲り、樟脳の防虫剤は特別なものになっています。

今は、カンファーは簡単に合成できるので、多くの薬品や医薬部外品にも使われています。

たとえば、虫刺され用の薬、筋肉痛の薬。

市販品のパッケージに記載されている成分表示を見ると、けっこう見つけられると思いますので、興味がある方はチェックしてみてくださいね。

安価に合成品が作れるため、私たちもその恩恵にあずかっていますが、一方で本物の樟脳の出番が減り、作り手もどんどん減っているという現状もあります。

だいぶ前ですが、こんな記事を書いたことが☟

〈樟脳関連記事〉
「クスノキから採れる天然防虫剤、樟脳を作る女性職人さん」

なんだか、ちょっと悩ましいですね。

買う時は、タイプを確認できるのがベスト

話を本題に戻して、絞めくくります。

どのタイプのローズマリー精油なのか、名称でわかるものもありますが、ブランドによっては、単に「ローズマリー」となっていて、タイプ表記のないものもあります。

名称でわからなくても、成分分析表が添付されていれば(あるいは、ネットなどでロットごとに成分の閲覧ができれば)、上記の表と照らして、どのタイプかわかると思うのですが。

どちらもない場合、自分が期待していた効果が得られない、安全性に欠けるなんてことになってしまうかも。

好みの香りだから、なんとなく香らせて楽しみたいという時は、細かいことにこだわらないくてもよいと思いますが、効果を期待するなら、タイプを知って購入するのがおすすめですよ!

MoaMoa Mommy
アロマに関する原稿執筆、監修等のご依頼は、HPの連絡フォームより承ります。