アロマメディエーターうえむらです。
皆さんは、普段どんな虫よけを使っていますか?
外で蚊に刺されるのも、もちろんイヤですが、寝ているときに襲われるのが、私は一番イヤ。かゆみと安眠妨害で腹立たしさもMAX!
真夜中の急な攻撃には、空間用のスプレーをひと吹きで対処していますが、今はいろんなタイプのものがあって、便利になりましたね。
今回は、蚊取線香や市販の虫よけスプレーの特徴や、それらとアロマの虫よけの違い、オススメの精油についてのおせっかい記事を書いてみます。
除虫菊の花の成分で蚊を殺す~蚊取線香の効果~
蚊取線香は、ひとことで言うと「殺虫剤」。
空間に拡散するタイプの虫よけ剤としては、最も歴史あるものですよね。
蚊取線香は、除虫菊=シロバナムシヨケギクの花が主な原料。
胚珠(種子になる部分)に含まれる「ピレトリン 」という殺虫効果のある成分を練りこみ、蚊を駆除するというものです。
とはいえ、最近は「ピレトリン」を化学合成した「ピレスロイド」を使った商品が主流。
除虫菊由来のものはマイナーで、ピレスロイドを使ったものよりお値段も高めですが、“天然除虫菊使用”として、今もナチュラル志向の人たちに支持されています。
【天然の除虫菊を有効成分とする蚊取線香】
・天然除虫菊 金鳥の渦巻 ミニサイズ (金鳥)
・昔ながらの天然除虫菊かとり線香 (ライオンケミカル)
・菊の香り蚊取り線香 (児玉兄弟商会)
蚊取線香は、火をつけると熱で有効成分が揮発して周囲に拡散され、近くにいる蚊の神経に作用するという仕組み。煙とは無関係で、あくまでも熱で揮発したピレトリンやピレスロイドによる作用です。
忌避効果もあるので(本能的に危険なにおいを察知して逃げるのでしょう)、蚊取線香を焚いていると、蚊に刺されにくくなるというわけです。
人間や多くの動物には作用せず、虫や魚など一部の生物にのみ毒性を発揮します。
この蚊取線香は、キンチョー(金鳥)のブランド名で知られる大日本除虫菊株式会社によって開発されたもので、日本だけでなく、蚊が多い諸外国でも活躍しています。
棒状では持ち運びや扱いに不便なうえ、燃焼時間が短いため、長持ちして扱いやすい渦巻き状のものが創業者の妻によって考案され、それが蚊取線香のスタンダードとなっています。
睡眠時間を考慮した、1本で7時間ほど燃焼する約75cmの長さが一般的ですが、ミニサイズの商品も出回っていますね。
私は、一時、コーン型の小さい蚊取線香を作る講座を頻繁に行っていたのですが(最近、ご無沙汰です😓)。
これは10分、15分で燃焼してしまうので、寝るときに使うのには向きません。たとえば短時間の庭仕事とか、花火とか。そんなときに使うのにぴったりです!
時間に応じて、1個、2個、3個と調整できる使い切りサイズが魅力。粘土細工のように、こねこねしながら作るのは楽しいものです。
わが家では、蚊取線香は家の中では使っていませんが、植木屋の夫が仕事の必需品として常備しているものを、花火やBBQ、草むしりなど、アウトドアで時々使っています。
昔は、空間用の虫よけといったら蚊取線香でしたが、やがて、電気の熱で2㎝四方くらいのマットをあたためて有効成分を揮発させる「〇〇マット」なるものが登場しました。
煙も出ないし、火も使わないし、なんて画期的なんだ!と、子供ながらに思った記憶があります。
こうした空間用の蚊よけ商品は、その後も進化を続け、いまは液剤を揮発させるタイプ、吊るすタイプ、スプレータイプなど、各社からいろいろ出ていますが、その成分表示を見ると、おおむね「ピレスロイド系」と表示されています。
形態、形状は違っても、この成分は、昆虫忌避の定番中の定番。使う場所や場面に合わせて選べる、虫よけの強い味方です。
マスキング効果で蚊の吸血行動を阻む~ディート&イカリジンで虫よけ~
