アロマメディエーターうえむらです。
名前に“レモン”がついた精油や、レモンみたいな香りがする精油って、けっこうたくさんあるのをご存知ですか?
タイトルに記載したもの以外にも、シトロネラ、ユーカリレモン、レモンティーツリーなどがありますが。
どうして同じような香りがするの?
レモンバームとレモンバーベナって同じもの?違うもの?
わかっているような、そうでないような曖昧な知識、アロマメディエーターうえむらのおせっかい記事でスッキリさせてください。
レモングラス、レモンバームetc.レモンの香りがする精油を集めてみた
レモンは言わずと知れた柑橘類。柑橘の果皮から採れる精油は、レモン以外に、オレンジ、グレープフルーツ、マンダリン、ベルガモット、ライム、柚子などたくさんあります。
最近は、みかん、いよかん、甘夏など、国産の柑橘精油もいろいろ出回っています。
どれも、香りを嗅げば柑橘精油だとわかりますが、当のレモンを除き、「レモンの香り!」と思うものは、あまりありません。
強いていえば、マンダリンが酸っぱめのせいか、レモンに近いかな~というくらいでしょうか。
一方、柑橘類ではない植物から抽出する精油の中に、「レモンの香り!」と、感じるものが多くあります。それが、以下の表の精油たち。比較のため、レモンも最下段に載せています。
表の見方を補足すると。
金額は、表中のすべての精油を取り扱っている生活の木のものです(投稿時現在、税込み)。
成分①~④は、含有率の多い順に、上位4つを挙げています。これは一例なので、実際はブランドやロットによって異なります。あくまでも違いや共通点を理解するための資料としてご参照ください。
オレンジ色の網掛けがしてあるd-リモネンは、柑橘精油の主成分で、甘酸っぱいフレッシュで爽やかな香りがします。
黄色で網掛けしてあるのは、レモンみたいな香り(レモン様の香り)をもつ成分。複数あります。
一番右端の柑橘臭としているのは、表中のオレンジ色と黄色部分を合計した数字。
成分名と一緒に書かれているアルファベットは、香りのおおざっぱな印象です。
それでは、詳細を見ていきましょう。
レモンの香りがする精油は、柑橘精油にあらず?
d-リモネンは、柑橘を柑橘たらしめる香り。すべての柑橘精油の主成分です。
ゲラニアールやシトロネラールなどは、レモンっぽい香りの成分。柑橘精油には、あまり含まれていません。
当のレモンにすら、わずか数%程度(ロットによりますが、ふつう5%にも満たないレベル)。オレンジなら、0.5%にも満たない超微量。
でもそれが、柑橘ではない1~7の植物にはたくさん入っているのです。
柑橘の精油は、d-リモネンという共通の成分によって、ベースとなる香りが決まっていて、それ以外の成分によって、自分らしさ、個性を出しているというのに。
見た目も科も全然違う植物たちが、こぞって似たようなレモンみたいな香りを出す。
なんだか、おもしろいですね。
レモンみたいな香りの精油、共通点は?違いは?
まずは、各精油の成分以外の点に注目してみます。表の1~7を順に見ていきましょう。
1、レモングラス
和名を「レモンガヤ(檸檬茅)」と言います。原産地は熱帯アジア。イネ科植物なので、葉も細長くシュッとしています。レモングラスという名前は、直訳すれば「レモン草」。そのまんまですね。精油は全草から蒸留します。
2.レモンバーム
別名をメリッサ、和名をコウスイハッカ(香水薄荷)と言います。原産地は南ヨーロッパ。シソ科の植物で、同じシソ科のミント類に近い外観をしています。精油は全草から蒸留します。採油率が低くて稀少なので、とっても高価です。
3.レモンマートル
レモンマートルの「マートル」は、日本では「ギンバイカ(銀梅花)」と言います。花の外観に由来するようです。原産地はオーストラリア。ユーカリやティーツリーと同じフトモモ科の植物です。精油は、枝葉から蒸留します。
4.レモンバーベナ
和名をコウスイボク(香水木)と言います。原産地はアルゼンチン、ペルー、チリ。ランタナと同じ、クマツヅラ科の植物です。精油は葉と花から蒸留します。採油率が低く稀少なので、かなり高価です。
5.リトセアキュベブ
(リトセアクベブ/リツエアクべバ)
別名をメイチャン、和名をアオモジ(青文字)と言います。コショウ科の蔓植物に、クベバ/クベブ(別名:ヒッチョウカ)というのがありますが、香りはレモンではなくスパイシー。見た目は、リトセアの葉が茂っている頃だと、少し似ているかも?という感じ。名前の由来に関係があるのかどうかはよくわかりません。原産地は中国で、メイチャンは「中国の女神」の意味。クロモジ(黒文字)同様、クスノキ科の植物です。精油は果実から蒸留します。
