アロマメディエーターうえむらです。
精油がプラスチックを溶かすということは、ご存知の方も多いと思います。
だから、アロマのクラフト作りなどで使ったりするときの容器の素材には注意が必要なのですが、ひとくちにプラスチックといってもさまざまな種類があります。
どれがOKで、どれがNGなの?というギモンが湧いてきますよね。
以前、私が書いたアメブロの記事の中で、特にアクセス数が多い記事のひとつが「青、茶、緑。どの遮光瓶を選ぶのが正解?」。
これが人気なら、きっとプラスチック容器選びにも、悩めるアロマ好きさんがいるはず、ということで、おせっかい記事を書いてみます。
【追記】コロナ感染拡大以降、当記事へのアクセス数が増えています。プラスチック容器とエタノールの相性については、後半に記述しています。
精油はプラスチックを溶かすってホント?
食品などの販売でよく使われる発泡トレー(PS=ポリスチレン素材)にオレンジの精油を垂らすと、かなりのスピードでトレーが溶けて穴が空いてしまいます。
これはオレンジ精油に多く含まれる「リモネン」という成分がプラスチックを溶かす性質をもっているから。
リモネンはいろいろな精油に含まれています。
とくに柑橘系の精油に多く含まれているのですが、その中でも、オレンジ、グレープフルーツは97%前後という突出した数字。
発泡トレーに垂らすと、すぐにしゅわしゅわ~っと発泡し、穴を空けます。
私が試したところでは、オレンジは数分でトレーに穴を空け、リモネンの含有率が70%ほどのマンダリンでは、発泡してかなり溶かすものの、穴が空くところまではいきませんでした(たくさん垂らしたり、薄いトレーだと空くかも?)。
一般的にリモネンを2%ほど含むラベンダーとペパーミントも同時に垂らしてみましたが、目に見えて発泡するという現象は起こりませんでした。
ただ、ラベンダーは発泡しなかったものの、じわじわとトレーを溶かし、しばらくするとトレーが少しへこみました。
ペパーミントは、精油を垂らした跡だけが残り、目に見えるレベルでは、溶けた形跡はありませんでした。
精油がトレーの上で流れてしまったのですが、左から、真正ラベンダー、ペパーミント、マンダリン、スイートオレンジを滴下しています。
今回使ったペパーミントとラベンダー精油の溶かし方の違いについては、次の理由が考えられます。
リモネンには、Dリモネン、Lリモネンの2タイプあります。この違いについての説明は、ここでは割愛しますが、発砲トレーを溶かすのは Dリモネン の性質。
スイートオレンジやマンダリンは、そもそもリモネンの含有量が多いうえ、そのほとんどがDリモネンなので、溶かす力もすごいわけです。
そして、ラベンダーに含まれているリモネンはDリモネン主体なので、多少ではありますが、少しトレーを溶かしたのでしょう。一方のペパーミントはLリモネン主体。目に見えて溶かす結果にはならなかったのではないかと思います。
Dリモネンは商品としても存在するくらいですから、その力はお墨付き。
発砲スチロール溶解液▼
https://www.impact-onlineshop.com/d-limonene-2
この溶かす性質を生かしたリサイクルシステム(ソニーが開発)もあるくらいですから、その力は疑う余地なしです。
ご興味がある方は、リサイクルシステムについての記事をご覧ください(いよぎん地域経済研究センター/2002年)。
発泡スチロール処理に画期的なシステム登場-オレンジオイル“リモネン”を用いた高知のリサイクルプラント▼
http://www.iyoirc.jp/post_industrial/20020801/
リモネンは、プラスチックのみならず、ゴムや油なども溶かすため、その性質を生かして、さまざまな工業、製品造りに利用されています。
精油はどんなプラスチックも溶かすの?
リモネンを多く含む精油は、プラスチックを溶かす力が強いのは事実ですが、どんなプラスチックも同じように、というわけではありません。
プラスチックにもいろいろな種類があるので、精油に対して耐性の高いものもあります。
精油が入っているのはガラス瓶ですが、そのキャップやドロッパーはプラスチック製です。
だから、精油のキャップやドロッパーに使われている材質のものなら、安全性が高いことはわかりますね。
具体的に、どの種類のプラスチックなら安全性が高いのか、みてみましょう。
アロマ関連の製品を販売する生活の木の商品カタログに掲載されている「耐性の目安」の表から、情報を一部抜粋してご紹介します。
〇=種類・濃度に注意すれば使用可 △=キャップ・ドロッパーは使用可 ×=適していない PP 精油△/1%未満の植物油希釈〇 PE 精油△/1%未満の植物油希釈〇 PET 精油×/1%未満の植物油希釈〇 ー生活の木商品総合カタログ掲載「耐性の目安」表より
PP(ポリプロピレン)は、日用品、玩具、家電、車などに使われる素材。
PE(ポリエチレン)は、ポリ袋や食品の包装袋、ラップフィルムなどの素材として知られています。
PET(ポリエチレンテフタレート)は、飲料の容器でおなじみのペットボトルや、あったか素材で知られるフリースの素材です。
この情報から読み取れることは……。
希釈していない精油をプラスチック容器に入れることはやめましょう、ということ。
実際、プラスチック容器に入って売られている精油は見たことがありませんが、お友達に少し分けてあげたい、なんて思ったときにプラスチック容器に入れるのはご法度です。
また、1%未満の植物油希釈の解釈ですが。
植物油は、ムラなくきれいに精油を溶かす(希釈する)ことができるので、高濃度の精油が直接容器に触れることはありません。
しかし、たとえば水に1%の精油を入れただけでは、水と精油はまじりあわず、分離してしまうため、精油は上に浮いて、一部分が高濃度になります。
1%濃度という安全基準は、必ずしも植物油でないにしても、1%の精油を入れたとき、完全に混ざりあう基材であることが大切ということです。
この数字は、あくまでも生活の木が提示している基準なので、絶対ではありませんが、目安として知っておくとよいでしょう。
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薬機法と「小分け販売」「分割販売」の違い
アロマで使うプラスチック容器、おすすめはどれ?
プラスチックの耐性の問題は、精油による溶解だけでなく、エタノールや熱なども、アロマテラピーを行う上で関係してきます。
PP、PEは、どちらもエタノールに対する耐性があります。
また、耐熱温度でみると、PPが90~130℃、PEが70~80℃となっています。
ちなみに、PETはエタノールへの耐性はありますが、耐熱温度が60~70℃。
これらも、生活の木の商品カタログで提供している情報です。
以上のことから判断すると、PPもしくはPEの容器を使うのが無難、とくに汎用性の高いPP素材が安心ということになります。
ご紹介した以外にも、もっと丈夫なプラスチックも、ひ弱なプラスチックも存在しますが、今回はとくに一般的なこの3種類について言及してみました。
キャップやドロッパーの材質は、通常、精油が入っている箱などに明記されていると思いますので、ぜひ、確認してみてください。
キャップやドロッパーならOKとされているPPやPEですが、精油瓶を寝かせて保存したりすると、それなりの量の精油がつねにキャップやドロッパーに触れている状態になってしまい、安全性は低下します。
保管する際は、必ず精油瓶を立ててくださいね。
それから、クラフト製作のための容器を準備するとき、費用を抑えるために百均などで購入することもあるかと思います。
でも表示をよく見ると、「アルコールは使用しないでください」といった注意書きがあったりします。
当然といえば当然ですが、安価なものは、えてして機能性、耐性などの面で劣りがちです。
用途に適したものであるか、素材の種類や注意書きをよくみて、購入・使用することをおすすめします。
▶MoaMoa Mommy
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