ディートやイカリジンを有効成分とする肌用の虫よけ剤をひとことで言うと「攪乱剤」。
肌につけると、マスキング効果によって、虫は人の体から発せられるサイン(炭酸ガス、におい、温度など)が感知できなくなり、吸血対象に気づけないのです。
でも、塗り残しがあると、その部分は感知されてしまいます。スプレーしたあと、ムラにならないよう、手でまんべんなく塗り広げるのが刺されないための秘訣です。
実際に、きちんと塗り広げた腕とスプレーしただけの腕を、蚊のいるケースに入れて実験している映像を見たことがありますが、スプレーしただけの方は、やはりムラになっていたようで、数か所刺されていました。
ディートを有効成分とする商品は、使用できる年齢や回数などに決まりがありますが、イカリジンを有効成分とする商品は、制限なく使うことができます。
ディートのほうが防げる害虫の種類は多いので、状況に応じて選べばOKですが、蚊はディート、イカリジンどちらでも効果があります。
ディートやイカリジンの濃度は商品によって異なり、濃度が高いほど効果の持続時間が長くなるので、塗り直しの回数は少なくなります。濃度が高い=蚊よけの威力が強いではありませんのでご注意を。
普段使いには低濃度のもの、長時間のアウトドアには高濃度のものといった使い分けをするとよいですね。
苦手な香りで蚊を遠ざける~精油(エッセンシャルオイル)で虫よけ~
精油(エッセンシャルオイル)を使った虫よけをひとことで言うと「嫌悪剤」。
って、そんな言葉はありませんが。勝手に名付けてみました。苦手、嫌いだから、近づかないという単純な原理です。蚊取線香と違って、殺虫効果はありません。
アロマの虫よけスプレーは、水で希釈した精油の成分が揮発して忌避できるわけです。必ずしも肌でなくても、服などにつけることでも効果を発揮するので、小さいお子さんや敏感肌の方にもオススメです。
アロマの虫よけなら自分で濃度も調整できます。服につける場合は濃いめに、直接肌につける場合は薄めになど、使用方法に応じて変えることもできるのがメリットです。
精油を有効成分としているものは、ディートやイカリジンの虫よけに比べると効果は弱め。揮発も早いため、塗り直しは、こまめにする必要があります。
ゆっくり揮発させるために、水ではなく、クリーム基材に混ぜて塗るという方法もあります。
アロマの虫よけがディートやイカリジンの虫よけとは大きく違う点は香り。天然の香りならではの心地よさはやっぱり魅力的です。
天然素材という安心感もあります。そして手作りすればかなり安価です。
近所を少し散歩するとか、買い物に行くとか、刺される可能性があまり高くない場合や、短時間のお出かけに重宝しますよ。
蚊よけにオススメの精油はユーカリ。だけど・・・・・・
では、具体的にどんな精油がおすすめなの?
ということですが、アロマテラピーで一般的に使われている精油の中から選ぶなら…。
「ユーカリレモン」です。
「レモンユーカリ」「ユーカリシトリオドラ」などとも呼ばれていて、主成分のシトロネラールが、蚊などの虫にとって苦手とされています。
名前に“レモン”がつくことからも想像できる通り、レモンのような香りがする精油で、一般にユーカリ精油として知られている「ユーカリグロブルス」や「ユーカリアラディアータ」とは、成分も香りも全く違います。
「ユーカリグロブルス」や「ユーカリラディアータ」は、1.8シネオールを主成分とする精油で、スースーした清涼感のある香り。呼吸器系のトラブルにオススメで、蚊が苦手なシトロネラールは、まったく含まれていません。
詳しい説明は、よろしければ過去の記事でご覧ください☟
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「ユーカリグロブルス」「ユーカリラディアータ」「ユーカリレモン」精油の違い、お教えします!
