アロマメディエーターうえむらです。
ユーカリの木は種類が豊富で、変種なども含めるとその数800種以上と言われています。
その中で、精油を抽出するものは複数あるのですが、アロマテラピーでよく使われるのは主に3種類。
今回は、その3種類のユーカリについて、共通点や違いを、おせっかい記事にしてみます。
アロマ講師が使う3大ユーカリ精油はこれ!
アロマテラピーの講師がよく使うユーカリ精油は、ユーカリグロブルス、ユーカリラディアータ、ユーカリレモン。
どれも、葉から精油を抽出します。
ざっくり言うと、グロブルスとラディアータは共通点が多く、ユーカリレモンはこれら2つとは、まったく別もの。
下の表は、精油に多く含まれる成分を3つずつピックアップしたものです。
精油は自然由来で、ブランドごと、ロットごとに実際の組成は異なるため、これはあくまでも一例ですが。
グロブルスとラディアータは、主成分が同じで、その含有率も近いことがわかります。
そのほかにも、含有量は少ないものの、共通する成分は複数あり、香りも作用も似ています。
一方、ユーカリレモンは、主成分も、それ以外の成分も、2つの精油とは全然違うことがわかりますよね。
もちろん、香りも作用もまったく違います。
ユーカリグロブルス、ユーカリラディアータは、どんなユーカリ?
まずは、ユーカリグロブルス精油とユーカリラディアータ精油の共通点から。
どちらも主成分は1.8シネオール(読み方:イチハチシネオール)。
別名をユーカリプトールと言い、スーッと染みとおるような香りが特徴で、これが精油全体の香りの印象にもなっています。
1.8シネオールには、去痰作用、気管支の抗炎症作用、免疫向上作用、抗菌作用などがあり、どちらの精油も、呼吸器系のトラブルによく使われます。
呼吸器系のトラブルに特化して使いたい場合には、より多く1.8シネオールを含むグロブルスがおすすめですが、刺激も強くなるので使用には少し注意が必要です。
次に、ユーカリグロブルス精油とユーカリラディアータ精油の違いについて。
グロブルスには、免疫向上作用、鎮咳作用、鬱滞除去作用などをもつα-ピネンという成分が含まれています。
α-ピネンは森林浴の香りとして知られていますが、実は、みょうが独特の香りがそれ。春菊にも含まれているそうです。
一方、ラディアータは、免疫調整作用をもつα-テルピネオールという成分を含んでいて、喘息、花粉症などのアレルギー体質改善への効果が期待できます。
また、このα-テルピネオールは、1.8シネオールとの相乗効果によって、免疫機能向上の効果を高めると言われています。
この両方の成分が含まれている精油は、ユーカリラディアータのほかに、カユプテ、ニアウリ(シネオールタイプ)、ラヴィンサラなどがあります。
それから、グロブルスは、微量ですが、神経毒性があると言われるケトン類を含んでいることがあります。
一方のラディアータはケトン類を含まず、1.8シネオールの刺激もグロブルスより少なめなので、子どもや妊婦さんは、ラディアータを使うのがおすすめです。
香りは、どちらもスーッと染みとおるような印象ですが、1.8シネオールを多く含むグロブルスのほうが、清涼感もより強く感じられます。
ラディアータは、1.8シネオール以外の成分比率が高くなる分、清涼感はやや控えめ。他の成分の影響を受け、甘さも感じられます。
ユーカリレモンは、どんなユーカリ?
ユーカリレモン精油は、レモンユーカリ、ユーカリシトリオドラなどの名前で呼ばれることもあります。
主成分となっているシトロネラールは、局所鎮痛作用、抗炎症作用などのほか、昆虫忌避作用(=虫が嫌う香り)があることで知られています。
アメリカの環境保護局でも、ユーカリレモン精油は忌避剤としての承認を得ているそうです。
シトロネラールは、レモン様の香りなので、精油全体もレモンのような香りがします。
ユーカリレモン精油には、ゲラニオールや、アメリカDCD(米国疾病予防管理センター)で、ディートの代替品として認可されているp-メンタン-3.8ジオールなど、昆虫忌避作用がある成分が、他にも含まれています。
市販の「ハーブの蚊よけ」的な商品にも、ユーカリレモン精油はよく配合されています。
そのほか、ユーカリレモン精油に多く含まれるシトロネロールという成分は、ローズやゼラニウムの精油にも含まれていて、ローズっぽい香りがします。
虫が嫌うユーカリレモンの香りも、私たち人間にとっては親しみやすい香り。
手作りの虫よけスプレーにも大活躍の精油なのです。
〈オススメ関連記事〉
虫よけアロマにはユーカリレモン!の理由と、蚊取線香、市販の虫よけスプレーとの違い
3つのユーカリ精油、つまりこういうこと
ここまでの説明から、もうお分かりかと思いますが、3つのユーカリ精油の特徴を、少し情報を追加しながらまとめてみますね。
ユーカリグロブルス精油とユーカリラディアータ精油は、呼吸器系のトラブルに役立ち、その効果はグロブルスに軍配があがるが、刺激が強め。
ユーカリラディアータ精油は、免疫系への作用にすぐれ、アレルギーにもおすすめ。香りも刺激も穏やかで、安全性も高い。
ユーカリグロブルス精油とユーカリラディアータ精油の清涼感ある香りは、心や頭をすっきりさせ、頭脳を明晰にしてくれる。
ユーカリレモン精油は、レモンのような香りをもち、昆虫の忌避作用にすぐれている。人間にとっては親しみのある香りで、心を落ち着かせてくれる。
といったところでしょうか。
ユーカリグロブルスとユーカリラディアータは、冬にお役立ち度が高く、ユーカリレモンは夏にお役立ち度が高い精油ですね。
ユーカリ精油は、どれも金額はお手頃。
用途に応じて、じょうずに使い分けしてみてくださいね。
〈精油の“違い”シリーズおすすめ記事〉
ローズマリー・カンファー/ローズマリー・シネオール、ローズマリー・ベルべノン精油の違いとケモタイプの話
私のユーカリの思い出は「ヴィックスベポラッブ」
最後に私のユーカリにまつわる思い出話を、おまけにひとつ。
かの有名な大正製薬のヴィックスベポラッブには、ユーカリ油が有効成分として入っているってご存知ですか?
ヴィックスベポラッブ(成分、効能)☟
https://brand.taisho.co.jp/vaporub/product/
子どもの頃、夜、布団に入っても、鼻詰りや咳で寝つきにくかったとき、母がこの薬を、胸のところに塗ってくれました。
ベタベタするので、塗ったあとにはパジャマにつかないようティッシュペーパーを貼り付けてくれて。
母の手で塗ってもらう安心感と、鼻づまりや咳が楽になることで、塗った後はすーっと穏やかに寝つけたことを、ウン十年経ったいまもよく覚えています。
ユーカリと言えば、コアラのごはんというイメージしかなく、こんなカタチで自分がお世話になっていたことを、大人になってアロマを学んで知りました。
植物のチカラって、やっぱりすごいですね!
▶MoaMoa Mommy
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