リトセアの葉が茂っている写真
➡Litsea cubeba
クベバの写真 ➡piper cubeba
6.ユーカリレモン
別名をユーカリシトリオドラと言います。Citri(シトリ)=「レモンの」、odora(オドラ)=「香り」です。原産地はオーストラリア。3のレモンマートル同様、フトモモ科の植物です。精油は、葉と小枝から蒸留します。よい写真素材が見つからず、乾燥しかかっている葉を、私が家で撮影したものです☞
7.シトロネラジャワ
シトロネラジャワは、シトロネラールを多く含むタイプのシトロネラ精油の呼び名。シトロネラは、和名をコウスイガヤ(香水茅)と言います。原産地はスリランカ。レモングラス同様、イネ科の植物です。精油は、全草から蒸留します。
シトロネラの写真は入手できませんでしたが、レモングラスと似た細長くてシュッとした姿です。
以上、表+解説で、なんとなくお気づきかと思いますが。
レモンみたいな香りがする精油たち、原料植物の科名とか姿形とか、原産地とか、精油の抽出部位とか、けっこうそれぞれです。
レモン様の香りがすること以外の共通点は、ほとんどにレモンの香りにちなんだ名前がついていること、同じ科の場合に限れば原料植物の姿形も似ている(→当たり前よね)、といったところでしょうか。
〈精油の“違い”シリーズおすすめ記事〉
「スイートオレンジ&ビターオレンジ精油の違いと光毒性」
レモンみたいな香りの精油、成分に注目
次に、成分①~④に注目してみましょう。
1~5の精油のレモン様の香りの素は「ゲラニアール」と「ネラール」という成分。これら両方を合わせて「シトラール」と呼ぶこともあります。
ゲラニアールのほうはシャープでフレッシュなレモン臭、ネラールのほうはライトで甘味のあるレモン臭らしいです。
科も全然違う1~5の植物に、同じ成分が主成分としてこんなにも含まれているなんて、本当に興味深いですね。
6、7のレモン様の香りの素は「シトロネラール」という成分。表中の上位4つまでには入っていませんが、レモンバームにも少し含まれています。
黄色い網掛けをしている成分は、どれも「テルペンアルデヒド」と呼ばれるグループに属しています。
テルペンアルデヒドに属する成分は、強い柑橘臭をもっているため、テルペンアルデヒドを多く含む精油=レモン、柑橘の印象が強くなる、というわけです。
レモンバームやレモンバーベナは、テルペンアルデヒドの含有率が他の精油に比べて少なめ。その分、他の成分による作用もけっこう期待できます。
レモンみたいな香りの精油、使い道
テルペンアルデヒドに属する成分には、全般に抗ヒスタミン作用、抗菌・抗真菌作用などがあり、虫刺されの痒みや水虫、掃除などに、他の精油とブレンドして使ったりします。
また、鎮静作用があるので、たとえば鬱気味、興奮・緊張状態、集中力が低下しているときなどに芳香浴を楽しむのもよいでしょう。
シトロネラールにおいては、局所鎮痛作用や昆虫忌避作用もあるので、筋肉痛や虫よけに使えますよ。
d-リモネンを主成分とする柑橘精油は、香りに慣れ親しんでいることや爽やかさから、好む人が多いのですが、香りが弱く、揮発も早いため、クラフト作りに使うと、実際にそれを使用するときには、かなり物足りな~い感じに。
香りうすっ!ってなります。
だからといって大量に入れたらコストがかかるし、スキンケアクラフトだったら肌への刺激が強くなってしまうし。
一方、柑橘じゃないけど、レモン様の香りがする精油たちは、クラフトにもしっかりと香りづけできます。
皮膚刺激があるため濃度に注意が必要ですが、少量で香りづけできるので、スキンケアクラフトも低濃度で作れます。
個人的には、レモン様の香りの精油たちは、香水やルームスプレーなどのフレグランス、入浴剤や石鹸などのクラフトに使うのがおススメです。
柑橘精油の代替にしたり、柑橘精油と合わせてシトラス感を増強させたり、ブレンドのつなぎにしたり(シトラス系の香りは、どんな香りとも合わせやすいので)してお楽しみください。
また、レモンみたいな香りが共通しているとはいえ、それぞれ異なる成分が入っていたり、成分比率も違うため、精油ごとに香りにも個性が。対面販売の店にはテスターがあるので、ぜひ、嗅ぎ比べてマイベストを探してみてくださいね。
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