ユーカリレモン精油が虫よけにオススメな理由あれこれ
さて、蚊が苦手とするシトロネラールですが、ユーカリレモン以外にも、これを含む精油はあります。なのに、どうしてユーカリレモンなのかというと、それはシトロネラールの含有量がダントツに多いから。
◆シトロネラールの精油中の含有量
ユーカリレモン 約72%
シトロネラ・ジャワ 約42%
レモンティーツリー 約21%
※「生活の木」取り扱い精油の成分分析表参照(2021年7月25日現在)
できるだけ精油の濃度を低く抑えながら、シトロネラールの効果を得るには、ユーカリレモンを使うのがオススメなのがご理解いただけますよね。
低い濃度で使える=肌への刺激が少ないということであり、少ない量で作れる=安く作れるということでもあります。
そして、香りが苦手な人が少なくて、安定的に市場に出回っていて、価格がお手頃。いろんな意味でユーカリレモンは使いやすい精油なのです。
昆虫の忌避作用をもつ成分は、他にもいろいろありますし、その成分を含む精油もたくさんあります。多くの論文もあります。ただ、作用があるという事実と、実用に適しているかは、また別のはなし。
私たちが使用するためには、肌につけたり、自然と香りを嗅いだりするわけですから、濃度なども重要です。ケースの中にいる蚊に有効である=オススメ精油とは必ずしもならないのです。そんな中で…。
①ユーカリレモン精油は、シトロネラ精油とともに、昆虫の忌避剤として米国環境保護局(EPA)の承認を得ている(情報元:『抗菌アロマテラピーへの招待』)。
②アロマテラピーの講座で作ったユーカリレモンの虫よけを使った経験がある
③ユーカリレモンが主成分の市販の虫よけを使った経験がある
【精油を有効成分とする虫よけ】
・虫よけパッチα シールタイプ (アース製薬)
・アンチバグ (アロミックスタイル)
・アウトドアスプレー (アミザージ)
こうしたことを通じて、ユーカリレモンは、虫よけとしての一定の安全性(安全な使い方)と効果が認知されていて、他の精油と比較しても、信頼度が高い、使いやすい精油と言っていいと思います。
また、ユーカリレモン精油には、ディートと同等かそれ以上の効果があるとされる「p-メンタン-3.8ジオール」という成分も微量含まれているそうです(微量すぎるのか、成分分析表では確認できません)。
そしてこの「p-メンタン-3.8ジオール」は、ユーカリレモン精油にたっぷり含まれるシトロネラールから作れるそうです☟
上述のp−メンタン−3,8−ジオール異性体混合物の製造方法は、特に限定されるものではないが、例えば原料としてd−シトロネラール、l−シトロネラール、及び、dl−シトロネラールのいずれかを用いる、当業者にとって公知の方法を採用することができる。
ー引用元:生命科学関連特許情報(出願番号2011259259)
合成、天然どちらのシトロネラールからも作れますが、下記の市販の虫よけ商品には、p-メンタン-3.8ジオールは「ユーカリ精油由来」と書かれています。
それなりに強力なのか、肌に直接つけるタイプではなく、服や空間用が一般的です。UVカット成分がプラスされている商品もあり、虫よけも進化を遂げていますね。
【を主な有効成分とする虫よけ】
・服にスプレー スキンベープミスト ナチュラル UVカット (フマキラー)
・ペット用アースノーマット (アースペット)
・ナチュラス ボタニカルスプレー (アース製薬)
というわけで、あれこれ語りましたが、ユーカリレモン精油がオススメな理由、伝わりましたか?
仕事でアロマに関わっているわけでもないと、昆虫忌避作用のある精油を何種類も購入して少しずつ使うのって、けっこうたいへんですよね。
忌避作用がある精油をいろいろブレンドして使うのももちろんあり!ですが、もし虫よけ用に1本だけ買うとしたら…。ぜひ、ユーカリレモンを!
蚊を物理的にシャットアウト!~網戸や蚊帳~
付録情報です。ここまで化学の力を利用した忌避のはなしをしてきましたが、ちょっと別の視点から。
虫を物理的にシャットアウトする網戸や蚊帳のおはなし。
これらは、破れなどがない、きちんとした状態のものであれば、場面・場所は限定されるものの、安全性とか時間とか関係なく虫よけができるお役立ちアイテムです。
でも、たとえば網戸をきちんと閉めているはずなのに…。破れもないはずなのになぜいるの!?っていうことありませんか?
玄関やベランダを出入りしたときに、という可能性もあると思いますが。じつは、網戸の閉め方に原因がある場合も。
網戸って、窓の右側で閉めるのが正解なんだそうです。窓は左側に寄せて、網戸は右側に。逆にすると、窓と網戸の間に隙間ができてしまい、そこから虫が侵入しやすくなるのだとか。
また、蚊は通常の網戸の網目を通過できませんが、コバエなど、一部の虫は網目を簡単に通り抜けてしまいます。けっこう楽々通り抜けている様子を映像で見たことがあります。
あまり侵入がひどい場合は、網目の細かいタイプに替えたり、スプレー剤や蚊取線香と併用するなどの合わせ技で対処するとよいですね。
蚊帳は、家の中ではもちろんのこと、持ち運びもできるので、キャンプなどのアウトドア活動が多い方は、1つ用意しておくと安心かもしれません。
たかが蚊、されど蚊。
我々と蚊との攻防戦は、未来永劫続くのでしょうから。TPOに応じて、安全性と効果を天秤にかけながら、虫よけ対策をしていきましょう。
▶MoaMoa Mommy
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